NO.1メンズ誌『smart(スマート)』編集長に聞く“ヒット企画”の作り方「ももクロ、壇蜜、大島優子などプロ意識の強い人に惹かれる」

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日本一売れているファッション雑誌『sweet(スウィート)』や、30代女性誌の『InRed(インレッド)』など女性誌の印象が強い宝島社ですが、 実は『smart(スマート)』や『MonoMax(モノマックス)』などの男性誌が好調。

特に『smart』は女性アイドルやモデルの表紙起用、豪華ブランドアイテムの付録など独自の企画が読者の人気を集め、現在、2番手の雑誌と2倍以上の部数を売上げ、実売部数21万部、3年連続男性ファッション雑誌売り上げ1位を記録。さらなるムーヴメントを生み出しています。

昨年は『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』とのコラボで、アニメキャラクターである綾波レイをカバーガールに起用したり、式波・アスカ・ラングレーが名物企画「ちんかめ」に登場した事も大きな話題を呼びました。

今回は、宝島社『smart』編集長・太田智之さんにインタビュー。宝島社に入社したきっかけから、どの様に個性的な企画を実施してきたのか、など色々とお話を伺ってきました。

男の子が好きなものは何でも載っている雑誌に!

――早速なのですが、太田さんが宝島社に入社したきっかけはどんな事だったのですか?

太田:私は最初住宅の営業をしていて、その後、別の出版社で映画の情報を扱う誌面を作っていました。「本、雑誌を作りたい」という気持ちが元々、強くあったんです。色々な情報がギュっと濃縮されている雑誌が好きで、特に当時の『宝島』のように、ラーメンからグラビアまで、サラリーマンが好きな物は何でも載っている! というバラエティ感に、強烈に惹かれていて。ちょうどその時『宝島』が週刊になるタイミングで求人が出ていたので、受験をしたんです。

――入り口は『宝島』だったと。

太田:本当に色々な企画・取材をしました。「家で“某有名店のラーメン”を作る」とか(笑)。その後2年くらいして、『smart』編集部に異動したんですね。ファッションももちろん好きだったけれど、『宝島』みたいな、何でもアリな雑誌が好きだったから、嫌とか悲しいということは無かったですが、「次はおしゃれなファッション専門の世界に行くんだなぁ」と思ったのは覚えてます。

――結果、今の『smart』は、ラーメンもアイドル記事も色々な情報がつまっている雑誌に変化しているのも面白いですね。

太田:ありがとうございます。今こうして表紙を見ても、色々な企画・情報が詰まっていて、所謂、ストイックなファッション専門のファッション雑誌とは違ってみえるかもしれませんね。それは、読者が洋服の情報はもちろんなんですが、色々な情報を求めている背景も影響しているわけです。個人的は、制作サイドが「とっても面白がって作っている」気持ちが伝わってくるTV番組、「サンデー・ジャポン」(TBS系列)みたいな誌面を目指しています(笑)。作っている側に、楽しい!面白い!!という気持ちがないと、読者の方々に楽しんでいただけるものは作れないと思っているので。

今の男子は「女子が良い」と言う物を受け入れる素直さがある

――太田さんが編集長に就任されて『smart』の個性的さがかなり加速していった様に感じているのですが、編集方針の転換などは行なったのでしょうか?

太田:作り手側が陥りやすい“前提”をつぶしていったということですかね。僕たちは1年で12冊雑誌を作りますが、「一人の読者が毎号『smart』を読んでいる」という前提で企画を作ることはしていないですね。例えば3月号で腕時計の特集をやったら、4月号では腕時計の特集は“飽きちゃうから”しないというのが普通の考え方です。でも僕の考え方では人気があるなら6ヶ月連続でも特集しても良いと思っています。

――例えば、カバーガールに惹かれて初めて『smart』を読む読者にも分かりやすいと。

太田:編集部のメンバーもこの新体制で、4年間やって「初めて『smart』を読む人が分かりやすい誌面」という認識をしっかりと持っているので、そこはブレずに、ある種の統一感があるかと思います。現在編集部は12人いるのですが、9人が女性なんです。女性だからメンズ誌は作れないということは無くて、女性だからこその感性、男性に持っていて欲しい清潔感や好感度だったりを誌面に表現出来るのは今の時代に合っているとも思っています。

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――アイドルやモデルさんが男性ファッションをジャッジするという企画も人気を呼んでいますね。

太田:そうですね。「女性が本音をぶっちゃける、男性ファッションOK、NG企画」は画期的な企画だと思っています。とんがり靴はNGとか、白シャツはOKとか。男の子も「女子が良い」って言っているものは、恥ずかしがらずに素直に買うという流れも、今の時代の特徴かもしれませんね。

例えば、AKB48の大島優子さんが「こういうコーディネイトが好き!」と『smart』で発表すると、ファンは握手会にそのコーディネイトをして行ったりとか。でっかいウエストポーチを腰に配置し、頭にバンダナを巻いているような、ステレオタイプのヲタクスタイルの殿方は、今はほとんど見かけないと思います。

