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都市部でフルスペックのLTE展開ができないのはなぜ?――ドコモのLTEサービス「Xi(クロッシィ)」はどう戦っていくのか(前編)【コラム】

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“アピール下手”と言われるドコモですが……
2010年末からサービスを開始し、現在600万以上の回線契約を抱えるまでに成長したNTTドコモのLTE通信サービス「Xi(クロッシィ)」。ユーザー数の規模では、世界最大級のLTE(Long Term Evolution)サービスと言っても良いでしょう。

しかし、ここのところ、通信サービスエリアの広がり、通信速度……などなど、様々な面で後続の事業者の攻勢に遭い、苦戦を強いられています。特に、Xiが一体何なのか、FOMAと比べて何が優れているのか、という訴求(アピール)の面に関しては言い方がきついかもしれませんが、下手くそである、と言わざるを得ない部分もあります。

ドコモ自身もそれを看過している訳ではありません。16日に報道関係者を都内の会見場に招いて「ドコモにおけるLTEの取り組みについて」という説明会を開催しました。筆者は時間を上手く確保でき、この説明会に参加することができました。

そこで、Xiについて、説明会で見聞きしたことを踏まえて、自分が普段ユーザーとして使っている実感を交えて2回に分けて説明していこうと思います。前編は、「現在」のXiに関わる品質改善の取り組みについて説明します。少し長いですが、おつきあいください。

■下り100Mbps(112.5Mbps)はなぜ地方から?

都市部でフルスペックのLTE展開ができないのはなぜ?――ドコモのLTEサービス「Xi(クロッシィ)」はどう戦っていくのか(前編)【コラム】

16日から下り100Mbps(112.5Mbps)サービスが始まりましたが……
プレスリリースにもあるとおり、16日からドコモはXiにおいて下り最大100Mbpsでの通信サービスを開始しました。来年度以降の端末では、同じエリアで下り最大112.5Mbpsの通信ができるようになる予定です。

これは、今までの2.1GHz帯に加えて利用できるようになった1.5GHz帯の電波をフルに利用して展開されるサービスで、北陸・四国地方と沖縄県の県庁所在地などから開始されます。来春には、北海道、東北、信越、中国地方でも順次サービスが開始されます。

電波の利用できる幅が増えると、スペック上の最大通信速度が増すことはもちろんですが、同時に通信できるユーザー数も増えるので、通信の体感速度の改善も期待できます。

ここで疑問なのは、ユーザー数増加が特に多く、このサービスの恩恵に最大に与れるはずの東名阪(甲信・東海・関西)地域の対応が遅れることです。これらの地域と九州地方(沖縄県以外)では、この下り最大100Mbps(112.5Mbps)のサービス開始を再来年、2014年の春まで待たなければいけないのです。

ユーザーが多いエリアこそ、このような高速化・容量アップのサービス開始を急ぐべき。実際に、東京23区内やその周辺部では、Xiの導入したての頃が嘘であるかのように、通信速度が遅く、本来LTEの強みであるはずの遅延の少なさすらも感じられなくなってきています。場合によっては、FOMAの方が快適なんじゃなかろうか、と思ってしまうことすらあります。

どうして、そのような需要が逼迫するであろう場所が寧ろ“後回し”にされてしまうのでしょうか。

それは、これらの地域では1.5GHz帯の電波の一部が「MCA無線」という別用途に使われているためです。この帯域でのMCA無線サービスの終了予定日が2014年3月31日。それ以降でないと、これらの地域ではフルスペックのサービスを展開することができない、というジレンマを抱えているのです。

ただし、ドコモは、電波がフルに使えるようになるまでじっと待つ訳ではありません。これらの地域でも、条件的に可能な場所から下り最大37.5Mbpsのスペックで1.5GHz帯でのLTEサービスを開始し(既に東京都内にもエリアがあるとの話です)、2014年4月以降にできるだけ速やかに下り最大100Mbps(112.5Mbps)のサービスも始められるように設備面での準備を進める、とのことです。しばらくフルスペックはお預けではあるものの、今冬モデル以降なら一応東名阪でも恩恵に与れるシーンがありそうです。

