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初代ギャバンが2代目をタコ殴り

 秋の涼しさを拒むかのような熱い“体育会系”な映画を、MOVIE ENTER編集部が厳選してご紹介する「秋映画特集2012 -燃える!体育会系映画-」特集。第4回目は、30年の時を経て甦る、伝説の“メタルヒーロー”シリーズ映画化『宇宙刑事ギャバン THE MOVIE』。いまや日本アクション映画の最先端となった、特撮ヒーローの大本命を、“アクション映画ファン”としてカルト映画のフジモトがご紹介!

『宇宙刑事ギャバン THE MOVIE』

 スペースシャトルで火星へと飛び立った宇宙飛行士の十文字撃(石垣佑磨)と大熊遠矢(永岡卓也)は、原因不明の事故により行方不明に。1年後、宇宙物理学研究開発機構“SARD”が宇宙犯罪組織マクーの残党に襲撃される事件が発生。SARDで働く衣月(滝裕可里)の危機を救ったのは“宇宙刑事ギャバン”を名乗る銀色の戦士だった。その正体は、衣月の幼馴染であり、行方不明となった撃。彼はまだ正式な宇宙刑事ではなかったが、マクーの残党たちが地球を襲うことを察知し、駆けつけたのだ。マクー残党の真の目的は、初代ギャバンによって倒された、首領ドン・ホラーの復活。だが、撃の奮闘もむなしく、衣月はマクー残党のリーダー“漆黒の騎士”ブライトンによって連れ去られてしまう。彼らの陰謀を阻止し、衣月を救うため、撃は初代ギャバン・一条寺烈(大葉健二)の力を借りて立ち向かう。(作品情報へ

蒸着、赤射、焼結!かつてのメタルヒーローの世界観を完全再現

 本作で最も目を引くのが、その世界観。かつてのメタルヒーローシリーズの雰囲気をそのまま現代に持ち込んできているのである。近年のリメイク、または続編としての映画化では、その多くが設定やデザインの大幅な改変を行うのが常である。たいていの場合この改変に失敗してしまい、ファンの不満は募るもの。本作では、ギャバン自身はもちろんのこと、彼が搭乗するサイバリアンやドルギランなどのマシンもほぼそのまま(ただしカラーリングなどは2代目が使用するものに関しては、やや手が加えられている)で登場。さらにはパートナーであるバード星人の少女・シェリーのスーツは、初代ギャバンのパートナー・ミミーをほうふつとさせる意匠になっている。加えて、銀河連邦警察のコム長官や、シャリバン、シャイダーも出演。当然のごとく、蒸着、赤射、焼結ポーズも当時と同じムーブを採用している。そして蒸着プロセスのナレーションはもちろん小林清志氏を起用。コンバットスーツ着用後の決めポーズも、別アングルで繰り返して見せるなど、とにかく当時に近い形にこだわっているのである。むろん細かい差異はあるだろうが、ここまでやりきった製作陣の心意気には拍手を送りたい。
 
十文字撃はなぜ2代目ギャバンになったのか?

 さて、もちろんこのような“宇宙刑事ギャバンの再現”だけで物語が成り立つわけはない。本作の主人公は新たに登場する2代目ギャバンである。よって、映画の前半部分は「如何にして十文字撃が“ギャバン”になったか」が描かれるはずなのだが…。実際にここで最も丁寧に描かれるのは、「“漆黒の騎士”ブライトンがなぜ悪の首魁ドン・ホラー復活を目論んだのか」に至るまでの伏線なのである。このブライトンだが、童貞感をこじらせたような実にひねくれた敵役で、マクーへの忠誠心ではなく、とんでもない個人的な逆恨みから宇宙を危機に陥れるのである。いつの世でも、小さなボタンの掛け違いや、疑心暗鬼から恨みは生まれるもの。極めて“人間的”なキャラクターが敵役として登場するのは、過去のメタルヒーローシリーズよりも、昨今のアメコミヒーローものに近いテイストと言えよう。一方で、十文字撃が“ギャバン”になる理由づけは、“漆黒の騎士”ブライトンのそれに比べボンヤリしており、どうにも説得力に欠けるのである。そのため前半部分では、2代目ギャバンの存在感はやや薄く、石垣佑磨の非常にテンションの高いイイ演技とキレのあるアクションが、どうにも空回りしているように見えてしまうのである。

 今回のギャバン登場の伏線ともなった『海賊戦隊ゴーカイジャーVS宇宙刑事ギャバン』では、ゴーカイレッドと初代ギャバンの過去に意外なつながりがあるという、一見無理やりではあるが思い切った設定が非常に功を奏し、カタルシスに溢れる物語に昇華されていた。同様に、十文字撃がコードネーム“ギャバン”を受け継ぐエピソードも、もっと工夫できたのではないだろうか。テレビシリーズ数十話で築き上げ、すでに完成してしている“初代ギャバン”の世界観と比べるのはなかなか酷な話。しかし、2代目ギャバンの“未熟ながら使命感に燃える”キャラクターに説得力を持たせるには、そういったプラスアルファが欲しいところ。

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