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人口カバー率と実人口カバー率は何が違う?進化中のLTEとは――ドコモのLTEサービス「Xi(クロッシィ)」はどう戦っていくのか(後編)【コラム】

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今までやらなかった基地局“数”の比較も……
NTTドコモは今月16日、自社のLTEサービス「Xi(クロッシィ)」に関する説明会を開催しました。この説明会で見聞きしたことと、自分の実感とを総合してコラムを2回書くことにした訳ですが、Xiの品質改善について取り上げた前編は、予想以上に読んでいただけているようで、非常にありがたいです。この場を借りて御礼申し上げます。

さて、S-MAXをご覧の方はご存知かもしれませんが、第三世代携帯電話(3G)のうち、国内ではNTTドコモ、ソフトバンクモバイル、イー・アクセス(EMOBILE)が採用する「W-CDMA」という規格(海外では「UMTS」と呼ばれることも)は、元々、ドコモが研究・開発してきたものが世界規格化されたものです。

また、「LTE(Long Term Evolution)」についても、「Super 3G」という名称でドコモが研究・開発してきた成果が少なからず取り込まれています。ドコモは単なる移動体通信事業者(キャリア)ではなく、「移動体通信研究機関」という顔も持ち合わせている、世界でも珍しい存在です。研究機関でもあるドコモは、これからLTEをどう進化させていくのでしょうか。

一方、今のLTE界隈で話題なのが「人口カバー率」。各キャリアがそれぞれ違った基準を使って、その優位性をアピールしていて、消費者の混乱を招きかねない状態です。特に、ドコモの場合はその数値が他キャリアと比べて結構低く出てしまっています。これは、一体何故なのでしょうか。むしろ、数値の基準統一を図ろうとはしないのでしょうか。

ドコモのXiを巡るコラムの後編は、これらの事柄を取り上げます。

■LTE基礎特許保有数はオペレーターとして一番
冒頭にも書いた通り、LTE規格は、ドコモが最初「Super 3G」として3GPP(Third Generation Partnership Project)に提案した規格が下敷きのひとつになっています。「Super 3G」という名称からも分かる通り、第三世代携帯電話の究極形(3.9G)として提案されました。

その後、「LTE」という名称で規格化が進みますが、この名称も直訳すれば「長い期間の進化」で、やはり第三世代携帯電話から第四世代携帯電話への“橋渡し”という意味合いを多分に含んでいます。

人口カバー率と実人口カバー率は何が違う?進化中のLTEとは――ドコモのLTEサービス「Xi(クロッシィ)」はどう戦っていくのか(後編)【コラム】

元々はドコモが「Super 3G」として提唱したLTE規格
ただ、競合するau(KDDIと沖縄セルラー電話)とソフトバンクモバイルでは、自社のLTE(や、その類似規格の)通信サービスに「第四世代(4th Generation)」を意味する「4G」を付けています。これは、2010年に国連の通信関連機関であるITU(International Telecommunication Union : 国際電気通信連合)が「3Gを発展させた技術は“4G”って呼んでいいんじゃない?」という旨の勧告を出したことに由来しています。

前編でも書いたとおり、そもそもXiがLTEの通信サービスだと認知されていないことも多いドコモ。最近、ある意味慌ててXiの前に「docomo LTE」という枕詞を付けるようになりましたが、“4G”とは決して付けようとしません。

「“4G”への“橋渡し”として提案した会社のプライドとして、決してLTEごときに4Gとは付けられない」――とドコモは思っているのかな、と個人的には思っていたのですが、Super 3G提案活動に携わり、LTE規格についての説明を担当した取締役常務執行役員 研究開発センター所長の尾上誠蔵氏は「個人的には」としながらも、「(LTEに“4G”と付けないのは)こだわっているわけではない」とのこと。

