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文筆家がインターネット時代を生き抜く方法(作家 岩崎夏海)

ハックルベリーに会いに行く(岩崎夏海)

今回はハックルさんこと岩崎夏海さんよりご寄稿いただきました。

文筆家がインターネット時代を生き抜く方法(4,822字)

昨年の出版界は、1年を通してあまり良いできごとがなかった。

雑誌の発行部数は減り続け、廃刊も相次いだ。書籍もベストセラーが出ず、ミリオンは土壇場で大量に増刷した「聞く力」以外なかった。
理由ははっきりしている。インターネットだ。インターネットが出現したことによって、人々が本にお金を払うことでしか手に入れることのできなかった情報を、インターネットからほとんどただで手に入れられるようになったのだ。

その一方で、書籍の電子化には少なからず動きが見られた。楽天のKoboとAmazonのKindleがスタートして、多くの出版社が電子書籍の出版に前向きに乗り出した。
しかしながら、電子書籍の市場はいまだ大きなビジネスを生み出せずにいる。電子書籍を読むのは電子ガジェットに敏感な人々ばかりで、一般の人々にまでリーチするには至っていない。そのため、紙の書籍と比べると売り上げは桁違いに低い数字にとどまってしまっているのだ。

出版界は、紙の本が売れなくなったのに加え電子書籍の売り上げも伸びず、市場が急速に縮小してしまった。そのあおりで、文筆家も仕事が減ったり収入が減るなどして苦しんでいる。生活が立ちゆかなくなる人も増えた。10年前と比べると、いや5年前と比べても、文筆家は全く生きにくい時代に突入してしまったのである。

そんな時代に、文筆家が生き抜くためにはどうすればいいのか?
その答えの1つとして期待されているのが、有料メルマガである。あるいは、ニコニコ動画の立ち上げた有料ブログサービス――通称ブロマガだ。

テキストコンテンツ――いわゆる「文章」は、インターネットとの親和性が高い。軽いデータでやり取りできるし、編集やコピペも簡単だ。
そのためインターネット時代の今は、世の中にテキストが溢れかえるようになった。文章なら誰でも書けるから、多くの人がテキストコンテンツを発信するようになったのである。おかげで、人々の「文章を読みたい」という飢餓感は、容易に満たされるようになったのだ。

インターネット時代に価値を持ちにくくなったテキストコンテンツの代表格に、「ニュース」というものがある。例えば、誰それが国会で首相に任命されたというニュースは、誰か一人の記者が提供すれば、残りの記者は必要ない。いや、国会に参加していた議員がそれを現場からツイートしてしまえば、その一人の記者でさえいらなくなる。

このように、ニュースにお金を払う価値が少なくなったこの時代に、文筆家はどのようにして食べていけばいいのか?
そのことについて、上記の事象を念頭に置きながら、ぼくは約4ヶ月間、有料ブロマガの執筆に取り組みながら考えてきた。その中で、やがてインターネット時代に文筆家が生きていくためには鍵となるであろう3つの条件というものが浮かび上がってきたので、今回はそれらについてここに書きたい。

ところで、ぼくのブロマガの購読料は月額840円である。これで月間約22本の記事を書いているから、1本あたりの記事に直すと約40円というところだ。
また、月額840円というのは年間に直すと約1万円になる。そのため、1万円掛けるブロマガの購読者数が、だいたい年間の売り上げということになるのだ。

2013年1月13日現在、ぼくのブロマガの会員数は535人である。ということは、年間にすると535万円の売り上げが見込めることになる(あくまでも見込みだが)。
また、この中からサービス事業者であるドワンゴにマージンを払ったり、ぼくのマネジメントをしてくれている事務所にもマネジメント料を払ったり、さらには動画制作を手伝ってもらっているバイトくんに賃金を払ったりすると、だいたい4割くらいがぼくの手元に残ることになる。つまり、会員数が535人だと、年間で214万円がぼくの収入ということになるのだ。

これは、果たして高いか安いか?
それは、人によって評価の分かれるところだろう。これだと、独り身ならなんとか暮らしていける金額かもしれないが、扶養家族がいるとちょっとつらい。
そういう労働条件の中で仕事をしているという前提で、以下に、ぼくがブロマガ執筆において取り組んでいる、3つの施策について紹介する。

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