■既存の2.1GHz帯を高速化して都市部でも快適に

都市部でフルスペックのLTE展開ができないのはなぜ?――ドコモのLTEサービス「Xi(クロッシィ)」はどう戦っていくのか(前編)【コラム】

FOMA→Xiへの移行によって、LTEに使う電波を増やして増速
1.5GHz帯でのサービスが始まるとはいえ、約600万いる既存Xiユーザーの多くは、しばらくその恩恵に与れない訳です。自分のように、約半年ペースで(≒毎シーズンごとに)スマホなりデータ端末なりを買い換えているならまだしも、普通は1年から2年、あるいはもっと長くひとつの端末を使うことが多いでしょうから。となると、初期段階からサービスを展開しているメインの2.1GHz帯サービスエリアにおける通信速度の改善も非常に重要です。

現在、Xiではほとんどのエリアで下り最大37.5Mbpsの通信サービスを提供しています。一部の屋内では、倍の電波幅を使って下り最大75Mbpsで通信できるエリアもあります。下り最大75Mbpsの屋内エリアでは、下り最大37.5Mbpsのエリアと比較すると通信がより快適に行えることがほとんどです。先ほど1.5GHz帯のエリアついてのくだりでも書いた通り、利用できる電波の幅が広がると、同時に通信できるユーザーの数も増えて通信の体感速度の改善も期待できるからです。

であれば、屋外でも2.1GHz帯における下り最大75Mbpsのサービスエリアをじゃんじゃん広げれば、と思うでしょう。しかし、なぜそうできないのか。それは、FOMA(3G)という存在があるためです。

実は、FOMAも2.1GHz帯の電波を主に利用します。Xiは、FOMAで利用していた電波の一部を転用してサービスを始めています。XiのスピードアップのためにFOMAの電波幅を削ってしまうと、Xiユーザーは快適になる一方、FOMAユーザーは不快になる、ということも想定されます。

Xi契約が600万回線を突破したとは言え、残りの約5400万回線はFOMA回線。まだまだ“Xiが主役”という状況ではありません。だからと言って、増え続けているXiユーザーがずっと不快な目に遭い続けることも良いことでは決してありません。

幸い、東京23区内では、ユーザーのXiへの移行が比較的順調に進んでいるようです。今年の5月から11月の約半年間で、Xiユーザーのトラフィック(通信量)が約1.8倍に増加した一方、FOMAユーザーのそれは約0.9倍と微減しています。この移行によって、一部、屋外でも下り最大75Mbpsで通信できる分の電波幅を確保できる場所が出てきたのです。

そこで、今年度末(2013年3月末)までに、約2万3000局あるLTE基地局のうち、約4000局(既に対応している屋内基地局も含む)において2.1GHz帯での下り最大75Mbps通信に対応するそうです。うち、東京23区内が約700局、京阪神地区が300局を占めます。方針としては、エリアを広げる、というよりはトラフィック(通信量)の多い既存基地局における通信速度面での改善を狙っています。

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山手線周辺に集中する75Mbps対応化する基地局
Xiへの移行が進んでいる山手線地域周辺では、かなりの密度で75Mbps対応化をするそうですが、先ほども言ったとおり、2.1GHz帯はFOMAでもメインです。そのため、来年度以降もFOMAとXiのユーザー比やトラフィック動向を見極めつつ、2.1GHz帯における下り最大75Mbpsエリアを中期(数年)計画で広げていくことにしています。

■様々なタイプの基地局を組み合わせてエリア品質も向上

都市部でフルスペックのLTE展開ができないのはなぜ?――ドコモのLTEサービス「Xi(クロッシィ)」はどう戦っていくのか(前編)【コラム】

トラフィックの状況や場所に応じた基地局をきめ細やかに配置
携帯電話と交信をする「基地局」は、単純に置けばOK、というものではありません。地形、周囲の建物の状況、ユーザー数やトラフィックなどなど、様々なことを考慮して設置する必要があります。ドコモでは、それを踏まえて様々な種類のLTE基地局を設置しています。

ユーザー数もトラフィックも多い地域では、360度を6分割してエリア化する「6セクタ基地局」や4分割する「4セクタ基地局」を、そこそこのユーザー数・トラフィックの地域では360度を3分割する「3セクタ基地局」を、ユーザー数・トラフィックの少ない地域では360度を一括してエリア化する「オムニ(1)セクタ基地局」をそれぞれ展開しています。ドコモでは、全LTE基地局のうち、約20%が4セクタ以上の基地局が占めているそうです。

