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技術力、ソフトウエア発想共に最もアップルに近かったシャープ…X1/X68の思い出

PIC形式だとかmag形式などというフォーマットで、いわゆるイラストデータが全盛の時代。ネットにpixivのイラスト画像しかないような状態です。

パソコン通信は、パソコンか鉄道かアニメや漫画が好きな人がアーリーアダプターとしてメインユーザーを張る時代ですから、それで十分だったのです。

しかし、カメラのマニアの人が、オフ会で取った写真を、スキャンして(当時のスキャナは20万円はすると思う)、そのデータをJPEG形式というデータで送ってきたのです。

X68000には既にJPEGローダーのベータ版というのがあり、それで展開してみたのですが、なんと一枚の画像を開くのに40分以上かかる。

でも展開された画像は、まさしく集合写真でした。

パソコンのモニタに写真が表示され、うわ、こんな時代が来たのか!と驚いたのを覚えています。

今、アダルトの画像や動画は、ほいほい取得できますが、当時は、そんなことはできなかったのです。そりゃパソコン、まだ売れないですよね。

X68000は、結局7年以上使っていて、その次に買ったのがWindows3.1のPC98でした。
インターネットのパラダイムシフトが起こって、Webブラウザを使い始めるまでは、必要なアプリがフリーソフトで提供されていたので買い換える必要がなかったんですよね。

一応言っておきますと、この頃は既にシャープの製品としてのX68000は既に死んでいました。

プロプライエタリのパソコンがメーカーの手を離れて一人歩きしていたことを良しとするか、メーカーがユーザーをうまく巻き込めていなかった(プラットフォームビジネスの発想がなかった)と考えるかで評価は別れるでしょう。

■技術力、ソフトウエア発想力共にアップルを追従できていたシャープ

かつて「目の付け所がシャープ」というキャッチコピーがかつてのシャープにはありました。

しかし、これが許されたのはガラパゴスの日本の中での特殊性だったのかもしれません。よく考えてみたら、X68なんて完全に亜種も良い所。PC98という当時のメインストリームに対して、独自性で突っ走ったニッチ製品でしかない。

またパソコン以外にも、今の液晶テレビシフト前には、液晶ビューカムだとか、PDAのザウルスだとか、液晶+応用製品での独自性を発揮していたけど、液晶にクローズアップしなければ、パイオニアに近い、アーリーアダプターをうまく利用するイノベーション企業だったハズ。

それが気がついたらテレビや家電で顧客ターゲットをアーリーアダプターからレイトマジョリティの方へ市場をシフトさせた。それは彼らが投資してきた液晶が市場のメインストリームに移ってきたからだと思う。

Windows95の頃はメビウスなんてノートパソコンもあったけど、結局、コモディティ化する製品の流れの中ではシャープのパソコンは存在が徐々に薄くなっていく。OSがハードを生かせない世界じゃ、液晶がいくら優れていても勝負にならないと言うことを、ここで気がついていたハズです。

実はX1にせよX68000って、実はテレビを面白くするパソコンという立て付けだったようなのです。だからXシリーズは、パソコン事業部の仕事じゃなくて、亜種のテレビ事業部(AVシステム事業本部)の仕事だったんですね。パソコン事業部(情報システム事業本部)には別にMZというビジネス向けの製品ラインがあった。MZは、早々にIBM/PCに移行しましたが、テレビ事業部のX68000は、完全にコンシューマー向けだから独自仕様。

丁度、今起きていることでiPadやスマホなどのコンシューマー向け製品がビジネス領域を食い始めることなど誰も想像しきれない時代に、コンシューマー向け事業部とビジネス向け事業の葛藤を経験していたというのが、目の付け所が(ry…だったと思う。

その後、液晶のおかげで確固たるブランド価値がつき、テレビ以外にも冷蔵庫や洗濯機などの白物家電も一流ラインの製品として並ぶことになった。僕が家電量販店でバイトしていた頃は、シャープ製品、とりわけブラウン管のテレビは、もっと安売り製品のイメージだった。

しかし本質的に彼らは、アーリーアダプターの心を掴むニッチを作る力こそが、次の血や肉になったからこそ成長したのが妥当で、イノベーションの力を液晶品質にシフトした結果、サムソンに追撃されるというのは相当不運だったと思う。

液晶の部材ビジネスだと、結局、アップルに買ってもらうようなグローバルな商品調達の流れでは、サムソンLGと横並びで、独自性が生かせないし、新しい技術にチャレンジしても歩留まりも悪く利益も出ない、というのでは、彼らの力は全く生きない。

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