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バックオーライは縁起が悪い?

バックオーライは縁起が悪い?

秋に結婚が決まったチサさん(31歳)、休日にはウェディングドレス選びに貸衣装店を回ったり、披露宴の打ち合わせにゲストハウスを訪れたり、うきうきしながらも慌ただしい日々を過ごしているのだが、頭を悩ませているのは嫁入り道具。
「今どき箪笥や座布団を持っていく人なんかいないし、必要に応じて買えばいいんじゃないの」と関東出身のチサさんのお母様は簡単に考えているそうなのだが彼の実家は名古屋。

名古屋は嫁入り道具にお金をかけることでよく知られている土地柄だ。家具一式を紅白の幕を掲げたトラックに載せ、これ見よがしにたくさんの嫁入り道具を運ぶシーンはテレビで見たことがある。「今時そんな派手なトラックは走っていない」と彼には笑われたが、念のために名古屋市内の有名デパートに問い合わせてみると、

「昔は嫁ぎ先で同居される方が多かったので、和・洋ダンスに整理ダンス、客布団に夏・冬の座布団までお持ちになった方が多かったのですが、最近は核家族で、マンション住まいですと作り付けのクローゼットがありますので、箪笥を持って行かれる方はぐっと少なくなりました」

家具も二人で買い揃える人が多いと聞いてほっとしたチサさんだが、続けてこう言われて慌てた。
「でも着物は留袖、喪服、訪問着だけはきちんと用意される方がいらっしゃいますよ」

チサさんは着物を嫁入り道具として全く考えていなかったのだ。着物は用意をしておかないと非常識になるのだろうか?

筆者の知人で、最近姑になった名古屋在住の真奈美さん(55歳)に訊ねてみると、
「今時葬儀で着物の喪服を着るのは、よほどの旧家か芸能人くらいじゃないの。喪服は服でいいのよ。それに留袖だけどね、私が嫁入りで持ってきた黒留袖を息子の結婚式で着たら、火山が爆発したみたいだって主人に笑われたわ」

火山が爆発とは?

「20代のときに作った着物だから裾模様に赤がたくさん入っていて、いかにも派手だったの。お嫁さんのお母さんは貸衣装だったけど、年相応で今風のものを着ていて素敵だったわ。着物は作らず必要に応じて借りるのが一番よ」

ただし、喪服の洋服と真珠のネックレスは用意をした方がいいとのこと。

「結婚すると親戚も増えるし、葬儀や法事に出席する機会は当然増えるでしょ。急な時でも慌てないように喪服の準備は必要だと思うわ。それと真珠のネックレスは仏事だけじゃなく、改まったお呼ばれや、子どもの受験や親子面接、入学式の時にも重宝したし」

喪服とそれ用の靴とバックに念珠(数珠)。真珠の一連のネックレスは冠婚葬祭では必需品。嫁入り道具でなくても用意はしておきたい。

「うちのお嫁さんが新居に持ってきたのは、電気製品、ベッド、布団、台所用品くらいかしら。ドレッサーは洗面所で間に合うから必要ないって持ってこなかったみたい」
とにかく荷物は少なめに。「これから2人でいるものを買い揃えておく楽しみを残しておいた方がいい」と息子夫婦にアドバイスをしたそうだ。

かつての結婚は他家に嫁ぐのだから、滅多に実家には帰らない、という決意のもと嫁にいったので、実家からの荷物も多かったのだろう。親のほうも嫁いだら戻ってきても実家の門は開けない。強い覚悟で娘を送り出したので、嫁ぐ娘へのはなむけと愛情の表れがたくさんの嫁入り道具だったのだろう。

しかし今や、自分の衣類はほとんど実家に置いたままで、しょっちゅう取りに帰るという既婚女性や、「夕食はいつも実家で夫も一緒に食べています」という既婚女性もいる。子供ができれば夫よりも頼りになるのは実家の母。
「足りないものがあればいつでも取りにいらっしゃい」と、実家の門を開けて親が待っている昨今の女性たちに、嫁入り道具は必要ないのかもしれない。

そんな時代を反映してか、最近は結納をする人も激減しているという。
「結納」とは一般的には新郎の家から新婦の家へ、嫁入り道具などの用意の費用を贈るならわしとも言われている。結婚が家と家との結びつきであった時代には大切な儀式だったようだ。

受け継がれてきた日本の儀式が消えていくのは寂しいけれど、結婚を嫁ぐことだと捉え、嫁に家事や育児や介護の苦労まで強いてきた、古い体質の結婚制度は改善されるべきだと思う。

ところで前述の名古屋の紅白の幕を掲げたトラックだが、これ見よがしなのは、嫁入り道具を運んでいるのでバックはできないことを、周囲の車に配慮してもらうためだとか。嫁入り道具を運ぶトラックがバックすることは出戻り、つまり離婚を想像させるので縁起が悪いということのようです。(オフィスエムツー/佐枝せつこ)

(http://news.livedoor.com/article/detail/6709382/)
※表示 – 改変禁止 2.1 日本 (CC BY-ND 2.1)

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