“4G”という呼称を最初に積極的に使うようになったアメリカでは、W-CDMA規格の拡張で生まれたHSPA+も“4G”、WiMAXも“4G”、そしてLTEも“4G”、と消費者の混乱を招いてしまったため、枕詞的に“4G”と付けるのは得策では無い、と考えているのかもしれません。

人口カバー率と実人口カバー率は何が違う?進化中のLTEとは――ドコモのLTEサービス「Xi(クロッシィ)」はどう戦っていくのか(後編)【コラム】

ドコモは通信事業者で一番、全保有者でも4位タイで必須特許を保有
ドコモは“言い出しっぺ”でもあるため、LTE対応の端末・設備を作る際に必ず必要になる特許は、世界で4番目、サムスン電子と同じ数を保有しています。これは通信事業者としてはダントツトップで、通信事業者でありながらここまで沢山の特許を持っているのは本当に珍しい存在です。3GPPでの論文提出数も、オペレーター(キャリア)としてはトップです。

今回の説明会では触れられませんでしたが、W-CDMAと比較すると、必須特許や論文提出のシェア、という点ではちょっと“控えめ”になっている面があるんですよね。あと、LTEのサービスインも、“世界初”ではありませんでした。

これらは、ドコモがW-CDMA規格の確定を待たずにFOMAのサービスを始めてしまって、その後、確定した規格との差分を埋めるのに結構苦労したことに起因していると思われます。“先頭を突っ走る”とから、“周りに歩調を合わせる”ように方針転換したのかもしれません。それ以上に、国内メーカー勢のプレゼンス低下も気になります……。

■LTEの“次”、「LTE-Advanced」は既に動き始めている
3GPPでは、既に、LTEの後継規格、「LTE-Advanced」の策定作業を開始しています。LTE-AdvancedはLTEの完全上位互換で、現在のLTE端末もそのまま使えることが特徴のひとつです。今のLTEが3Gとは互換性が全くないのとは対照的です。

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LTEの“次”はもう始まりつつある…!

人口カバー率と実人口カバー率は何が違う?進化中のLTEとは――ドコモのLTEサービス「Xi(クロッシィ)」はどう戦っていくのか(後編)【コラム】

LTE-Advancedの最大の特徴は「キャリアアグリゲーション」
LTE-Advancedでは「キャリアアグリゲーション」という技術を使うことができます。既存のW-CDMAやCDMA2000規格、そしてLTEでは隣接する周波数帯を束ねて実効通信速度を上げる「マルチキャリア」技術を使うことができますが、LTE-Advancedのキャリアアグリゲーションでは、離れた周波数帯でも束ねることができるようになります。

最大で100MHz分の電波幅を利用して最大で下り100Mbps(理論値)で通信できるようになります。これに、「HetNet」と呼ばれる異なるセルサイズのエリアを共存させる技術を組み合わせてより快適な通信を実現するそうです。

なお、ドコモのXiエリアはすでにLTE-Advancedを視野に入れている部分もあり、そのせいで若干エリアに厚みが無いように感じてしまう面もある、との話です。

長期的視座を取り入れるのも良いのですが、そのせいで短期・中期においてXiユーザーが不快さを感じてしまうことがないようにしてほしいな、というのが正直なところです。もちろん、短期・中期的な対策をすると、次の規格を本格展開するときに厄介な面が出てしまうこともあるんですけどね…。

■基地局数は多ければいいの? 「人口カバー率」の定義の違いは誰のため?
今回の説明会では、ドコモとしては珍しく、基地局数と、人口カバー率についての資料を用意していました。他社比較、というとソフトバンクモバイルがよくやる手法で、最近はKDDIも他社比較をやるようになっています。ドコモが他社比較をするのは、自分の経験上、これが初めてです。これも、ある意味、ドコモの焦りというか、他社の戦略勝ちなのか…。

