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すごいぞ!日本の製造業!『株式会社かいわ』後編

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一方では究極の品質を目指して技術を磨き、他方では全く新しい分野に取り組み経営のヒントを探す。今後の展開が楽しみな企業ですね。日本の製造業について、もっと知りたくなりました。今回はgs-fieldさんの『製造業応援ブログ!』からご寄稿いただきました。

すごいぞ!日本の製造業!『株式会社かいわ』後編
前編に続き、山梨県上野原にある株式会社かいわ(以下、かいわ)を紹介します。

“かいわ”は、その独特な教育方法によって生み出される加工技術だけでなく、微細な形状や薄肉形状を成形するための型構想にも特徴があります。

試作品や開発製品が多いので、残念ながら公開することはできませんが、成形時に金型本体に掛かる負荷が少ないため、型持ちが良い、ミスショットがない、ということで有名なのだそうです。成形の品質は、金型の構造や射出条件で変わります。一般的にショートショット(編集部注:プラスチックの充てん不足)やヒケ(編集部注:プラスチックの収縮によるへこみ)が出ないようにするには、金型に入れ子やガス逃げなどを設け、トライ成形をしながら最適な射出条件を見極めていきます。しかし、“かいわ”の場合、射出条件による調整はまったくしません。射出条件は一定のまま、安定した品質で成形できるまで金型のみを調整していきます。完成度の高い金型を作って、いつ、だれが、どんな時に成形をしても、同じ品質で製品が取れるようにしているのです。金型作製の工数は掛かるかもしれませんが、品質の安定した製品を長い期間供給することができるということは、お金では買えないお客さんからの信頼を得ることができるのです。

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“かいわ”の技術を支えるもう一つ大きな特徴があります。それは、精密加工をする工作機はすべて地下に設置されているということです。地下ですよ、地下!なんか秘密基地っぽくていいですよね(笑)。地下室は、温度管理がしっかりとされ、温度、湿度は常に一定となっています。なぜ、地下に入れたのか聞いてみますと、温度管理が容易だということと外部からの振動を避けるためなのだそうです。外部からの振動とは自動車(主にトラック)の走行による振動です。その振動の大きさは、地上と地下ではかなり違うのだそうです。ミクロン単位の加工ですから、やはり少しの振動でもNGなのですね。

精密加工をする工作機をすべて地下室に入れることによるメリットがもうひとつあるのだそうです。それは、最適な加工条件を見極めやすいということです。温度や湿度、振動などの不安定な要素が一定になる、つまり、その要素は考慮する必要がないので、本来の切削条件だけに集中できるのです。確かに、考察する項目が絞られるので、結果が出し易くなりますよね。こうやってみると、“かいわ”の地下室は、やっぱり秘密基地になっているのですね。

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「“かいわ”は、会社の規模より技術で勝負していきたい」と社長は言います。「高い誇れる技術をどれだけ持っているか。広報も確かに大事だが、それだけではないのだ」と。高い技術を持っていると口コミで評判は伝わっていくものです。“かいわ”は、そういう技術力の高い会社を目指しています。

社長は、各地で技術セミナーも開催されており、僕が取材に伺ったときにも、いろいろなことを教えてくださいました。社長は、「基本原理を考えてごらん」というお話をよくされます。「成形バランスやガス抜きなど、基本原理をしっかりと考えれば、解決策は必ず見つかる」のだと。型持ちが良く、ミスショットがない、という基本原理に基づいて作られた“かいわ”の金型は、そのことを証明していると思います。

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