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サムスン出資受けるシャープ 経産省幹部「終わりの始まり」

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 今年9月に社2000億円の償還を迫られるシャープにとって韓国メーカー・サムスンからの出資金103億円はさほど大きな額ではないように見える。だが、日本の家電メーカーに韓国の資本が入ることは数字以上の意味を持つ。

 シャープの提携先がサムスンと聞いて、ある経産省幹部は落胆を隠さなかった。

「サムスンとの提携は終わりのはじまりですよ。これで国を挙げてシャープを支援することは難しくなる」

 日本の製造業をサポートする立場にある経産省には、サムスンとは深い因縁があった。

 2000年代に入り、ものづくり大国ニッポンの牙城を崩していったアジアメーカーに対し、経産省は早くから警戒感を持っていた。特に日本のリーディングカンパニーの商品を模倣して大量生産し、販売網を広げていくサムスンは脅威に映った。経産省幹部は告白する。

「こうした相手と世界市場で対峙するにあたって、日本企業の唯一の強みは技術力で優位に立っていることでした。シャープも、『亀山モデル』と称される液晶テレビの高い品質で世界の賞賛を受けてきた。実は2000年代中頃、シャープは亀山モデルの大量生産を見込み、最新のテレビ用パネル製造工場を中国に建設する計画が進んでいました。

 しかし、先端技術の流出を恐れた経産省は、補助金などの優遇策をちらつかせてまで中国進出を全力で阻止したんです。結果、亀山にもうひとつ工場を建設することになった」

 これが現在の亀山第二工場である。だが、国を挙げての“日本慰留”は完全に裏目に出た。リーマンショック、円高、震災後の電力不足……。日本を取り巻く製造環境の悪化は同社を直撃した。いくら高い技術力を誇っても、人件費とコストは嵩む一方で、価格競争力で新興国に太刀打ちできない。

 シャープはこの5年で1兆円も売り上げが減り、薄型テレビの世界シェアは5位にまで下落。一方のサムスンはウォン安の追い風にも乗って、シェア1位のトップメーカーに躍進した。

「シャープの凋落を見ながらサムスンの李健熙(イゴンヒ)前会長は『シャープが中国に生産拠点を移していなくてよかった。日本に価格競争力が備わっていたら液晶分野で日本に追いつくことができなかったかもしれない』と語り、経産省の無能ぶりをあげつらったそうです」(外資証券アナリスト)

 こうした苦い過去を持つ経産官僚にとって、一連のシャープ再建騒動は名誉挽回のチャンスに映ったのだろう。安倍政権誕生に乗じて官邸中枢に入った彼らはシャープ復活策を進言した。

「公的資金で製造業支援を実現できれば、アベノミクスの3本の矢のうちの2本――財政出動と成長戦略を同時に達成できる。一時は、安倍首相の亀山工場視察プランまで計画されました」(経産省幹部)

 だが、経産省主導によるあからさまなシャープ救済策に、「ゾンビ企業を国が救ってどうするのか」「参院選前に派手なパフォーマンスは避けた方がいい」といった批判が相次ぎ、計画は頓挫。加えて経産官僚にとっては己の失策を想起させるサムスンとの提携によって、国を挙げた救済計画は、幻に終わったのだった。

※週刊ポスト2013年3月29日号



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