ビートルズに学ぶクリエイティブの秘訣

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 既存のやり方に捉われず、より効率的なやり方を見つける、みんなが考えもしなかったアイデアを出し、世の中にインパクトを与えるクリエイティブな人っていますよね?
 1960年代に先駆的な試みをいくつも行い、その後の音楽シーンに多大な影響を残したザ・ビートルズはその代表的な存在。例えば、彼らが作ったテレビ映画「マジカル・ミステリー・ツアー」は後のプロモーションビデオのさきがけとなりました。
 常に新しい試みを続けながら大ヒットを飛ばしてきた彼らはクリエイティブの才能の塊でした。

 放送作家として「ダウンタウンDX」や「爆笑 大日本アカン警察」など多数の人気番組を手掛け、ダウンタウンのブレーンとして知られる倉本美津留さんは、『ビートル頭(ず)―ビートルズの使い方 世界をビックリさせつづけるクリエイティブの本質』(主婦の友社/刊)で、常識を信じすぎない、想像を創造に変える、間違いもおもしろいヒントといったビートルズのアイデア発想法を取り上げながら、クリエイティブな人の行動や考え方に迫っています。
 では、倉本さんが言うクリエイティブな頭=ビートル頭を手に入れるためには、どうすればいいのでしょうか?

■自分と違うタイプの仲間を探す
 ビートルズのソングライティングの大部分を担っていたジョン・レノンとポール・マッカートニーは、それぞれ全く違う性格の持ち主でした。新しいものをガンガン作って、自分の考えを貫き通したいジョンと、コミュニケーション能力が高く、みんなから受け入れられたいポール。この二人が互いに切磋琢磨することで、ビートルズの楽曲が作られていったと言っても過言ではありません。
 倉本さんはこの法則をお笑いコンビのダウンタウンにも当てはめます。ジョンが松本人志で、ポールが浜田雅功。松本さんは「誰もやっていない笑いを作りたい」と考え、浜田さんはダウンタウンをメジャーにもっていきたいと思い、行動してきました。そんな正反対の2人だったからこそ、新しい漫才のスタイルを確立できたのでしょう。
 人はともすると自分と価値観や考え方が似ている人を好みがちです。しかし、今までにない新しいものを作るためには、価値観や考え方の違う仲間の存在が不可欠なのです。

■時間がない時ほど「ひらめきのチャンス」
 アイデアや企画を考える際は「ゆっくり時間を取れる時にやろう」というのが一般的。
 しかし、脳はギリギリの状態に立たされた時ほどフル回転するものです。
 アルバムを作りつつ、それとは別にシングルも出し、世界中をコンサートで回っていたビートルズは、全く時間がなかったはず。そんな状況下でも名曲を作り続けた彼らは、時間がないというプレッシャーを創造の力に変えていたのかもしれません。
 また、倉本さん自身もテレビ番組の企画会議に出るときは、何も準備していかないようにしているそうです。2時間の会議ならば、締め切りまで2時間。考える前に声に出してしゃべっていたことが企画のカタチになっていたということも多いといいます。
 良質なアイデアを出すためには、あえて時間のないギリギリの状況に自分を追い込んでみるのも一つの方法だといえます。

■完璧主義を捨てる
 いいアイデア、誰もやったことのないことなどを考えようとすればするほど、完璧主義に陥りがち。そしてその結果、せっかくのアイデアを間違いが怖いために形にしないということになってしまうこともあります。これはあまりにももったいないことです。
 楽譜の読めないビートルズが、音楽理論を超えて“自分たちがいいと思うこと”“気持ちいいこと”を求め続けて成功したように、たとえ正解ではなくても、自分の感性を信じてイメージで答えを出してみることも重要なのです。

 こうしたやり方を倉本さんは常に様々なテレビ番組で実践してきました。例えば答えをフリップに書いて見せる「フリップ大喜利」といった後に定番化するものから、地上波で単なる静止画を放送し、USTREAMをメインにする「ホワイトボードTV」のような大胆な実験的アプローチまで様々です。
 成功するか失敗するかは、やってみなければ分かりません。しかし、「マジカル・ミステリー・ツアー」のように、もしそのとき酷評されたとしても後に大きな影響を与えることもあるのです。

 本書には、真にクリエイティブでいるための“ビートルズのやり方”が、この他にもまだまだ取り上げられています。さらに同じビートルズに影響を受けたクリエイターたち(漫画家の浦沢直樹氏、ミュ−ジシャン・小説家の辻仁成氏、ビートルズの曲の邦題をつけた高嶋弘之氏、山崎まさよしやスガシカオを育てたオフィスオーガスタの森川欣信氏)との対談も掲載されており、実は様々なクリエイターが「ビートル頭」を使っていたことが分かります。
 企画力をつけたい人、誰もやったことのないことをやり遂げたい人は、20世紀で一番クリエイティブだったとも言える彼らから、学べるものがたくさんあるのではないでしょうか。
(新刊JP編集部)



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