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日銀の金融緩和がデフレ不況を生み出した【書評】

日銀の金融緩和がデフレ不況を生み出した【書評】

今回は橘玲さんのブログ『Stairway to Heaven』からご寄稿いただきました。
※すべての画像が表示されない場合は、http://getnews.jp/archives/281278をごらんください。

日銀の金融緩和がデフレ不況を生み出した【書評】

自民党の大勝と安倍政権へのリフレ+円安期待で株価が大きく上昇している。このまま景気が回復すれば素晴らしいことだが、「そんなウマい話がほんとうにあるのか?」と疑問に思うひともいるだろう。デフレ脱却がそんなにかんたんなら、民主党政権はもちろん、小泉政権や第一次安倍政権のときにさっさとやっておけばよかったからだ。

もちろん、「金融緩和どころか金融引き締めをした日銀がぜんぶ悪い」という意見があることは知っている。これに対しては、「日銀がいくら金融緩和してもデフレからは脱却できない」とういう有力な反論があって、すでに10年以上にわたって激しい論争が続いている。

そこで、経済学者・吉本佳生氏の『日本経済の奇妙な常識』*1を紹介したい。吉本氏はここで、「日銀が金融緩和(ゼロ金利政策)をしたから日本経済はデフレ不況に陥った」と述べている。

*1:「日本経済の奇妙な常識 (講談社現代新書) [新書]」 吉本 佳生(著) 『amazon』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4062881284/

吉本氏は、日本経済(と世界経済)のターニングポイントは1998年にあるという。その論旨の骨格部分を、同書に掲載されている図版をもとに説明してみよう。

日銀の金融緩和がデフレ不況を生み出した【書評】

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上図は、資源の国際価格と日本の消費者物価を時系列で比較したものだ。これを見るとわかるように、98年までは資源価格は安定し、日本の物価はわずかずつであるが一貫して上昇していた。ところが98年を基点に(とりわけ02年以降)、資源価格が急速に上がったにもかかわらず、消費者物価は逆に下落している。

この関係は通常、「資源価格の上昇にもかかわらず日本ではデフレが続いた」と説明される。しかし吉本氏は、「資源価格が上昇したからこそ日本経済はデフレになった」のだという。この資源価格を高騰させた元凶(のひとつ)が、日銀の金融緩和(ゼロ金利)政策だ。

ところで98年には、アメリカ経済にも大きな変化が起こった。好調な景気を受けて、財政収支が黒字に転じたのだ。

日銀の金融緩和がデフレ不況を生み出した【書評】

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バブル崩壊後、日本政府は大規模な公共投資と低金利政策によって景気を刺激しようと苦闘してきた。しかし開放経済では、低金利の日本円は国内の投資に向かわず、外貨に両替されて海外資産の購入に使われた。いわゆる円キャリートレードだ。

とはいえ、日本の銀行から引き出された円資金は、海外の株式市場や債券市場、不動産市場に満遍なく投資されたわけではない。投資家の大半は、円とドルの金利差から、低利の円を借りて高利の米国債を購入した。

ところがアメリカが財政赤字から黒字に転じたことで、市場にはじゅうぶんな米国債が供給されなくなってしまった(財政黒字なら、新規国債を発行してファイナンスする必要がない)。そのため投機マネーは行き場を失い、米国の株式市場に流れ込んでインターネットバブルを起こし、その後は商品(コモディティ)市場で資源・エネルギーや農産物などの価格を高騰させた。

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