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お寺発の寺報というメディア

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早いもので今年も残すところ数日となりました。鼻息荒く色々やってやるぜ!と思っていた年初のテンションも、日々の修行のお陰でしょうか、ずいぶん落ち着いてきました。

今年に入って取り組み始めたことが幾つかあります。今回の記事では、その中の一つである「寺報」を発行することについて、実際に「寺報」を発行してどのような手応えがあったのか、どんな変化があったのかをまとめておきたいと思います。

どうして「寺報」を発行するに至ったのか?という問題意識は以下の記事をご覧ください。

お坊さんHacks!〜寺報発行編〜
寺報を一号発行するごとにお寺の寿命は一年伸びるのでは?
http://www.higan.net/bizplan/2012/04/hacks-1.html

今年は住職就任の年ということで、とても忙しい一年間でした。しかしながら、自分に厳しい性格(人にはもっと厳しいです)と、このブログで記事を公開した効果でしょうか、休刊すること無く「寺報」の月刊発行を達成することができました。当初は思いもしなかった反応や、手応えに一喜一憂でき、なかなか楽しい経験となりました。

■コミュニケーション時間の増加

「寺報」発行の目的の一つに、お参りの限られた時間で少しでもお伝えする情報を増やそう!というものがありました。月参りは、お仏壇の前での読経が終わり、少しお話させていただいた後に、来月の日程をお伝えして次のお宅へということの繰り返しです。曜日や時間帯によっては、お話する時間がほとんど取ることができない場合もあります。お檀家さんもそんな事情はよくお分かりですので、大きな不都合はないのですが、月一回の貴重なお時間ですので、置き土産的にお渡しすることが「寺報」に期待した役割でした。

ところが、「寺報」をお渡しするようになって、先月の「寺報」の感想や、記事に対するご質問や、それをキッカケに湧きだした疑問をたくさんお聞かせいただくようになり、お参りする時間が随分と伸びてしまうことが多くなりました。何気ない疑問を遠慮なく聞いていただける関係は、なにがお檀家さんに伝わっていないのかを確認する意味からも、大変貴重なものです。結果、お参りの日程やコースを調整する必要が出てしまいましたが、今まで以上に月参りが有難い時間となっている気がします。

お参りの際に寺報をお渡しすることで、お檀家さんとのコミュニケーション時間の増加という嬉しい結果になりました。

■クオリティ(質)よりフリークエンシー(頻度)

作るからには立派なものを!とか、続けられなくなるから…という理由で発行を躊躇するという声をよく聞きます。できない理由をいう人が多いのはお坊さんの世界でも変わりないようです。でも、だれもそんな大層なものを期待してはいません。気張らずにいきましょう。

寺報を発行する上で何よりも大切なことは、書き手である住職や副住職が自分自身の言葉で書くということです。一枚紙に手書きで数行でもいいでしょう。僕のような新米僧侶でしたら、学びたてのことを一番身近なおじいちゃんおばあちゃんに自分の言葉で伝えることができるか、修業の場としてしまいましょう。数百文字の簡単な文章でも、いざ書いてみると分かっているようで分かっていない自分に気づくことができます。僧侶としての成長過程そのものを檀家さんにも味わってもらう、試行錯誤感をお伝えすることが寺報の味わいにもなるのではないでしょうか。

そして、質より大切なのがその発行頻度です。僕の場合、月参りを配布の場として、発行ペースを毎月としましたが、これがなかなか丁度いい頻度だと感じています。お参りに行くと、寺報が待ち遠しいと言ってくれるおばあちゃんがおられます。毎号クリアファイルに保存して、お仏壇にお供えされるおばあちゃんもおられます。まるでディアゴスティーニの世界、ほんとに読んでもらえているのか不安になります(笑)

これが、年に一回、四半期に一回ではここまで読んで頂けないのではないでしょうか。毎月ちょっとだけ仏教の知識が増え、それをキッカケに自分自身もいづれあの世へと、「死」を思い出してもらえるような、作り手にも読み手にもちょうどいいペースが月刊なのです。月命日とはよく言ったものですねぇ。

自分ができる範囲内で、元々あるペース(月参り、月命日)を利用して、等身大の自分を通じて仏教をお伝えできるメディア、それが寺報なのです。

■発行部数の増加

毎月のお参りで配布する寺報は150部ほどですが、お盆やお彼岸の時期にお墓参りをされる方にも手にとっていただこうと本堂前に配布ラックを設置しました。設置し始めた頃は、気づいてもらえるだろうか?手に取る人なんているだろうか?と毎日のように残数をチェックしていましたが、意外とみなさん手に取り、お持ち帰りいただいています。

週末に家族でお墓参りに来られる方や、お墓に眠る故人と御縁がある御檀家さんではない方など、普段のお参りではお会いできない層への配布が実現しています。気がつくと、毎月一定数が決まって無くなっています。お顔を存じあげない皆さんにもお読み頂いている実感を感じます。

おかげさまで発行部数も150部→250部に増加しました。

来年は町の観光協会や喫茶店、雑貨店などでの配布も考えてみようかと欲が出てきています。仏教を広めたいという気持ちが、メディアを育てていくことと重なりあい、なんだかとてもワクワクしています。(置いてもいいよ!という方おられましたら是非ご連絡ください)

さて、なんとか一年間の発行を終え、振り返りの記事を書いておりますが、そろそろ来年1月号の準備をしなければなりません。この追い詰められ感が、修行僧にとっての天敵である怠慢心(なまけ)や驕慢心(おごり)を打ち消す作用になっています。

彼岸寺にお参りのみなさんも年末年始、お寺にお参りされる機会がございましたら、地域のお寺が発行する小さなメディア、寺報を手にとってご覧ください!

○連載:ITビジネスマンの寺業計画書

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記者:

松島靖朗:彼岸寺

ウェブサイト: http://www.higan.net/bizplan/

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