体験を伝える―『ガジェット通信』の考え方

面白いものを探しにいこう 本物を体験し体感しよう 会いたい人に会いに行こう 見たことのないものを見に行こう そしてそれをやわらかくみんなに伝えよう [→ガジェ通についてもっと詳しく] [→ガジェット通信フロアについて]

「地震雲」について考える(後)

「地震雲」について考える(後)

今回は山本弘さんのブログ『山本弘のSF秘密基地BLOG』からご寄稿いただきました。
※すべての画像が表示されない場合は、http://getnews.jp/archives/274095をごらんください。
※この記事の前編はこちらをご覧ください。
「「地震雲」について考える(前)」 2012年11月06日 『山本弘のSF秘密基地BLOG』
http://hirorin.otaden.jp/e258644.html

「地震雲」について考える(後)

誤解しないでいただきたいのだが、僕は地震の前兆現象そのものを全否定したいとは思わない。地震についてはまだ分からないことが多すぎる。地震の直前に発生するイオンや電磁波や低周波が、雲の生成に影響を与える可能性だって、ゼロではないだろう。

しかし、それはあくまで可能性であって、科学的に証明されたわけではない。

そして今のところ、「地震雲」は科学とはほど遠いところにある。というのも、「地震雲」を信じている人の多くは、地震や雲について無知なのだ。

googleで画像検索してみると分かるが、「地震雲」*1としてネット上にアップされている雲の多くが、明らかにただの飛行機雲*2や波状雲*3や放射状雲*4だ。

*1:「地震雲」 『Google画像検索』
http://www.google.co.jp/search?&q=地震雲&tbm=isch

*2:「飛行機雲」 『Google画像検索』
http://www.google.co.jp/search?&q=飛行機雲&tbm=isch

*3:「波状雲」 『Google画像検索』
http://www.google.co.jp/search?&q=波状雲&tbm=isch

*4:「放射状雲」 『Google画像検索』
http://www.google.co.jp/search?&q=放射状雲&tbm=isch

僕は子供の頃、よく飛行機雲を眺めていた。最初は細かった飛行機雲が、時間が経つにつれて横に広がり、広い帯になるのを見てきた。前にも書いたが、今は伊丹の近くに住んでいるので、飛行機雲は頻繁に見られる。

ところが、世の中には飛行機雲を見たことがない、あるいは見た経験が少ない人がいる。そうした人がたまに飛行機雲を見ると、「おかしな雲だ!」「地震雲ではないか」と思ってしまうらしい。

「でも、地震雲が観察されて数日以内に地震が起きたという例が多いんじゃない?」

あなたはそう言うかもしれない。しかし、それはよく考えてみると、不思議でも何でもないのだ。

日本各地には大勢の地震雲ウォッチャーがいて、ほとんど毎日、「地震雲」(厳密に言えば、撮影者が「地震雲ではないか」と思った雲)の写真を撮ってネットにアップしている。

そして日本国内では、M8以上の地震が年平均0.2回、M7.0~7.9の地震が3回、M6.0~6.9の地震が17回、M5.0~5.9の地震が140回、M4.0~4.9の地震が約900回、M3.0~ 3.9の地震が約3,800回も発生している。

「地震について:世界や日本周辺ではどのくらい地震が起こっているのですか?」 『気象庁』サイト
http://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/faq/faq7.html#9

M5以上の地震に限定しても年160回。1日平均0.44回である。つまり「地震雲」が撮影されたかどうかに関係なく、ある日から数日以内に日本のどこかでM5以上の地震が発生する確率は、かなり高いのだ。

地域を「東北」とか「関東」とかに限定すると、確率は数分の一になる。仮に北海道、東北、関東、中部、近畿、中国、四国、九州の8つの地域に分割し、それぞれの地域の確率がおおざっぱに日本全体の1/8だとしても、年平均20回、1日で0.055回。10日間なら0.55回。やはり半分ぐらいの確率で地震が起こることになる。

こういうたとえで言うと分かりやすいだろうか。

「このクラスで授業中にチョークが折れたら、10日以内にクラスの誰かが病気で欠席するだろう」

この予言が当たる確率がかなり高いことは、誰でも分かるだろう。授業中にチョークが折れることも、誰かが病気で欠席することも、しょっちゅうあるからだ。だからといって、「チョークが折れること」と「誰かが病気で欠席すること」の間に、何か因果関係があるわけではない。

1 2次のページ
寄稿の記事一覧をみる

記者:

ガジェット通信はデジタルガジェット情報・ライフスタイル提案等を提供するウェブ媒体です。シリアスさを排除し、ジョークを交えながら肩の力を抜いて楽しんでいただけるやわらかニュースサイトを目指しています。 こちらのアカウントから記事の寄稿依頼をさせていただいております。

TwitterID: getnews_kiko

  • 誤字を発見した方はこちらからご連絡ください。
  • ガジェット通信編集部への情報提供はこちらから
  • 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。