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「普通を求めて全力疾走した少年、ネットに出会うの巻」松島靖朗さんインタビュー(2/3)

「普通を求めて全力疾走した少年、ネットに出会うの巻」松島靖朗さんインタビュー(2/3)

『彼岸寺』の人気連載『ITビジネスマンの寺業計画書』を執筆中のお坊さん、松島靖朗さんインタビュー2回目です。今回は、松島さんがお坊さんになるまでの道のりについてを中心にお伝えしたいと思います。「お寺の子」として見られるのがイヤだった少年時代、そして出自を隠して過ごした東京生活。そして、ネットに出会いITビジネスマンとして活躍していた頃のお話をじっくり聴かせていただきました(前回のインタビューはこちら)。※トップ画像は、子どもの頃の松島靖朗さん)

お寺騒然! 少年Aの狂言誘拐事件

子どもの頃から「お寺に生まれたというヘンな環境がイヤだった」という松島さんは、お坊さんになると決めるまで「徹底的に普通」を求めました。その最初のアクションとして記憶されているのは、小学校3年生のときに起こしてしまった「少年Aの狂言誘拐事件」。うららかな日に、松島少年はふっと学校へ行く途中で踵を返し「どこでもない場所」へと逃げ込んでしまったのです。(※写真は松島さんのお寺、奈良・安養寺の境内。この屋根でお昼寝を?)

奈良・安養寺境内。この本堂の屋根でお昼寝を?

――東京に出るまで、奈良ではどんな少年時代を送られたんですか?
中学を卒業して、お寺の息子なのでと浄土宗の宗門高校に入ったんですけど、「このまま行ったら完全にお坊さんや。あかんあかん。ちゃんと自分で考えよう」とすぐに辞めたんです。それで、いわゆるレールに乗るのではなく、自分で決めることの大切さを学べたというか。

でも、それ以前にね、実はすごい大きな事件があって。小学生のころから、学校の先生もクラスのみんなも僕のことを「お寺の子」として見るのがすごくイヤで、あまり人に接したくない少年時代を送っていました。あるとき、学校に行くのが本当にイヤな日があって、集団登校の途中で「忘れ物をしたから」とお寺に戻ったんです。

学校には行きたくない、お寺にも戻りたくない。行き場がないから、近所の川の橋の下にもぐって隠れました。始業時間が過ぎた頃、僕が学校にいないとわかったのか、探している声が聴こえてきたのですが、もう出るにでられません。それに、橋の下にいる時間が周りとシャットアウトされてすごい居心地がよかったので、ずっとここにいたいと思っていました。

――大変なことになったけれど、居心地のいい橋の下にいたかった。
そう。ちょっと外に出て様子を見ると、みんなが僕を探している姿が見えました。ここにいたらそのうちバレると思ったので、今度は「ここなら絶対に大丈夫」とお寺の屋根に上って。お昼寝にちょうどいいお天気だったのでそのまま寝てしまい、気がついたら3時頃になっていました。

いよいよ大事になっているだろうし、どういう感じで出て行こうかなあと考えて「そうだ、誘拐されたことにしよう」と。「忘れ物を取りに帰ったときに、知らないおじさんに声を掛けられて車に乗せられ、いろんなところに連れて行かれて逃げて帰ってきました」と言うことにしたんです。ちょっと服を汚して、ウソ泣きをしながら帰っていってね。

そしたら、母がそれを信じて学校に連絡し、先生が「警察に届けましょう」と。警察署に連れて行かれてしまいました。パトカーに乗って「どこに連れていかれたの? どんな車だったの?」と聞かれながら、「えーと、ここから乗せられて、この道を右に曲がって……」と言っていたら、そのうち行き止まりになってね。「あ、バレたな」と思ったんです。取調室に連れていかれ、母の顔を見て泣きだしてしまったところで僕の演技は終了でした(笑)。

次の日、地元の新聞に「少年Aが狂言誘拐」という記事が載って、学校のみんなにわかってしまうし、よけいに学校に行けなくなったという(笑)。でも、それくらい「お寺の子」として見られるのがイヤだったんですよ。

お勤めは大好きなおじいちゃんと一緒にいられる時間だった

『坊主めくり』でいろんなお坊さんにお話を聴くにつけ、人によっては「お寺で育つ」のはとてもつらいものなのだと思うようになりました。私がお会いするのは「お寺からの逃走」を終えて、お坊さんとして生きる覚悟を決めた人たちばかり。すべては過去のエピソードとして語られますが、きっと今も現在進行形で「逃走中」の方もいらっしゃるだろうと思うと、何とも言えない気持ちになります。

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