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字の筆順は誰が決めた?

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 パソコンやケータイの普及によって、字を書く機会が減ってきてはいないだろうか。そして、その結果、必然的に漢字が書けなくなる。そうなると筆順もめちゃくちゃ…ということになってはいないだろうか。

 『筆順のはなし』(松本仁志/著、中央公論新社/刊)では、筆順に対する誤解を解き、改めて筆順の有効性を理解するためにこれまで知る機会の少なかった筆順についての情報を紹介する一冊。

 そもそも筆順は、誰が決めたのだろうか?
 現在の筆順は、「義務教育諸学校教科用図書検定基準」という国が定めた基準の「第3章 各教科固有の条件」の中の[国語科「書写」]に、「1選択・扱い及び構成・排列」「(4)漢字の筆順は、原則として一般に通用している常識的なものによっており(後略)」とあるので、「一般的に通用している常識的な」筆順であると判断する主体、すなわち教科書検定を行う国(文部科学省)が決めたことになる。

 一昔前の昭和33年には、『筆順指導の手びき』という手引きが文部省から出されていた。これも国が主導して決めた筆順の基準ということがいえるもので、教科書検定でも基準とされていた。
国が主導して決めた基準の最初のものは、昭和16年からの国民学校期に称された第5国定国語教科書の教師用書所収の筆順だ。そこには668字の漢字が示されている。

 小学校で覚えた筆順で無意識のうちに漢字を書いている人が多数だろう。人が字を書いているのを見て、筆順間違いを発見するという経験もあるはず。しかし、今まで唯一の正解だと思っていた筆順は、そうとは限らないのだ。
 例えば、「上」という漢字の筆順は「|」からか?「ー」からか? 正解は「どちらも正しいとは言えないが、誤りでもない」だ。
 やけに曖昧な言い回しだが、これにはちゃんとした理由がある。
 「|」からの筆順は文部科学省が出した『筆順指導の手びき』(昭和33年)に示された筆順。一方、「ー」からの筆順は、『筆順指導の手びき』が出される前に社会一般でよく書かれていた筆順。ちなみに昭和16年から国民学校期で使用された第5国定国語教科書の教師用書所収では、どちらの筆順も並記されており、「ー」からの筆順の方が上位に示されている。
 もうどちらが正しいという判断はできない。その結果、「どちらも正しいとは言えないが、誤りでもない」という曖昧な答えになるのだ。

 小学校で習った筆順が唯一の正解ではないのが本書を読むとわかる。しかし、筆順が必要ない…ということではない。字形を整えやすい、文字を覚えやすいといった効果も筆順にはある。筆順の歴史やルールを知ることで、日本語、漢字を深く学べるのではないだろうか。
(新刊JP編集部)



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