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アップルとディズニー 顧客をファンに変える共通の法則とは

 アップルストアは、いつ訪れても製品のデザインに負けず劣らず洗練されているイメージがある。余計なものを置かず、すっきりとしている点は、まさしくアップルの製品コンセプトに重なる。
 しかし、アップルの成功要因について、スティーブ・ジョブズのプレゼンや製品の革新性にフォーカスされることはあるものの、アップルストアがクローズアップされることは少ない。

 ベストセラーとなった『スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン』シリーズの3冊目となる『アップル 驚異のエクスペリエンス』(カーマイン・ガロ/著、井口耕二/翻訳、外村仁/解説、日経BP社/刊)は、このアップルストアを通して顧客を大ファンに変える法則を説明する一冊だ。

 顧客満足度が高い例としてよくあげられるのがディズニーランドだが、アップルストアとこのディズニーランドには大きな共通点がある。
 ジョブズファンなら常識かもしれないが、ジョブズは生前、ディズニーの最大株主であり(現在はジョブズの妻が家族の信託財産としてディズニーの株式を管理している)、ウォルト・ディズニーを尊敬し、ディズニー社が一貫して優れた顧客体験をどう生み出してきたのかを研究していたという。また、ディズニー社もディズニーストアの立て直しでジョブズからアドバイスを受けている。
 そのため、アップルストアとディズニーランドのサービスは似ているところが多い。本書から3つ、ピックアップして紹介しよう。

■セレクション
 まずは人材を選ぶ段階。アップルで優先するのは「ビジョン」だ。アップルのビジョンを共有でき、「この惑星で一番愛されるテクノロジーを生み出すという役割を自分もにないたい」と思う人を採用する。そこに、コンピューターの知識は必要ない。アップルの製品に愛を持っていて、さらに現場で相対する「人」について詳しく知っている人がいいのだ。一方、ディズニーもセレクションの際にはビジョンや文化が優先される。
 普通の組織ではまず仕事があり、その上で業務をこなせる人が採用されるものだが、アップルやディズニーのやり方は、それとは正反対といえるだろう。

■コミュニケーション、社内の環境
 普通の組織では、現場と上層部はなにかと対立しがちだ。しかし、アップルもディズニーも、そういった企業から考えれば驚くほど風通しが良いようだ。
 アップルでは、こんな例が紹介されている。とある従業員が自分の勤めているアップルストアの入り口にあるガラスドアについて、CEOのティム・クックに直接電子メールを送り、実際にクックから返信が来たことがあったというのだ。一方で、ディズニーは、リーダーたちは勤務時間の60%をキャストやゲストと一緒に過ごすべきとし、そこでフィードバックループを起こしている。
また、ジョブズは亡くなる前、アップル社員に「ジョブズならどうするだろうか」と考えて欲しくないと述べていたという。それは、組織のトップに立つ人が考えることを優先するのではなく、自分が正しいことをしろというメッセージである。それはアップルストアの従業員でも、ジョブズに正面からぶつかることができる環境をアップルは用意しているのだ。

■従業員たちへのケア
 従業員たちのモチベーションを高く持つためにいろいろな仕掛けを用意しているのも、2社に共通する特徴だ。
 普通、現場スタッフはリーダーでもない限り、本社の経営が一体どんな状況になっているのかあまり知る機会がないのではないだろうか。しかし、アップルでは現場のスタッフたちも四半期業績報告会に参加し、財務状況について説明を受ける。ただ、会議は退屈なものである。30分で数字の報告会は終わり、その後、2時間30分は懇親会が開催される。単なる「会議」ではなく、現場スタッフが交流し合い、絆を深めるのだ。
 ディズニーはキャストたちのモチベーションを落とさぬように、リーダーたちがユニークな承認方法をたくさん用意している。
 優れた顧客サービスは現場の従業員たちによってもたらされるということを、この2社は知っているのだ。

 アップルストアで働くスタッフたちは「アップル」というブランドを分かりやすく顧客に提示する必要がある。もちろん、インターネット上からでもアップルの製品の魅力は伝えることができるし、スティーブ・ジョブズに関する本を読んでワクワクさせることができる。しかし、実際に製品を手に取って試したい人が行く場所はまぎれもなくアップルストアだ。
 そこでスタッフが顧客に対して、いかにアップルというブランドをプレゼンし、経験させるかというところで、そのブランドイメージは大きく変わってくる。
 本書ではこんな風に述べられている。

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