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在韓記者「韓国は、日本を意識することによって元気が出る」

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 黒田勝弘氏は1941年生まれの産経新聞ソウル駐在特別記者。著者に『韓国人の歴史観』(文春新書)、『ソウル発 これが韓国主義』(阪急コミュニケーションズ刊)がある。黒田氏が韓国国内の動きについてレポートする。

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 韓国メディアが珍しく「SAPIO」を絶賛している。本誌はこれまで「日本極右勢力の代弁誌」などと言われ、もっぱら日本叩きの材料に使われてきたが、ここにきて「SAPIOの指摘に謙虚に耳を傾けよう」というのだ。

 話題になっているのが本誌4月号の特集「中国と韓国『没落の宴』」。韓国の最有力紙『朝鮮日報』(4月17日付の朴正勳コラム)が「日本国粋主義者たちが突くわれわれの急所」と題し「気分は悪いが彼らの嘲笑を読んでハッと目覚めた」と詳しく紹介している。

 筆者は東京特派員出身。「S誌は日本内の戦闘的国粋主義者たちのホンネを代弁してきた。われわれに感情的非難を浴びせてきた彼らが“韓国没落”を叫んだからといって目新しくはないけれど、彼らが主張する韓日再逆転の論理は痛い。われわれが漠然とそうだろうと思って来た急所を鋭く突いている」というのだ。

 論評のきっかけは北朝鮮問題。周知のように東アジア情勢はまたまた北朝鮮の“核脅迫”や“戦争脅迫”で大騒ぎとなった。お陰で韓国の国際信用度は揺らいでいる。

 1993年の核拡散防止条約(NPT)脱退表明に始まった北朝鮮の核問題はすでに20年になるが、韓国は何の手も打てず「北朝鮮リスク」が続いてきた。今回もそれを痛感させられた。「北朝鮮リスク」は韓国の安定・発展の弱点になっている。朝鮮日報では、この点をSAPIOが韓国没落論の根拠の1つに挙げているとした後、対日自慢のタネだった経済についても危機を語っている。

 今や3%にも届かない経済成長率、家計負債や就職難、貧富格差、福祉需要拡大……。そして技術不足、財閥偏重経済、急速な高齢化……。SAPIOの指摘通り、あらゆる難題が迫ってきている。

 これらを踏まえて同紙は「2000年代に入り日本との国力格差は急速に狭まり、ついに悲願の日本追い越しが視野に入ってきたように思えたが、最近の状況はその期待が錯覚だったことを示している」と反省している。

 彼らは日本の反撃のきっかけは安倍政権の登場だと認識している。「安倍政権のリーダーシップは国家の活力を回復させる求心点の役割を果たしている。リーダーシップというのはこのように1つの国家の雰囲気を一挙に変えてしまう」ものだという。

 そのうえで「これまでは韓国自慢の強力なリーダーシップを日本がうらやましがっていた」といい、その結果、国家エネルギーを結集させ短期間に日本に追いついたのだが、それも「今や反対になった」と嘆いている。

 同紙によれば韓国は深刻なリーダーシップの危機に陥っているという。朴槿恵新大統領は政権人事において、多くの候補者が不正腐敗経歴など“身体検査”で“落馬”するなどリーダーシップ発揮に問題が出ており、派閥争いやイデオロギー対立も相変わらずで国が乱れているというのだ。

 韓国メディアにこれほどへり下られるといささか気味が悪い。しかもつい最近まで“極右”とか“軍国主義復活”などといって罵倒していた安倍政権まで誉めていただくとは。

「日本は嫌い」だが「日本はお手本」というのがこれまでの韓国における世論調査の大勢だった。今回も狙いは日本をネタに「だから韓国しっかりしろ!」というわけであり、日本を持ち出すことによって自らを批判し叱咤激励するというのは相変わらずだ。

 私は昔から「韓国にとって日本は“元気の素”」と称してきた。韓国は依然、日本を意識することによって元気が出るようだ。

 日韓関係は昨年夏の“韓国大統領竹島上陸事件”という韓国による外交的挑発の後、冷たい関係が続いている。だから関係改善にはまず韓国側から何らかのあいさつがなければならないのが順序だが、韓国外交は甘え(?)のせいかこれがよくわかっていない。

 昔から「日韓関係は韓国が困ると良くなる」といわれてきた。韓国は今、北朝鮮にひどく脅かされて困っている。さらに経済でもこれから困りそうだ。とすると今後、日韓関係は良くなるということになるが……。

※SAPIO2013年6月号



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