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就活早期化で内定ブルーの若者が増加 人生考え直して辞退も

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 就職難の時代でも、せっかく内定を辞退をする者もいる。どんな理由で、どのように内定を辞退するのか。作家で人材コンサルタントの常見陽平氏がレポートする。

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 今回は内定辞退の現状についてレポートします。就活をめぐる学生と企業の力関係は、実は微妙です。学生に逃げられる企業の採用担当の苦悩をお伝えしましょう。

 2月になり、各社の人事担当者は説明会に書類選考に面接と、2014年卒の採用活動に大忙しです。

 2013年度採用から経団連の倫理憲章が改訂され、大学3年生の12月スタートとなり2年目となるこのシーズンは、一言で言うと、学生も企業も過密スケジュールの様子。ともに昨年より活発に動いている印象です。株式会社マイナビが発表した「2014年卒マイナビ学生就職モニター調査」によると、1月時点でのエントリー数は58.5社と、2013年度の54.1社よりも4.4社多くなっています。夏のインターンシップに参加した学生にもう内定を出した企業もあります。倫理憲章は守っているふりをしつつ、巧妙に破られているという印象です。

 このように、2014年度の採用が加熱しつつありますが・・・。採用担当者が内心、ドキドキしていることがあります。それは、「内定辞退」です。そう、この時期はハラハラするのです。突然、電話が鳴ったり、メールが届いたりするのです。2014年度の採用活動に没頭しつつも、この内定辞退者の対応に頭を痛めるのです。

 リクルート(現リクルートキャリア)が発表した『リクナビ就職白書2012』によると、内定辞退があった企業の割合は85.8%。特に1000人以上の企業は「いた」と答えた割合が9割をこえています。企業が内定を出した総数に占める内定辞退者の割合をみると、10%未満はわずか5.9%。10%以上30%未満が40.0%ともっとも多く、50%以上と答えた企業も19.2%あります。

 たしかに、不人気業界などは、それこそこぼれ落ちる砂のように内定辞退があり、さらには入社後も離職・・・。あらかじめ多めに内定を出すというのが慣例化しています。ただ、これらはたいてい秋ぐらいに決着がついているのですよね。入社前の辞退は人事としてもハラハラするわけです。

 この時期の内定辞退のパターンは大きく3つ。1.単位が取れなかった、2.他社に内定した、3.進路そのものに悩んでしまった、です。

 最も多いのは、「単位がとれなかった」「単位計算を間違っていた」というパターンです。たいていの場合、全然たりないというよりは2単位程度なのですけどね。泣きながら電話してくる人もいますが、卒業できないのはしょうがないですねえ。この時に採用担当者は「だらしないところ、ツメが甘いところを見抜けなかった・・・」と落胆したりします。

 中には「想像どおりの豪快な奴」と認定されることもありますが。私の友人にも2単位たりずに卒業できなかった人がいました。落とした単位の教授に「なんとかお願いします!」と言ったら、「なんで、もっと早く相談しなかったんだ?」と言われたとか。・・・早めに相談すれば何とかなったのですかね?都内の中堅私大では、「自分が卒業できずに入社できなくなったら大学の就職実績に響くでしょ?」とキャリアセンター長を説得し、二人がかりで単位を落としそうな教授を説得したとい強者もいましたが。

 卒業できなかった場合の対応は各社によりますが、いったん内定取り消しというパターンが多いようです。ただ、90年代などと比べると就活が早期化しているので、大手を受ける場合は再試験も大変という。また、採用人数や採用基準は変化していくので、再び合格するかどうかは分かりません。

 もう一つのパターンは、入社前により魅力的な企業から内定が出たパターンです。実はこれが増えています。新卒の求人は回復傾向が顕著で、内定が出た後、大手を含め追加募集があり、そこに応募して合格というケースですね。都内の私大の就職課職員によると、最近、学生からの相談で最も多いのが、内定辞退の伝え方についてです。就職課が開催する就活講座でも内定辞退のやり方は人気コンテンツになっています。時には、就職課職員が企業に謝罪、経緯説明に訪問することもあるとか。

 これに近いパターンが、「人生考えちゃった」パターンですね。「やっぱり企業社会はむいていないのでは?」「学生時代に、やり残したことがある・・・」卒業寸前にそう考えて、内定を辞退して資格試験の勉強を始めたり、大学院進学を考えたり、留学に出かけたり・・・。中には内定辞退をして起業をする人も。

 我が国の法律や判例から言うと、企業が内定取り消しを行う場合の条件は厳しいのですが、学生が内定辞退をするのは限りなく自由に近く、入社の2週間前までに伝えれば可能なのですね。

 私の見解ですが・・・。この内定辞退も、現在の就活の歪みを象徴していると言えます。まず、企業と学生の力関係です。内定者の中でもデキる学生ほど、他に取られる可能性もあるわけで。ここでの綱引きがあるわけですね。ここ数年、厳選採用が続いていましたが、各社の採用基準が、自立型であり、自分で勝手に学び成長する「自立・独習型高ポテンシャル人材」というタイプで似通っており、同じような人材の取り合いになっていました。そのため、内定辞退リスクも高くなるわけですね。今後、求人の回復により内定辞退はより深刻になるでしょう。

 また、キャリアセンターの職員が企業に謝りに行くという事例ですが、これもまた企業と大学の力関係を物語っています。「それは、大学のやることか?」「過保護では?」という話になるかもしれませんが、大学としてはその企業に嫌われたくないからであり。

 大学のキャリアセンターは2000年前後から充実していきましたが、これにより学生も、ゼミの指導教官も進路についてキャリアセンターに依存するという状態が顕著になっていきました。関西の有名私大の元キャリアセンター長だった教授はこう語ります。「本学は日本トップクラスのキャリアセンターを作ったと自負している。ただ、それがいいことだったのかどうか、センター長を離れた今、自問自答している」便利になったことが学生の自主性を奪ったのではないかと思っています。

 「人生考えちゃった」系は、実はこれ就活の早期化と関連しているのではないかと私は見ています。早期に内々定が出るわけで、入社までの時間があいているがゆえに、だんだん内定ブルーとなり、進路について悩むわけです。企業もそうならないように、内定者研修を早めに始めたり、頻繁に面談をしたりしているのですが。

 内定辞退もまた、現在の就活の問題を象徴しています。採用担当者にとってドキドキの日々は続きそうです。ちゃんと入社したらいいですね。はい。



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