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エリアの補完に使われるリモート設置型基地局も小型・軽量化
高トラフィック・ユーザーの地域や、郊外は、FOMAと同様、通常の基地局よりも設置工事がかんたんで、期間も短く済む「リモート設置型基地局」(「光張り出し局」とも呼ばれる)でエリアの“穴”を補っています。リモート設置型基地局は、Xi展開当初から設置していますが、先月からはより小型・軽量化したものが設置されるようになりました。

都市部でフルスペックのLTE展開ができないのはなぜ?――ドコモのLTEサービス「Xi(クロッシィ)」はどう戦っていくのか(前編)【コラム】

来月からはLTE対応のフェムトセルも設置
これも、16日にプレスリリースが出ましたが、来月からは、新たなXiエリア対策として、LTE対応の「フェムトセル基地局」(超小型基地局)を用意することになりました。FOMAフェムトセル基地局同様、Xiのエリア内であるものの、屋内ではその電波が届きにくい家屋や店舗などに設置することを主に想定しています。Xiエリア化の予定が当面ない地域のドコモショップなどを局所的にエリア化するために利用することも想定しているそうです。

設置には、ごく一般的なブロードバンド回線が必要で、それと電源さえあれば、Xi、FOMAともにエリア化することができます。「何故FOMAにも対応するの…?」と思うかもしれませんが、現在のXiスマホでは、電話をする際はFOMA回線を利用するため、Xiのみ対応、とする訳にはいかないのです…。

ちなみに、屋外基地局へのハンドオーバー(通信を継続する機能)や緊急地震速報・災害避難情報・津波警報の配信にもしっかり対応するそうです。

なお、フェムトセル基地局は希望すれば必ず設置されるものではなく、ドコモから派遣された調査員が現地調査し、フェムトセル基地局の設置が適当であると判断した場合に限って設置されます。家の外だとLTEが入るけど、家に入るとLTEと3Gが切り替わりまくって困っている――という方は、調査依頼を是非してみてください。

■端末の通信品質改善も

都市部でフルスペックのLTE展開ができないのはなぜ?――ドコモのLTEサービス「Xi(クロッシィ)」はどう戦っていくのか(前編)【コラム】

今冬モデルからは全機種で3G→LTEのハンドオーバーを高速化する技術に対応
Xiデータ端末・スマホを使っていると、3GからLTEへの切り替えがなかなか行われないことがあります。下手するとLTEエリア内に入って数分経ってようやく切り替わる、なんていうケースもあります。一方、LTEから3Gへの切り替えは大体問題なくシームレスに、すばやく行われます。「LTEエリアなはずなのに、LTEにならないとは、これいかに?」なんて思ってしまうことが日常茶飯事でした。

これは、どちらかというとネットワークではなく、端末の問題です。基地局側には通信方式の切り替えを高速に行える仕組みが最初から導入されています。ところが、端末側は、ごく一部を除いてLTEから3Gの切り替えを高速化する仕組みしか実装していなかったのです。

今冬モデルからは、全機種で3GからLTEへの切り替えを高速化する仕組みも導入して、「いつまでたってもLTEにならない」という現象の撲滅を図っていきます。何で最初から導入しなかった、という話ではありますが…。

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3G電波の検索回数の削減でスループットを向上
Xi端末では、LTEから3Gの切り替えを高速に行うために定期的に3G基地局を検索しています。実はLTEエリアでのスループットを遅くする要因のひとつが、これなのだそうです。

昨今、特に都心部ではLTEエリアが面展開になってきたことから、LTEエリア内に在圏している場合に端末が3G基地局を検索する頻度を少なくする仕組みを一部エリアで試験的に導入しているそうです。この試験では、スループットが下りで30%、上りで20%改善したそうです。特に、Xiでは上りの通信速度がものすごく遅くなるケースが多かったので、上りの効果改善に期待が集まるところです。

次回は、ドコモのXiの「これから」と、競合他社によって引き合いに出てくることが増えた基地局数、あるいは人口カバー率の基準の問題について説明します。

これから、1~2週間に1回の頻度でコラムを書いていく予定です。今回と次回のように、ニュースレポート風なものだけでなく、普段自分が携帯電話などについて思っていることも書いていきます。宜しくお願いいたします!

記事執筆:せう(Sho INOUE)

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(http://news.livedoor.com/article/detail/7151079/)
※表示 – 改変禁止 2.1 日本 (CC BY-ND 2.1)

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