『行列のできる法律相談所』は法律相談をしない法律相談所

日本テレビの法律相談番組『行列のできる法律相談所』は、司会者の島田紳助（本名・長谷川公彦）さんの軽快なトークとバラエティに富んだゲストが視聴者を楽しませてくれる番組だ。しかし、このところ芸能人のプロモーション企画や島田さんの趣味趣向に関するグルメなどの話ばかりで、ほとんど法律相談をしていないことにお気づきだろうか？

もともと、『行列のできる法律相談所』は法律相談をメインとした番組で、「こんな場合は有罪なの？　無罪なの？」などの疑問を再現VTRとゲストのコメント、そして弁護士の判断を交えて放送していた。かなり役に立つ番組で、この番組を見て法律相談をし、人生が明るくなったという人も世の中にはいるのではないだろうか？

しかし、回を重ねるごとに法律相談が減っていき、このところ法律相談は1回の放送につき1つしか放送されない。法律相談数の激減は橋下徹（はしもととおる）弁護士が引退してから顕著で、1時間番組であるにもかかわらず法律相談が1つしか紹介されないのであれば、忙しい弁護士を無関係な話につき合わせてスタジオに留めておくことすらおかしい。

法律相談を減らした代替案がアイドルグループの宣伝プロモーションというのは、さすがに感心できない。それでも視聴率が取れるのだから文句を言ったところでどうにもならないだろうし、「嫌なら観るな！」とスタッフに言われそうだが、もともと良い番組だっただけに法律相談を楽しみにしていた視聴者からすると、内容の質が低下していると感じるのは仕方がないことだろう。

確かに、アイドルの情報も楽しいかもしれない。隠れた名店の料理屋お菓子の情報も注目を集めるだろう。それをつまらないとは言わない。しかしそれは『行列のできる法律相談所』とはまったく無関係だし、そこにテレビ局の策略や利権などを感じてしまうのは記者だけだろうか？　それを島田さんの饒舌（じょうぜつ）なプロのトークでごまかされつつ番組を観ている気がしてならない。

イラスト： 見ル野栄司

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