宮藤官九郎さん「朝ドラ」に挑む・記者会見の全文掲載です

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宮藤官九郎さん「朝ドラ」に挑む・記者会見の全文掲載です

今回はNHK科学文化部のブログ『NHK「かぶん」ブログ』から転載させていただきました。

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宮藤官九郎さん「朝ドラ」に挑む・記者会見の全文掲載です

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来年春から始まる朝ドラは、岩手県の三陸沿岸を舞台に海女を目指すヒロインの奮闘を描く「あまちゃん」に決まりました。脚本は、多くのドラマや映画で活躍する宮藤官九郎さんが手がけます。制作発表会見では宮藤さんらしい、「ゆるい」トークで和ませていました。会見の全文を掲載します。

宮藤官九郎さんインタビュー 6月4日(月) 東京・渋谷のNHKにて

(司会者に紹介され登壇)

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おは・・いえ、こんにちは。こんな感じで発表されるとは思わなかったんですが。
まあタイトルが朝ドラっぽいかな、みたいな。
さっきからずっとちょうどいいBGMが流れていますし。
まあそういう、へんぴな町に行けば行くほど、その土地に行かないと会えないアイドルがいるっていうのがちょっといいかなと思って
例えば、それは別にアイドルって言いったから女の子じゃなくてもいいんですけど、例えば僕の育った町は、もう無くなったんですけどさっき訓覇さん(プロデューサー)もおっしゃっていたように、ローカル線の栗原電鉄っていう電車が走ってまして、その電車が廃線になるっていったとたん、すごい鉄道オタクのみなさんが一気に押しかけてきまして、ああこういうことで町がちょっと元気になったりするもんなんだなって感じまして
そういうのを見てきましたから、別にアイドルっていったからって、歌ったり踊ったりするばっかりがアイドルじゃないんじゃないかと。
なんかこの電車なり何でもいいんですけど、エリマキトカゲでも何でもいいんですけど、そういうのを見て、なんか元気になった時代があったなってちょっと昔のことを思い、それでなんか、朝っぽいかなと思ってこういう企画を考えました。

久慈の方にも何度か、僕が行く前にいろいろ取材をしてくれていろいろ、もらったんですけど、なんか海女さんがいたり、三陸鉄道っていう電車があったり、何か僕がこうだといいなって思っていたことがいろいろ揃っていた町だったんですね。
行ってみたらすごく人もあったかくて、というかそもそも人があまり歩いていなくて(笑)これはいいんじゃないかと思って決めました。

僕も朝・・というかNHKのドラマは書かせていただくのは初めてですが、どれくらい大変なことかよくわかっていないんですが、逆にどのくらい大変なのかわからないまま終わってしまえばいいなと思っています。

始まるのは来年ですけどみなさん、よろしくお願いします。

【まあ、がんばります。】

―NHKでの執筆は初めて、連続テレビ小説の印象と意気込みを。

連続テレビ小説、朝ドラは今僕の資料に、これまでのドラマのタイトルが書いているものをもらったんですけど、「雲のじゅうたん」ぐらいから見ていますね。
昭和51年ぐらいから見たり見なかったり、はまったりはまらなかったりですが。
印象としては、母や父がおばあちゃんもいましたね、朝ご飯を食べながら見て、すごい楽しみにもうすぐ始まるって言って見て、面白かったって言って仕事に出かけていく、そういう毎日の生活に織り込まれている、動作として見ていました。
まさか自分が書くとは思っていなかったんですけど意外と好きで、学校行くときに、「はね駒」ぐらいからですかね、これからは朝ドラ見てから学校行く習慣でした。
だからだいたい遅刻していましたけど(笑)結構この時期が一番はまっていましたね。
こうやって見ると、新しい女優さんの出世作という意味合いもあったりとか興味深いと思いながら、まさか自分がやるとは思っていなかったという気がします。

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すみません、意気込みを言うのを忘れました(笑)

