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お寺と人の縁結び 消しゴムはんこ法話ワークショップ「諸行無常ズ」レポート

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“消しゴムはんこのお坊さん”麻田弘潤と、消しゴムはんこ作家の津久井智子による”消しゴムはんこ法話ワークショップ”ユニット「諸行無常ズ」のワークショップが東京都内のお寺2カ所(神谷町光明寺・浅草緑泉寺)で開催されました(寄稿:麻田弘潤)。

“世にも珍しい”消しゴムはんこ法話!?
消しゴムはんこ法話は仏教をモチーフにした図案で消しゴムはんこ作りを楽しみながら、仏教思想も一緒に学んでしまおうという、世にも珍しいワークショップです。

“世にも珍しい”とうたうだけあって、やっている本人たちもどんな結果が出るのか想像もつかなかったのですが、予想以上に楽しく、普通に法話や消ゴムはんこワークショップをするのとはまた違う手応えを感じました。

今回のワークショップはネット上での宣伝・チラシの配布の2点で参加者の募集。参加費は有料でした。

つまり、今回の参加者はお寺の組織を使った動員ではなく、告知を見て純粋に興味があった方だけが集まってきたことになります。参加者の年齢層は20代?30代、性別は女性がほとんど。男性中心のお寺の組織、法座に来られるのは高齢者がほとんどというお寺の現状とは、ずいぶん異なる参加者構成となりました。

消しゴムはんこ+法話への参加者のリアクションは?
参加された皆さんの感想を紹介しながら、日頃お寺に関わるものとして、諸行無常ズの役割・可能性を考えてみたいと思います。

まずは参加された皆さんのリアクションを見ていきましょう。

☆はんこ作りについて
「お寺でお釈迦様を彫っていると、写経をしているような気持ちになりました。そして、できあがったあの曼荼羅!とっても良かったです」
「全くの初心者で、心配していたのですが楽しくできました。不器用なのでちょっと大変でしたが、不器用なりに味が出ていて自分らしい作品ができて嬉しかったです」
「初心者でも作りやすく可愛いデザインで楽しめました」
「何から何まで用意されてて、簡単に参加できて楽しかったです」
「かなり楽しくてはまっています。津久井先生の図案がとても可愛くて大好きです」
「不器用なので参加前は不安でしたが、想像以上に楽しくできました」

☆法話について
「「縁起」のお話も良かったです。この頃いろんな縁というものを考えることがあったので」
「はんこ制作の過程と連携した内容で、実感しやすく良かったです。難しい話では伝わりにくい、本当に大切なことだけ伝わったと思います」
「もう少し法話を落ち着いて聞ける時間があっても良かったのではないかなと思いました」
「普段聞けない話で参加してよかったと思いました」
「自身の生活にも重なる内容で有難いお話でした。作業をしながら聴くことが少し困難なので、手を止めて聴く時間があればうれしいです」

☆全体的には

「夕方の大きな地震のあとで不安だったり、仕事のミスでピリピリしていた心がすごく落ち着いてよかった」
「気付き溢れる時間をありがとうございました!」
「仏教とはんこ作りというユニークな企画でとてもおもしろかったです。お釈迦様のはんこを作るというのには驚きましたが、法話とのリンクがとても上手で、一貫性のある良い企画だったと思いました」
「どうしてもメインが、はんこになりがちだとは思いますし難しいかもしれませんが、法話を聞くことで考えさせられることがあったり、心穏やかになったり、、ということも少し期待していたのですが、終わってみると実ははんこの方が印象が強かったかな…と惜しい気がしました」

☆仏教・僧侶・寺のイメージは変わりましたか?

「お坊さんにも消しゴムはんこ職人がいらっしゃるとは!と驚きました。若いお坊さんたちが、仏教について気軽に気負わずに教えてくれる機会をどんどん作ってほしいです。
日本の国で長年根付いてきた教えがあるはずなのに、全然身近でなかったりするので」
「敷居が高いような気がしていましたが、アットホームな暖かい感じがして良かったです。今回のような企画を通して、気軽に寄れる場所になれると嬉しいなと思いました」
「自分が思っているよりも近寄りやすい場所、人だと感じました」
「思っていたより緊張しないで伺うことができる場所だと思いました」
「仏教を会得した僧侶の方でもそれぞれの個性を活かし活動されていることは興味深いと思っています」

