集合知と集合愚

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集合知と集合愚

今回はメカAGさんのブログからご寄稿いただきました。

集合知と集合愚

ネットは果たして集合知か集合愚か?これまでさまざまな人がさまざまな意見を述べているけれど、なんとなく「集合知とはこういうもの」「集合愚とはこういうもの」という感覚的な説明に終始している感が否めない。そもそも両者を区別することはできないという意見もあるだろう。

俺はこう思う。両者の違いは、必要なら自分の価値観を放棄する用意があるか否かではないか、と。数学や自然科学は常識を覆し続けてきた。不完全性定理、地動説、相対論、量子論…。

彼らは何も最初から常識を覆そうと思って研究していたわけではない。むしろ常識の正しさを証明しようと研究を始めた。なのに研究を続けていくうちに、これはもう従来の常識が間違っていたと考えるしかないという結論に到達したわけだ。

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自分が組み立てた理屈と自分がそれまで持っていた常識(価値観)に齟齬が生じた場合に、どちらを選ぶか?人間の思考を突き詰めていけばこの点こそが、人間のタイプを分ける分水嶺だと思うのだよね。

自分の価値観に反した結果が出てしまった、つまりこの実験は失敗だったと考える人々、どうやら価値観の方が間違っていたようだと、価値観の方を修正する人々。

よく疑似科学を主張する人々というのは、実験がいい加減な人が多い。これは彼らの技術の問題もあるだろうけれど、もっと根本的な理由がある。すなわち「きちんと実験をやると彼らの望む結果が出なくなってしまう」からなのだ。つまりそれは彼らにとって「失敗」なのだ。いきおい「成功」させるために、どんどん乱雑な方向へと突っ走っていく。

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ネットのさまざまな論争を見ていても同じ場面に出くわす。人間を思考に押し立てる原動力は「感情」だろう。人間は感情があるから思考する。ところがしばしば思考の結果、当初抱いていた感情とは正反対の結論が導き出されることがある。

これは誰でもショックだろう。自分の感情(価値観)が正しいことを立証しようと思考していたのに、逆の結論になってしまった。たとえば「戦争反対」とか「愛」とか「命の尊重」とか、そういったものを否定する結論が出てしまうと、人間はそれをなかなか受け入れられない。

思考のほうがどこか間違っていたのではないかと思ってしまう。もちろんそういうケースもあるだろうし。しかし受け入れられないと、結局は自分の既存の価値観に有利な情報ばかり収集することになり、思考がどんどん硬直化してしまう。ネットに情報は無限にあるから、いくらでも防備を固めることができる。これが集合愚。

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人間はなんのために思考するかといえば、それまでなかった新たな価値観を生み出すためだと思うのだよね。「いや、自分はそんなだいそれたこと意識していない」という人も多いだろう。意識していないのはその通りだと思う。冒頭で述べたように人間はむしろ意図に反して「新たな価値観」を生み出してしまうのだ。

ここまでは誰でも同じだと思う。そこから「価値観に反した結論がでた、だからこの考えは間違いだ」と思うか、新たな価値観を肯定的に扱うか。後者は誰でもできるものではない。

ネットに漂うさまざまな「知識」や「考え方」、それらを自分の中に取り入れ、組み合わせていく。ここまでは誰でもできる。組み合わせた結果が自分の価値観(感情)に反するものになった場合、それを失敗ととらえるか、大成功ととらえるか、それが集合愚と集合知の分かれ道。

集合愚というのは「共感」なのだろう。既存の価値観にマッチしているほど共感されやすい。集合知というのは「創造」であり、それは既存の価値観の破壊だ。それは共感どころか猛烈な反発を呼ぶ。なにより自分自身が耐え難い反発を感じるであろう。それに耐えられる人間だけに創造が許される。

追記

主語をネットにしなきゃならない理由が無いような。

こいつホント頭悪いな。別にネットに限定などしてないのは文章全体を読めばわかるはず。この人はわかりきったことを指摘して得意になる癖がある。

執筆: この記事はメカAGさんのブログからご寄稿いただきました。

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