――その分かりやすさが前提にあって“つけ麺グラビア”など超個性的な企画も誕生するという(笑)。

太田:あの企画は個人的にも好きです。水着グラビアが好きなクラスタと、ラーメン・つけ麺が好きなクラスタを混ぜてみたら新しい読者が読んでくれるかもしれないと思って「グラビアアイドルが最新水着を着て、つけ麺を食べる」を企画をたててみたり。そうして、色々な事をしていると雑誌自体が“狂い感、ある種の狂気”を帯びてくるというか。

――雑誌自体が狂気を帯びてくる、まさに!(褒め言葉)

太田:雑誌って娯楽で読む物だから、あまり教科書みたいに、四角四面に作っても、読んでくれないかな、と個人的には考えています。編集スタッフが本気で面白がってやるかやらないかは一番大事です。嫌々作ったり「これぐらいでいいんじゃないの」という気持ちで作った誌面を読者は読んでくれません。

綾波レイ表紙起用のこぼれ話

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――これまで一番印象に残っている企画は何ですか?

太田:たくさんありますけど『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』とのコラボで綾波レイさんを表紙に起用した事ですね。アニメのキャラクターが生身の人間と同じ様にファッション誌の表紙を飾る、という事自体も興味深いのですが、あのイラストは『smart』のための描き下ろしなんです。映画やアニメとのコラボで表紙を作る時、既存のシーンを使用することは多くありますが、やはり描き下ろしは、強く人に伝わると実感しました。実際、ファション雑誌のカバーに綾波レイさんが登場するということで、非常に大きな反響を頂きました。

コラボレーションというのは、50:50(フィフティ:フィフティ)のパワーバランスで、行われるのが成功の秘訣だと思うのですが、この点でも非常に良い表紙が出来たと思います。

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――ブランド付録も次々と驚くほど豪華なアイテムが登場していますよね。

太田:そうですね。3月号の「HEAD PORTER PLUSのブラックミリタリーウォッチ」は、リボンベルトの設計に相当悩んでこだわりました。ケースの大きさとかリボンの長さとか…。“付録”という言葉の響きで誤解されがちですけど、まずは作った人が本気で使いたい!と思える物を作らないと、読者にも絶対に響かないです。この時計は個人的にも、とても気にいっていますし、非常に好評を頂きました。

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――5月号のヘッドフォンについてのこだわりもいただけますでしょうか。

太田:このヘッドフォンは、ステレオサウンドで、非常によい音が楽しめます。人気ブランドBOUNTY HUNTERのロゴがポイントです。携帯音楽プレイヤーはもちろん、パソコンでも使えます。

――中の人が本気で面白がって作っているものが読者にウケるというのは、まさに理想型とも言えますよね。これまで失敗談や納得がいかなかった事はあるのでしょうか?

太田:『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』とのコラボは、コラボのバランスが上手くいったと言いましたが、逆にコラボのバランスが良くなかった物もあります。バランスがうまくいってないものは、なかなかよい結果がでないという傾向もあります。

――“編集しきった物”は読者も強く惹かれるでしょうしね。今後もどの様なミラクルな企画が生まれるのか、私個人的にもとても楽しみです。

太田:雑誌という商売はタイミングが大事だなと思っていて、私は「誰よりも早く見つけて取り上げた」という所にそこまで興味を持ってはいないです。4月号で「『魔法少女 まどか☆マギカ』大解剖」という企画を行なったのですが、アニメも放映が終わった今のタイミングになぜやるのか、と思う方もいるかもしれません。

けれど、読者の中には今さら『魔法少女 まどか☆マギカ』について聞けないという人もいるし、まさに今ハマっている人もいる。紹介するタイミングにもいろいろな文法が存在すると思うんですよ。だから、私はこれから『魔法少女 まどか☆マギカ』を取り上げて行きたいと思っているし、まだ見ていない人へのきっかけになったら、嬉しいです。

――まどかやキュウべえが表紙を飾る日ももしかしたら来るかもしれないですね(笑)。

太田:私は、ももクロとか壇蜜さん、大島優子さんなど、プロ意識の強い人に魅力を感じています。そして、森羅の万象とメンズファッション雑誌というルールの中で何をするか、という部分に面白さを感じているので、これからも色々な企画で皆さんを楽しませる事ができたらな(笑)と思います。

――どうもありがとうございました!

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4月24日(水)発売の6月号のブランド付録は、HEAD PORTER PLUSのローラーボールペン&専用ペンケース。高級感あふれるシンプルなデザインなので、新大学生や新社会人の方にもピッタリです。また、スマートフォン向けアプリ「LINE」にて公式アカウント「@smarttkj」がスタートしているので、いち早く情報をキャッチしたい方は今すぐにお友達登録を!

smart – 宝島社
http://tkj.jp/smart/

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藤本エリ

映画・アニメ・美容に興味津々な女ライター。猫と男性声優が好きです。

ウェブサイト: https://twitter.com/ZOKU_F

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