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今まで見たことがない母の姿!認知症の祖母を記録する前田実津 写真展 「 My Recollections 」

認知症を患った94歳の祖母と介護をする母親の姿をドキュメンタリーでとらえた前田実津さんの写真展が東京・銀座にあるリコーフォトギャラリーRING CUBE9Fフォトスペースにおいて2012年10月17日より開催中だ。

認知症はドキュメンタリーとしても重いテーマでもあるが、被写体が肉親であれば、なおさらだ。今回のように生々しいドキュメンタリー作品を取り組もうとした理由はなんだったのだろうか、また、取り組む中でドキュメンタリー作家として何を見いだしてきたのか、前田さんにうかがった。

■想像する余地があるものを残したい
前田さんによると、写真を仕事として始めたのは、ここ2~3年とのことだという。中学時代は写真部に在籍、高校では全国レベルの写真コンクールで優秀賞を受賞するなど写真は常に身近にあった。

ドキュメンタリー作家を選んだ理由を前田さんに聞いた。

「あとに響くというか。そのときにガン!と来て流れてしまうのではなくて、しばらく思いを馳せるようなものを残したいなと思ったからです。」

また、デジタルではなくフィルムを選んだ理由については、「プロセスに時間がかかり、同時により自分の写真と向き合う時間が増えること、また、どう撮れているかわからない面白さ」と語る。

今まで見たことがない母の姿!認知症の祖母を記録する前田実津 写真展 「 My Recollections 」ドキュメンタリーを始めるキッカケを語る、前田実津 氏

■作品づくりには大きな変化!ドキュメンタリー作家としての道
今回の作品は、肉親である祖母の「アルツハイマー型認知症」をテーマとしている。 現在は介護施設で生活をしているが、それ以前は在宅での介護だったことから、母親の負担は非常に大きかったという。

「実家にたまに帰ったときに、母親がほとんどひとりで介護をしている状態でした。仕事をしながらの介護が大変なことはわかっていましたが、たまに帰るだけの自分は何もできない状態でした。」

「アルツハイマー型認知症の症状のひとつで記憶がなくなっていくことで、祖母は自分のことがだんだんとわからなく姿をみるのは凄くショックですし、母親からしてみたら祖母から娘である自分の記憶がなくなるので、私と違う苦悩があるのだろうという思いもがありました。」

「症状のひとつで(祖母は)人格が変わって、暴力的になったり、被害妄想のようになったりするところもあって、きついことを言ったり、したりすることもあります。病気なのだけれども、病気だとは思えないときもあります。母親からしてみたら、50年以上も付き合っている祖母との関係性がすごく変わっていくのを、自分も見せられています。」

今まで見たことがない母の姿!認知症の祖母を記録する前田実津 写真展 「 My Recollections 」前田実津 写真展 「 My Recollections 」の様子

祖母と母親の状態と関係の変化をみていく前田さんは、いつしか作家として取り組むようになっていった。

「認知症をわずらった当初と現在とでは、まったく状況が異なり、昔はまったく余裕のない状態でした。今は、施設に入ったことで、母親は自分の時間ができて、少し余裕が出てきたようです。私が写した写真は、祖母が施設に入ってからの写真です。凄くつらかった時期があり、今があるのだと思い、認知症をテーマとして撮っていますが、まわりの人との関わりを表現したいと思いました。」

前田さんによると、祖母が施設に入る前は、母親が祖母と談笑するような姿は見られなかったそうだが、施設に入ってからはふたりの笑顔を見るようになったという。施設に入る前にも写真は撮っていたそうだが、前田さん自身が、作家として作品にしていく勇気が持てなかったという。

ドキュメンタリーには、大きく分けて2通りの撮り方がある。ひとつは、被写体との距離を一定に保つ方法。もうひとつは、被写体との安全な距離を無くして対象に迫る方法だ。

ドキュメンタリー作家である前田さんにとっても、肉親を被写体にすることは、いろいろな悩みや葛藤があるという。当事者としての視点というよりもむしろ、第三者としての視点で撮っている。

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