見損なったAKB48

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見損なったAKB48

今回は町村泰貴さんのブログ『Matimulog』からご寄稿いただきました。

見損なったAKB48

今をときめくAKB48なのだが、とてもがっかりさせられる映像を見てしまった。

メンバーの一人の女の子が、丸刈りにした頭でビデオに登場し、涙ながらに謝罪するというビデオであり、これがYouTubeのAKB48の公式チャンネルに掲載されている。

不愉快だし、多くの人に見せるべき映像とは全く思わないので、リンクも貼り付けもしない。

要は禁止されている男女交際をして週刊誌に報じられ、処分を受けるというのに対し、謝罪するという趣旨なのだが、YouTubeの公式チャンネルに彼女が独断でビデオを公開することができるはずもなく、AKB48としてこの映像を晒し者にしていると評価できる。

見てまず思ったことは、この子、何歳くらいなのか知らないけど、高校生という訳じゃあるまいに、こうまでしてAKB48にしがみつかなきゃならないのかね、ということだったが、それはともかく、このビデオで見られることはセクハラ、パワハラ、いじめ、リンチ、そして体罰と呼ぶべき行為だ。

例えてみれば、小学生とか中学生とかが、仲間内で気に入らない逸脱行動(仲間内のルール違反も含む)をしたメンバーに対して、制裁だといって性的に屈辱的な格好をさせて謝らさせ、それをビデオにとってネットにアップするという、いわゆるサイバーブーリングと全く同じである。

制裁を加える側は、本人がそうしたいといったんだ、本人が望んでしたことだと言うだろう。そうしたいと言わざるを得ない状況に追い込んでいることは棚に上げて、自分で選んだことだ、強制はしていないというだろう。
加えて許してほしい方は、自分から望んでしたことだ、誠意を見せたんだと言うだろう。しかしそれはグループに残りたい一心であり、そう言わざるを得ない状況にあるからである。

経済的な理由で、あるいは社会的な名誉や信用などの理由で、不利益を課せられるおそれがあるときに、それを回避したい側が謝罪して許しを乞うという状況は、謝罪する側が圧倒的劣位にあり、謝罪させる側が優位にある。そのような状況下で、謝罪する側が普通ならやりたくない性的行為を強いられるのをセクハラといい、謝罪する側が普通なら我慢できない屈辱を耐えさせられるのをパワハラという。集団内で劣位にある者に望まない行為を強いるのをいじめという。肉体的に傷つけるのを体罰という。普通の女の子にとって、丸刈りにして謝罪するシーンをビデオにとってYouTubeで公開するということは、上記のような力関係にある中では文字通り強制されてやっていることだ。

ちなみに小中学生はそこまで悪知恵が発達していない。というよりも、小中学生は悪いことだという認識が足りないから、本人の同意を盾にとろうとしない。先生がいじめはいけないことだ、こういう仕打ちはいじめだと具体的に指導して悪いことを認識した子どもたちは、初めて本人が同意したんだ、いや本人がやりたいといったんだと言い出す。本人の同意をエクスキューズにするのは、これが理不尽な仕打ちだということを重々承知している証左でもある。

AKB48は直ちにビデオを削除し、このような行為を本人にさせてしまったことを逆に謝罪すべきである。

執筆: この記事は町村泰貴さんのブログ『Matimulog』からご寄稿いただきました。

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