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乱反射し合い、姿を変えるインターネットと消費社会(IT批評発行人 桐原永叔)

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『IT批評 3号 特集:020――乱反射するインターネットと消費社会』(2013年3月刊行)より桐原永叔さんの「乱反射し合い、姿を変えるインターネットと消費社会」を転載。

乱反射し合い、姿を変えるインターネットと消費社会

O2Oと、情報産業からコミュニケーション産業へ進むビジネス

O2O。オンライン・トゥ・オフライン。オンラインとオフラインの接続は、消費社会にどのように影響を与えるか。オンラインとオフラインの連携は、個人とシステムのコンフリクトを解消するものなのか?

ネットとリアル、システムと個人 引き裂かれたものをつなぐO2O

 これは被災地に足繁く通いボランティア活動をしている知人に聞いた話だ。彼は、ある避難所に食料を支援物資として届けた。ところが、支援物資は一向に配られる気配がなかった。避難所の窓口に尋ねると次のような返答だったという。

「避難されている方は150人ほどいて、物資は100しかありません。不平等をつくることはできない。だから配布を控えている」

 その後、彼は避難者のある男性からこう言われたという。
「オレたちをもっと信用してほしい。150人に100個しかなくても、年寄りや子どもを優先するし、みんなが同じ物を欲しがるわけでもない」

 このエピソードにあるのは、システムと人間のジレンマである。こうした問題は、制度や法で解決するのか、個人の意志(努力)や想いによって解消されるのか。避難所だけでなく、社会の問題はほとんどがこのようなコンフリクトを抱えている。制度のなかに解決を求めれば、議論は政治に向かうだろうし、個人にそれを求めれば、議論はリーダー論や倫理(あるいは伝統回帰や根性論)に向かうだろう。

 システムと個人の関係を、本誌今号の特集になぞらえていえば、それはビジネスモデルと消費者の関係に置き換えられる。すこし角度をかえれば、バーチャル(オンライン)とリアル(オフライン)の関係としても捉え直すこともできる。

 これらの関係の中間に位置するものとして、ソーシャルメディアがあると仮定している。そして、O2Oとは、まさにこの両者の接近・融合を促進するアーキテクチャである。

情報摂取からコンテンツ関与へ 情報のデザインからアサインへ

 1960年代後半から現在へと続く高度に成熟した消費社会のなかで、企業がつくる製品は付加された情報(記号)によって商品としての価値を問われるようになった。製品は、情報を付加されることなしに商品とはなりえなくなったのだ。

 成熟した消費社会のなかで、あらゆる産業における、あらゆる消費行動が、情報摂取になり、消費者はストイックに情報摂取に励んだ。消費行動はすべての世代の中流意識を高め、各世代グループ内の関係維持を支え、アイデンティティとなるものだったからだ。

 とはいえ、消費社会における情報は企業から一方通行にバラまかれていたにすぎない。消費者は、層やセグメントとしてしか存在しなかった。マーケティング関係者にとって、消費者は顔のない存在だった。長らくは、それが通用する時代でもあった。

 ソーシャルメディアが登場して以降、消費者の顔が見えるようになった。もはや情報をパッケージしただけのコンテンツには満足しなくなった消費者は、いかに、そのコンテンツに関与できるかに関心を移行させはじめている。

 コンテンツへの関与が、多くの消費者にとって情報摂取よりも上位のものになったのは、インターネットによって、情報摂取の能力差がある程度までフラットに均されたせいもあるだろう。今や、コンテンツへの関与の度合いによって、消費者間のコミュニケーションは深められ、消費者はエンパワーメントされている。消費者はコミュニケーションを更新するために、コン
テンツへの関与の度合いを深めている。

 近年、マス広告が機能不全に陥ったのは、それがコンテンツへの関与をさせにくいものだからではないか。今号の記事に登場するオズマピーアールの一ノ瀬寿人氏が言うように、現在、多くの企業が、広告にPR的な要素を求めるようになっている。情報発信に特化された広告にある限界を、PRによって補おうという動きが活発になっているともいえるだろう。PRが広告と異なるのは、直線的に情報を伝達するのでなく、社会とのリレーションを重視し何らかのコミュニケーションを介在させて情報を伝達
しようとする点にある。

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記者:

ITの進化を探り、ビジネスの進化を図る

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