選挙特番で見せた池上彰の“反論”の技術

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 今月16日に開票された第46回衆議院議員総選挙は、自由民主党の大勝に終わりましたが、もう一つし烈な戦いが繰り広げられたのが各テレビ局で放送された「選挙速報特別番組」の視聴率合戦です。

 各テレビ局で目玉のキャスターを用意し、それぞれの党に勝因や敗因、今後についてインタビューしていた中でひと際切れ味鋭い質問をぶつけていたのが、テレビ東京のTXN衆院選SP「池上彰の総選挙ライブ」のメインキャスターである池上彰さんです。
 日本維新の会の石原慎太郎代表の発言に対して「こういう呼び方をするから暴走老人と呼ばれると思うんですけれども」と痛烈に批判。石原氏がその発言に怒る素振りを見せる中で、スタジオから拍手の音も聞こえてきました。

 結果的に、視聴率8.6%をマーク(ビデオリサーチ調べ、関東地区)し、大健闘。さらに翌日以降、インターネット上では池上さんの直球質問がまとめられるなど、さらに存在感を示す結果となったわけですが、池上さんは「質問」だけでなく、「反論」においても相手に切れ味鋭く切り込んでいます。

 それは、池上さんが日本維新の会の橋下徹代表代行に質問をしているシーン。
 維新の会で当選した議員たちが橋下代表代行の目の届かないところに行くことについて心配はないかと聞くと、橋下代表代行はテレビ東京を例にあげ、「社長は社員全員に目を届かせているのか」と指摘します。
 すると池上さんは、「会社経営と政党運営は別の話で・・・・それを比較するのは乱暴なことだと思うのですが」と、そもそもの前提に疑いを投げかけ、さらに、そのまま「来年の参議院選挙は出るんですか?」と違う質問をさり気なくぶつけたのです。
 感情的にならず、あくまでも淡々と質問をする池上さんのスタイルは見ていて気持ちのいいものがあります。

 この「感情的にならない」ことは、弁護士の木山泰嗣さんも特に人に反論する場面で重要だと言います。
 木山さんが執筆した『弁護士だけが知っている 反論する技術』(ディスカヴァー・トゥエンティワン/刊)によれば、感情の入った熱い議論を展開すればするほど、その人たちの価値観や人生経験などが刺激され、頭をもたげてくるそうです。
 感情的にならず、視聴者の聞きたいことそのままぶつけた。だからこそ番組がスピーディーに展開し、多くの人を惹きつけたといえるのではないでしょうか。

 また、橋下代表代行は「乱暴な話でもなんでもない」と反論を加え、政党の組織マネジメントの重要性を展開し、その上で池上さんの「参議院選挙に出るのか?」という質問に真摯に答えています。
 橋下代表代行もそこまで感情的になっている印象を受けなかったのは、弁護士としてのスキルでしょうか。そういった意味では、この二人の議論は見ごたえがあったはずです。
(新刊JP編集部)



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