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日本の失業率が欧米並みの10%台で年間自殺者5万人の恐れ

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 資産運用や人生設計についての多数の著書を持つ作家・橘玲氏が、世界経済の見えない構造的問題を読み解く『マネーポスト』の連載「セカイの仕組み」。アベノミクスが最悪シナリオの財政破綻に向かった場合、【1】金利の上昇、【2】円安(通貨の下落)、【3】インフレという3つのリスクが想定されるが、ここでは「金利の上昇」について解説する。

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 財政破綻は、国債の暴落による金利の上昇をきっかけに始まる。これは財政破綻の定義で、それ以外の経済的な事象(円安やインフレ)が起きても、金利が大きく上がらなければ景気の回復につながるだろうから財政は破綻しない。

 2012年末から日本株が大きく上がったのは、アベノミクスによる日銀の金融緩和を期待して低金利のまま円安が進んだからだ。インフレになったとしても、それが日銀の目標とする1~2%のマイルドなものなら、消費が刺激されて経済は活性化するだろう。

 しかし国債価格が大きく下落(金利が上昇)すると、国債を大量に抱える金融機関が時価評価で債務超過になってしまう。これがヨーロッパでいま起きている事態で、ユーロ危機が深刻化したのは、PIIGS(ポルトガル、イタリア、アイルランド、ギリシア、スペイン)の国債が軒並み下落したため大手銀行の資産が劣化し、それが投資家の不安を呼んで国債が売られる悪循環に陥ったからだ。

 財政危機は国債価格(金利)を見ればわかる。これが第一のポイントだ。

 仮に日本国債が暴落すれば、なにが起きるだろうか。日本の銀行や保険会社は大量の国債を保有していて、国債暴落で巨額の評価損を被ることは避けられない。資産のほとんどを国債で運用しているゆうちょ銀行やかんぽ生命はもとより、それ以外の金融機関のなかにも、救済のために実質国有化されるところが出てくるだろう。

 金利の上昇によって変動金利でマイホームを購入したひとが返済に窮し、自己破産と不動産の競売が急増することも間違いない(これはバブル崩壊後の1990年代半ばに実際に起きたことだ)。短期の借入れで資金繰りをしている企業も同じで、金融危機と企業の倒産、住宅ローン破産はひとつの原因(金利上昇)から発生する同一の現象だ。

 大規模な金融危機は地価と株価の下落をもたらし、企業の倒産とリストラによって失業率は大きく上昇するだろう。日本の社会は失業率が上がると自殺者が増える構造になっているので、欧米並みに失業率が10%台になれば年間自殺者数は5万人を超えるかもしれない。

 こうした暗鬱な予想は、けっして荒唐無稽なものではない。1997年のアジア金融危機や1998年のロシア危機、2001年のアルゼンチン通貨危機から2007年の世界金融危機まで、これまで幾度となく同じ光景が繰り返されてきた。ひとたび金融危機が起きてしまえば、その後の展開は一直線なのだ。

【プロフィール】
●たちばな・あきら:1959年生まれ。作家。『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』など著書多数。財政破綻に備える資産運用の詳細は新刊『日本の国家破産に備える資産防衛マニュアル』を参照。

(連載「セカイの仕組み」より抜粋)

※マネーポスト2013年春号



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