アンケートからはいろんなことが伝わってきます。
仏教・僧侶・寺のイメージは変わりましたか?という質問の中に「アットホームな暖かい感じ」「近寄りやすい場所」「思っていたより緊張しない」という回答がありました。
逆に言うと、それまでのイメージは「冷たい感じ」「近寄りにくい」「緊張しそう」だったということになります。

なぜこのワークショップがお寺のイメージを変えたのか?
ではなぜイメージが変わっていったのか考えてみたいと思います。

まず考えられるのが、法話に消しゴムはんこを取り入れたことだと思います。
感想を見てみると、皆さん「楽しい」という感想をもっていただいたようです。消しゴムはんこ作家として有名な津久井さんが参加してくれたので、消しゴムはんこのワークショップだけも満足度が高いのは当たり前なのですが、消しゴムはんこの持つゆるい雰囲気と、ワークショップ自体の楽しさによって、場の雰囲気は良い方向に持っていくことができました。

法話は、彫った図案(今回はお釈迦様)に沿ってお話しました。自分の作っていく物に関する話と、作ったものから見えてくる話をすることで、体験的に仏教思想を知っていただくように工夫してみました。

図案に沿った法話をしたことで、楽しみは楽しみ、法話は法話という区切りをる必要もなく、消しゴムはんこ作りの楽しい雰囲気をそのまま引き継ぎながら、リラックスした状態で話を聞いてもらえたようです。そのせいか、法話の内容も概ね理解していただき、好意的な反応をいただけました。

楽しい体験をしながら、その中で仏教にも触れてもらって気付きを持ち帰っていただく。こういった流れの中で、イメージも変えることができたようです。

楽しいだけじゃお寺の敷居は低くならない
寺院でイベントを開催する時に、私たちが最初に思うことは「たくさんの人に来てもらいたい」ということと、そしてそこで「仏教に触れてほしい」ということです。

それを実現するために、例えばアーティストを招いてライブを開催したり、落語家を呼んで落語の会を開いたりします。そうやって人を集めて法話の時間も設けるのですが、やはりアーティスト目当てで来られた方には、法話の時間はおまけ程度にしか感じないように思います。

私は『極楽パンチ』というイベントを7年にわたって開催しています。毎年本堂でキャンドルナイトライブを開催しているのですが、最初の頃はアーティストに食われっぱなしで、イベントの後には参加者に「アーティスト良かった!」という記憶しか残せませんでした。楽しいだけじゃお寺そのものの敷居は低くならないのです。

「今、なぜこのアーティストを呼ぶのか」「このアーティストが作り上げた空気によって何を伝えたいのか」といったことを考えるようになって、ずいぶん良い関係を築けるようにはなったと思います。

こういった経験から、単に人を集めるコンテンツとしての娯楽を利用するならば、ほとんど意味がないと感じています。

しかし、諸行無常ズのような形態をとると、どちらがメインということもなくなり、お互いの良いところを引き出しあいながら、1+1が2ではなく、3にも4にも膨れ上がる可能性があることを実感しました。

諸行無常ズは多くの課題を解決できる可能性がある
全体的な感想の中には、「もっとじっくり法話を聞きたい」という要望がありました。
今回のワークショップは今までそれぞれ単体でやっていたものを一つにまとめたので、まだまだぶつかりあう部分が多くバランスの調整が難しかったですが、例えば今回のように「法話をもっと聞きたい」という要望をいただいたときには、さまざまな場所で開かれている法座を案内できたのではないかと後になって思いました。

諸行無常ズは全てを単体で完結するのものではなく、今すでにあるコンテンツへのつなぎ役として重要な役割を担える役割があるのかもしれません。

具体的にいうと、現在のお寺は気軽に入ることができないイメージが強く、お寺の組織に所属していない限り、興味があってもひとりで行くことはなかなか難しいのが現状です。
でも諸行無常ズを絡ませることで、なかなかお寺に入れないライトユーザー的な層の方々に気軽に来てもらうだけでなく、仏教も知ってもらうことが可能になります。「お寺に人を集めたい」「仏教に触れてほしい」というお寺が抱えている課題を一気に解決できる可能性があります。

そこから従来のコンテンツである常例法座などへ自然な形で繋いでいく、縁結びとしての役割ができるのではないかと感じました。

次回は3月上旬に関西ツアーを予定しています。関西のみなさまはおたのしみに!
今後の予定は、諸行無常ズのFacebookページにてご確認ください。

合掌

※この記事は、麻田弘潤さんよりご寄稿いただきました。

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○連載:仏教なう

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