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過剰な摘発は抗生物質と同じ

過剰な摘発は抗生物質と同じ

今回はメカAGさんのブログからご寄稿いただきました。

過剰な摘発は抗生物質と同じ

抗生物質の多用は耐性菌の出現を促す。そして際限のないイタチごっこが続く。そしてどんどん抗生物質の開発のハードルが高くなっていく。そのうちどんな抗生物質も効かない菌が出現するのではないか。そう警告され、医療では抗生物質の乱用が戒められて久しい。

最近の警察とP2Pの戦いを見ていると、その光景がだぶる。どうでもいいような些細な著作権違反や児童ポルノ違反でWinnyを叩きまくった結果、次々に高度なP2Pシステムが登場し、摘発が困難になっていった。

最終的にFreenetとTorが難攻不落な「匿名」の牙城として立ちはだかっているわけで、警察はむしろその究極の匿名領域にユーザーが移行するのを防ぐ(コントロール)べきだった。

つまりWinnyなど匿名性は若干弱くても利便性が高いツールにユーザーを留めておけば、いざ重大犯罪が起きた時に摘発は可能だった。ところが警察がムキになってWinnyなど匿名性の弱いツールを摘発しまくったために、ユーザーはとうとう匿名性を破るのが不可能ともいわれているツールにまで追いやられてしまった。

そして結果的に警察は無力になった。

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過去にも述べたが犯罪というのはコントロールが重要なのであって、ムキになって根絶しようとしてはいけない。性風俗産業もむかしは目に余るものだけ最小限の摘発にとどめていた。摘発を厳しくしすぎると完全にアンダーグラウンド化して、無法地帯になってしまう。

最初から非合法ならなんでもアリなわけだ。あくまで合法スレスレかちょっとはみ出した程度にとどめておけば、警察が指導によってコントロールできる。

昭和の警察はこの点をよく心得ていたんだけどね。どうも最近の警察は、日本が平和になりすぎて手持ち無沙汰なのか、なんでも完全に摘発して健全化しようとする。さじ加減を知らない。大相撲の八百長なんかも、それまで黙認されていて問題なく社会が成り立っていたのを、警察が暴露してしまった。

そういうのは結局もぐらたたきであり、別な箇所に歪みがでるものだ。著作権違反や児童ポルノのヒステリックな摘発も同じ。程々にコントロールすることが大事なのであって、追い詰め過ぎると予想もしない方向に歪みが吹き出す。

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今回のTorを使った事件はその実例だと思う。Torの匿名性は破れない。これまで警察が摘発してきたWinnyやShareなどは「ここまですれば匿名性は突破できる」という点があった。そして実際に「そこまで」やって摘発してきた。

しかしTorの場合そういう点が見当たらない。まあ全くないわけではないが、著しく、非現実的なほどハードルが高い。Torの匿名性を破るのは無理だろう。同様にファイル交換の分野ではFreenetが孤高の地位を築いている。これ以上摘発を進めれば、ユーザーはFreenetに流れるだろう。

性風俗産業と同じなのだ。店も客もできれば合法の範囲で利用したいはず。その方がリスクが低いからだ。しかし過度に摘発を進めれば、店も客もリスクを承知で非合法の世界に逃れるしかない。そうなればトラブルは逆に増えるだろう。

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P2Pも同じで、匿名性の高いツールは使い勝手があまりよくない。利用者はできれば利便性の高いツールを使いたいはず。だから匿名性のさほど高くないツールをユーザーに適当に使わせておけば、いざ重大な犯罪が起きたときは警察が摘発できる。

伝家の宝刀はいざというときにとっておくべきだった。なのに宝刀を振り回した結果、ユーザーはその刀では切れない鎧をまとってしまった。この先警察はどうするのだろう?

匿名性を破れない領域は厳然として存在する。警察はそれを隠しておくべきだった。「そんなことありません。破ろうと思えば破れます。いまはその必要がないだけです」とブラフを打っておくべきだった。しかし誤認逮捕までしてしまい、さらにそれを暴露されてしまった。

もはや「必要がないからしないだけ」なんて言い訳は通じない状態にしてしまった。警察は全力で自らの威信回復に努めなければならなくなった。ところがそれが出来ない。出来ないことが全国民にバレてしまう。

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このままでは警察が真の匿名性に対しては無力だということが、白日の下にさらされてしまうだろう。警察はことネットの分野では民衆からの信頼も畏怖も失ってしまう。いやはやほんと「どうすんの?」と心配になる。

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