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円安は安倍ラリーか?

円安は安倍ラリーか?

今回は脇田栄一さんのブログ『ニューノーマルの理』からご寄稿いただきました。
※記事のすべての画像が表示されない場合は、http://getnews.jp/archives/285043をごらんください。

円安は安倍ラリーか?

ここのところ、昨年末からの「円安トレンド」について、以下の論調を見掛ける事がある。

「ECBによるOMT(一般的には無制限緩和といわれる財政支援策)によって、欧州危機が沈静化し、円やドルからユーロに資金が流れるといったリスクオンが生じた」。

よって、「安倍総裁の(日銀への)強力な緩和要求によって円安トレンドが発生した訳ではなく、たまたま(円安発生)」といったものだ。

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これはどこまで本当なのだろうか?

結論からいってしまえば、今回の円安トレンドの原因は、米大統領選と11月のファンド解約期を通過した機関投資家が、ユーロリスクを取るようになった。しかし安倍首相の「日銀への脅し」も、それを助長している。米株、米国債利回り、ユーロドル、ユーロ円、上昇し始めたのはすべて11月中旬からだ。(以下説明)

まず、この話の前提となっているような、「ECBの財政支援政策(OMT)によって、欧州危機が沈静化」、という論調はどうだろうか?ECBのOMTが公表されたのは9月5日、ユーロ(ユーロドル)が上昇し始めたのは11月の中旬からなので、1ヵ月以上のタイムラグがある。この事実だけを踏まえれば、OMTが発表されて欧州危機が沈静化したとは言い難いように思える。タイムラグがあったのかも知れないが、実際のところ(欠陥だらけの)OMTが欧州危機を沈静化したとは考えていない。

円安は安倍ラリーか?

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OMTは各国政府への緊縮条件付きの政策であり、それに対してスペインが(条件を)すんなりと受け入れる事がなかった為、ECBとスペインとでもめていたのは周知の事実。OMT発表は9月5日だが、解決までに少々の期間を要し、そして危機が沈静化した、と見る事も可能だが、このユーロドルが上昇し始めた11月中旬、スペイン国債利回り(10年)はどうだったかといえば、11月15日には「危機水準」手前、5.9%を付けており、とても危機が終息した、といえるような状況ではなかった。(下図、スペイン国債利回り)

円安は安倍ラリーか?

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実際のところ、ECBとスペインの主張は平行線を保ったままであり、折り合う気配がつかなかった。そうするうちに、市場の話題は欧州危機から米国の危機、すなわち「財政の崖」議論へと焦点が(自然と)移っていった。つまり、ECBの財政支援策OMTは、実際には欠陥だらけのシステムで、スペインはそれを信用していなかった。そうこうしているうちに、市場の焦点が勝手に米国に向かったものだから、何となく危機は沈静化していった、という風に見られるようになってしまった。(市場はそんなもの)

欧州危機は忘れ去られ、「結果として」沈静化した。なので、「欧州危機の沈静化によってユーロ投資(リスクオン)が促進された」というのは、その経緯うんぬんを差し引けば、この表現自体は間違いではない。 ただ、ここで言いたいのは、「11月中旬からのユーロ上昇」となったのには、(冒頭で述べたように)機関投資家が、2つのイベントを通過して、運用リスクを取るようになった事がその要因となっている。

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