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日本の「水」に忍び寄る危機の本質とは?

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 数年前から、外国資本による日本の水資源の買収が相次いでいることが話題になっているが、その事態は深刻化しているという。
 これまで日本の水問題について執筆活動を行ってきたジャーナリスト、橋本淳司氏の新刊となる『日本の地下水が危ない』(幻冬舎/刊)は、水資源をめぐる諸外国の動きや、日本が水問題に対してどのように取り組んでいるのか、そして今の課題について迫っている一冊だ。
 新刊JPニュースでは今回、橋本氏に対して、本書の内容を中心に自治体が地下水の危機に対しどう取り組めば良いのか、報道の裏で一体何が起きているのかについて質問することができた。今回はインタビューのその前半をお送りする。橋本氏の提言は重要な示唆を与えてくるだろう。
(新刊JP編集部)

  ◇    ◇    ◇

―まず、日本の地下水がここまで海外資本の手に忍び寄られているとは思いませんでした。以前にニュース番組でこうしたことが起きているということは見たことがありましたが、日本人はまだこのことに無関心であると思いますが、橋本さんはどのようにお考えですか?

「多くの人は、水や食料を商品として考えることはできても、実際にその水がどこからやってくるのか、食料がどこで生産されているのかをリアルにイメージすることができなくなっています。
水道水、ペットボトル水、宅配水など、生活していくのに水は欠かせませんが、それらは蛇口から出るものであったり、スーパーで売られているものであったり、軽トラックで運ばれてくるものであったり、いずれも商品です。消費者が商品に求めるものは価格と品質のみ。生産過程にはたずさわっていないので水源のことは考えません。水源地の買収、水源の枯渇とメディアで報じられても、遠い国の出来事のようにしかとらえられない。じつはここに危機の本質があります」

―この水資源の危機は、単なる海外資本の進出というだけの話ではなく、日本における農村の衰退やコミュニティの崩壊、さらには先祖伝来の土地を守るという伝統的価値観の消失といった、構造的な問題も含んでいるように感じますが、橋本さんはどのようにこの危機の要因を捉えていますか?

「海外資本が買うと言われますが、見方を変えれば売っている日本人がいるということ。林地が売られる原因の1つは林業の低迷です。日本の木材自給率は2割。外国産材があふれ、生産コストや人件費がかかる国産材の需要は減少し、林業は商売として成り立たなくなりました。そのため山を手放したいという地主が増えました。
収益は生まず、管理費用と税金だけがかかる林地は地主にとって重荷です。「外国人だろうと日本人だろうと買ってくれるなら誰でもいい」「水が欲しいというのなら水はある。外資だって金さえ出してくれるなら売ってしまいたい」と言い切る人もいます。
森は保水機能、浄水機能をもち、地主だけでなく周辺地域によい影響をもたらす共有資産ですが、そうした見方がされることはありません」』

―橋本さんがジャーナリストとして取材や調査をするなかで、日本人が持っている地下水や水源に対しての価値観の変化を感じることはありますか?

「水の安全性を求める一方で、持続的な水利用という視点が欠落しています。2011年3月11日に発生した東日本大震災以降、地下水利用は活発になりました。地下水は、水資源として安定していますし、取水が容易で費用が安い。
そして放射性物質の影響を受けにくい。地表が放射性物質に汚染された地域でも、放射性物質は地表数センチのところに止まっているため、深いところにある地下水は影響を受けにくい。地下水が直接汚染されない限り、表流水よりも安全だといえます。
震災後の1年で掘られた井戸は2万本と推計されています。個人による地下水利用が増加したこともありますが、企業の地下水利用、既存ボトル水メーカーの増産、ボトル水事業への新規参入も増えました。2011年のペットボトル水市場は、生産量317万2207キロリットル(前年比26%増)、販売金額2347億5200万円(同26・72%増)と量も金額も大きく伸びました。
外国資本が森林を買収、水資源に近づいていることはメディアで報じられていますが、既に、中国富裕層向けの宅配水事業が始まっていることはあまり知られていません。中国資本の水源地買いには神経を尖らせるマスコミも、日本企業が水源地を購入、外国に持ち出すことには寛容です。
これだけ地下水利用が活発になると「枯渇しないだろうか」という懸念が当然起こりますが、地下水量は把握されていません。自治体で地下水量のデータをもっているところは、ごくわずかです」

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