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「父と娘の写真は、今後のキーポイント」―青山裕企さんインタビュー(3)

 「3・11」からしばらく経ったとき、ある写真がツイッター上を飛び回った。それは、サラリーマンたちがジャンプしている写真。しかも、とても躍動的で、面白い。その写真には、「元気が出た」という声が添えられていた。
 撮影者は、気鋭の写真家・青山裕企さん。跳んでいる人を写す、いわゆる「ジャンプ写真」を1998年から撮影し続けてきた。いわば、写真家としての原点だ。
 そして、青山さんはそういった声に突き動かされ、再びジャンプするサラリーマン=ソラリーマンを撮影しはじめた。
 新作写真集『跳ばずにいられないっ!ソラリーマン ジャパン・ツアー』(青山裕企/著、徳間書店/刊)は、日本各地の“ソラリーマン”たちのカットを収録した躍動感溢れる一冊。青山さんのロングインタビューを行ったので、この写真集にかける想いを3回に分けて配信する。今回はついに最終回だ。
(新刊JP編集部/金井元貴)

■震災時、自分の写真がツイッターで拡散され「元気をもらえた」

― モデルになっている方々は30代が多いかなと思ったのですが、中には70歳を超える方もいらっしゃいます。60代の方々も結構いらっしゃいますし、日本各地のいろいろな方が集まっていますよね。しかも自薦他薦問わず。どのようにしてこの方々を選んだのですか?

「街中でいきなり声をかけるということはしていません。ネット上で募集をかけたり、人づてが多いですね。また、僕自身が東京に住んでいることもあって、被写体の方々も、はじめは東京の人が多かったんです。
ただ、女子校生の作品集もそうなんですが、日本らしい写真を撮りたいというのはずっと持っていました。あとがきにも書いたのですが、震災の影響もあってしばらくソラリーマンを撮っていない時期があったんです。すると突然、僕のホームページに掲載されているソラリーマンの画像がツイッターで拡散されていてですね、自分のところに回ってきたんですよ(笑)」

― それはすごいですね。自分の撮影された写真が。

「しかもそれが数回あったのかな。あれ? これ、見たことある、みたいな(笑)。しかもその写真が何千回もリツイートされていて、おじさんが跳んでいるだけなのになぜか元気が出るというようなコメントがついていて」

― それは嬉しいことですよね。

「そうなんですよ。ソラリーマンがネットの中、つまり世界中を跳びまわっている姿を想像していたら、自分も動かなきゃなという気持ちになって。それに東京のソラリーマンを撮って日本を表した気になっていた節もあったので、きちんと自分の足で日本をまわろうと決めて、一年かけて撮影した人をほぼ全員載せました。
旅先でいろんなソラリーマンを跳ばせながら、日本を元気に変えてゆくような気持ちでしたね」

― 時折、著名な方がさりげなく出てくるのも面白いですよね。キャスターの草野仁さん、元メジャーリーガーの村上雅則さんとか。

「こういった方々も縁あって撮らせてもらうことが出来ました。前作も平沢勝栄さんやサンミュージック会長の相澤秀禎さんが跳んでいて、縁で撮っています。だから、この人を跳ばせたら面白いなと考え過ぎるとよくないですね。さりげなさが重要だと思います」

― 普通であればそういった方々を表紙にしたりしますよね。

「そうですよね、たとえば草野さんを表紙にしたらもっと目を引けると思いますけど、誰かが特別目立ちすぎることはしたくないんですよね。だから、そういった方々もいろんな働く人たちの一人として、写真集の中にうまく溶け込むように意識はしました」

―本作では19の都道府県でソラリーマンを撮ってきたということで、まだ撮影は続くと思いますが、今後行ってみたいところはありますか?

「全県制覇することに意味はないと思いますが、運よく日本をまわりはじめて一年で本にすることができたので、まだ行ってないところに行ってみたいですね。もともと本にするアテもなかったんですよ、実は」

―そうだったんですか。では、撮ってみたい人とかいらっしゃいますか?

「すごく評判の良い写真があって、父と娘の二人で写っている写真ですね。前作は全て男性一人で写っている写真だったのですが、今回は家族や夫婦の写真も入れていて、その中でも僕は、父と娘という関係にすごい執着があるんですよ。
父と娘の写真は、今後の僕にとってのキーポイントになるかなと思っています。
今までは自分の父親とソラリーマンを重ねている部分がありましたが、最近は自分が父親になっていく可能性を考えているというところで、家族というテーマが大きくなってきてるんじゃないかな」

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