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ドコモとしては珍しい基地局数を比較した資料
まずは、23区内、政令指定都市、そして中核市では2.1GHz帯の基地局を他社より用意していますよー、というアピールです。ただ、2010年12月に商用サービスが始まったXiに対して、今年のiPhone 5とともに商用サービスが始まったauやソフトバンクモバイルと比較すると、随分ゆっくりエリア化しているっていう印象も同時に持ってしまうんですよね…。

auもソフトバンクモバイルも、当面の間は2.1GHz帯のLTEを使うのはiPhone 5とiPadシリーズの今シーズンモデルだけで、実質全てのLTEユーザーを2.1GHz帯に収容しなくてはならないドコモは結構分が悪い感じがします。

今冬モデルからは1.5GHz帯(一部モデルでは800MHz帯)が使えるようになり、若干収容、という面では余裕ができます。しかしながら、メインが2.1GHz帯であることは変わりなく、しばらくはLTEの快適さ、という点では苦戦を強いられるでしょう。

もっとも、基地局の数が多ければ、それだけで通信品質が上がるか、というとそうでもありません。基地局が多くなると、今度は基地局同士の干渉で通信速度が遅くなってしまったり、通信ができなくなってしまったりすることがあります。更に、基地局から先のネットワークの性能も見逃されがちですが、品質面では重要です。

いくら良い基地局設備をしたところで、それを支えるネットワークが強化されていないと意味が無いのです。ドコモは、基地局関連技術については他社以上のものを有していますが、そこから先のネットワーク面では、まだまだな面が見受けられます。単純に「基地局の数」を誇らずに、「目に見えないところ」の強化もしっかりやっていただきたいところです。

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総務省の「人口カバー率」定義では穴になることもあるという例
そして、最近話題になることが多い「人口カバー率」の定義に関する話。ドコモでは、総務省の定めた「市・特別区役所、町村役場、およびそれらの支所で通信できること」という定義に基づいて人口カバー率を算出しています。この定義に基づいて算出した場合の人口カバー率で、ドコモは今年度末(2013年3月末)の段階で75%のカバーを目指しています。

しかし、auやソフトバンクモバイルでは、「実人口カバー率」という異なる定義を用いています。これは、「全国を500m四方の正方形に区切って、その中で通信できれば、カバーしたこととみなし、そこに在住している人の割合」という定義です。“通信できれば”の定義は両者で異なりますが、ドコモの基準とは異なるのは明らかです。

ドコモが採用している総務省基準では、上の写真で例示しているとおり、市区町村としてはエリアになっていたとしても、一箇所でも圏外な市・特別区役所、町村役場およびそれらの支所があったとしたら「カバーしていない」とみなしてしまうのです。

今回の例示では、関東地方、近畿地方に所在する実在の市(名前は出していませんでした)が引き合いに出されていましたが、ある程度広い範囲をカバーしていても、この基準では「カバー率0%」になってしまうのはちょっとなぁ、と思ってしまいます。役所・役場・支所の周りだけがエリアじゃないのに…。

一方の「実人口カバー率」にしても、500m四方の正方形に区切っているのはau、ソフトバンクモバイルともに一緒なのですが、どのくらいの人が通信圏内なのか、という基準を非公開にしているためにちょっとモヤモヤしたものを感じてしまう訳です。

結局、各キャリアの出す地図式のエリアマップが一番参考になるんじゃないか、と思いきや、ドコモのFOMA HIGH-SPEEDのHSUPA(上りの通信速度が速い)エリアや、auの2.1GHz帯の4G LTEエリアのように、使える場所を文字だけで列挙、というケースもあり…。本当にユーザーのためを思うなら、面倒でも地図式にして欲しいところです。

ということで、とりとめのないかたちになってしまいましたが、ドコモのLTEに関する説明会を見聞きして思うところを書いてみました。今度はもうちょっと軽い何かを書きたいですね。

記事執筆:せう(Sho INOUE)

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※表示 – 改変禁止 2.1 日本 (CC BY-ND 2.1)

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