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技術力、ソフトウエア発想共に最もアップルに近かったシャープ…X1/X68の思い出

僕も高校入学のタイミングのお祝い的なものを利用して買った。製品としては二台目の廉価版のX68000ACEというのを買う。それでもアウトレットで30万円だった。全然安くない。

X68を使い始めて、ゲームをやりまくった。ゲームセンターのゲームがほぼ見たまま動く30万円のゲーム機というのが現実的な欲望だったのである。

しかしすぐにパソコン通信というものに興味を持つ。

雑誌にパソコン通信の話や、フリーソフトの存在を知り、そういうのを手に入れるべく動いた。

当時のパソコン通信は、今みたいな携帯電話もADSLも存在せず、電話回線にモデムをつないで音で通信する。ISPにダイアルアップするというよりは、先方のサーバーに直接電話して回線をつなぐ感じ。(niftyなどの商用BBSの人ではない)

パソコン通信を初めて、本当にびっくりした。

目の前の部屋にある鉄の箱から、知らない人と話すことができたのはものすごく感動だった。今でもその感動は忘れない。

オフ会にも行って、社会人の人はもちろん、開成中学の子とか、東大の学生さんとか、普段出会わないようなエッジの人々と会えて、普通の高校生には、とても新鮮だった。

チャットや掲示板の書き込みにハマり、X68000のゲームなどのフリーソフトがダウンロードできるサイトに遠距離アクセスをして、ソフトダウンロード中に寝てしまったりして、月の電話代が10万円を超えたのが、高校一年の夏休み。

実際は、請求の関連で二ヶ月で18万円ほど電話代を使う。今でいうパケ死状態。

さすがに親に怒られて、パソコン通信は大学生でお金を自分で稼ぐまで休むことになりました。(電話代はバイトして返しました)

大学に入ってパソコン通信に復帰。

バイト代で電話代を払うようになり、新しいサイトで仲間を見つけることに。X68のユーザーが集まるサンデーネットというBBSに入り浸っていました。

ここは、かつてテレビでやっていた「パソコンサンデー」という番組からスピンアウトした掲示板サイトで、X68のユーザーが集まっていた有名な草の根サイトの一つです。

とくだねの小倉さんが司会をやっていたというのが有名なエピソードです。

このネットではさまざまな経験をしました。今でもつながる友達もできたし、恋愛観のいくつかは、ここで出会った人に教えてもらいました。また、今の奥さんとも出会ったので、間違いなくX68000があったからこそ、今の生活があるんだと思います。

■X68000を支えたのはユーザー開発者

当時の国産パソコンは、今のパソコンと比べると相当貧弱なのですが、今当たり前にできて、あの頃できなかったこととの代表的なものとして、

1.文章中の文字フォントや印刷フォントを高品質なものに自由に変えることができなかった

2.JPEGの画像なんてまだない!

というのがありました。

X68000は、言ってもマイナーパソコンです。一太郎やロータス1-2-3がビジネス分野をリードして圧倒的シェアを持っていたPC98とはユーザー層が全然違い、マニアの趣味のパソコンです。

しかし、X68フリーソフト文化にあった「ないものは自分たちで創る」という熱い信念の元、上記2つを有志が解決します。

まずフォントについては、Unix系アプリであるLaTeX(読み方は、らてふ、らてっくす、など)という論文作成ソフトが移植されました。

しかし、文字フォント自体が存在しないので、文字フォントをX68の漢字ROMから吸い上げて、フォントサイズが変えられるようなアウトラインフォントを生成するプログラムを動かす必要があります。

当時の貧弱な環境では、この文字フォントの生成に30時間ぐらいかかりました。

フォントを作成し、LaTeXの文法で論文を記述すると、綺麗な数式が生成され、印刷することができます。

大学の実験のレポートは、これで書いていました。

しかし、すでに大学にはWindows3.1とMS-Office5が存在しており、レーザープリンターで最終アウトプットが優れた形で出せたのですが、自分は意地でLaTeXで書き、家のインクリボンのプリンタで出力していました。

正直、レーザープリンターの方が印刷品質が高いし、WORDの方が生産性も高いです。

そもそもLaTeXは数式の文法を正しく記述しないとエラーになるので、レポート提出前夜に徹夜でデバッグをしているという状況でした。

なおエディタは、emacsクローンのμEmacsというエディタで入力していました。

目的と手段の混同というのはまさにこういうこと。LaTeXとEmacsを使うこと自体が楽しい!中二病だったと思います。

で、もう一つのJPEG。これも凄かった。

当時は、写真なんてものはネットに流れるデータとしては存在していませんでした。

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