こんなに長い物語を書くのは始めてだし、ご覧になる方々も今までの層とはたぶん変わるというか、まずは僕のこと知らない人も見ることに当然なりますし、そういう意味ではすごく楽しみでもありますが、逆に今までの自分のくせみたいなものが通用しないんじゃないかっていう、それがちょっと楽しみだったりすんですけど、はい。
あと15分で盛り上がって終われる話が果たして書けるのかっていうのがありますけど、まあがんばります。

―今回舞台になるのが架空の町ですが岩手県久慈市がロケ地になりますが、久慈市の印象は

まずすごく行きづらいところです、遠いです。
最初行ったときは本当に、久慈に着くまでが長いっていうか、行ってみての印象は、僕は海沿いの町が好きなので、海の幸好きなので、ここいいなって最初に住むのにもいいなって思って。でもまあ、住みたいかっていうとまた別なんですけど(笑)、普通にウニとかホヤとか、食べれない人にとってはあれですけど、僕好きなので、もうなんか、全然緊張しないしストレス無かったですね、いい町でした。
それでこれは僕も実際言われましたしみなさんそうなんですけど、「わざわざ遠いところおいでくださいました」って必ず言うらしいんですよ、久慈の人は。
どこから来たかも聞かないでよくそんな、東京から来たらそりゃそうだろうけども、どこから行っても遠いっていうのが自分たちの中にもあると思うんですよ。
わざわざ遠いところって必ず言うらしいんですよ。
そういうところを探してました。すごくいいなと思いました。
大丈夫かな、久慈の人怒るかな・・・

【僕、意外とおばあちゃんに好かれるんですよ・・】

―どういうところに宮藤さんの色を出していかれますか?

 色はなんか出ちゃうだろうとは思いますけど、ことさらに、俺、自分の色にしなきゃなとはあんまり思って無くて、むしろ、東北が舞台だからっていうのもあるんですけど、東北弁とかなまりとか、今までちょっときどって出していなかった部分が、わりとああいいやこれって思い出す感じがあるんですね、なまっていたころとか、おじいちゃんおばあちゃんとか、おじさんおばさんとか、世話焼いてくれたりとか、家の中に知らない人がいたりとかが普通だったりしたこととか、自分のルーツみたいなところが今まで出す機会が無かったので、そういう意味では僕以外とおばあちゃんとかに好かれるんですよ(笑)
そういう、おばあちゃん子だったりする一面もありますんで、そういうところに甘えていこうと思っています。

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―これまでの準備の中で、NHKがほかと違うなと思ったこと、今後、違ってくるのかなというところがもしあれば。

とりあえず商品名を出してはいけないということは(笑)ずいぶん前から、NHKに出入りするにあたっては、商品名を出してはいけないということは、僕うっかり出しちゃうので、気をつけようって思っています。
でもそれ以外は、意外と違いっていうのは感じたことはなく、民放でも規制があったりしますし、違った意味の。
いろいろ言われることは関係なくあると思います。
ただ朝の8時から見るということは、それが毎日の習慣になっている方々が、それはもう僕が書く書かないということは関係なく、そこに固定のみなさんが、うちの母みたいな人たちがいる、そういう場に自分が加わるというか、半年間やらせていただくというのは、今後の勉強という意味でも、有意義なものだとは思っています。
やっぱりどうしてもテンポ速くお話進めたかったりとかどうしてもしがちなんですけど、それを無理に抑えるつもりもないですけど、自然にやっていくのが一番ですけど、今のところ、あんまり、てらわずに行こうかなと思っています。

―東日本大震災の被災地に勇気づけたいという思いは。

そういう意味で僕、「みやぎ夢大使」という・・・一応「夢大使」なんですよ(笑)宮城の。
でも岩手のドラマなんですよね。
ちょっとそのへんのずらし方がいいのかなってちょっと思いながら。
でも宮城を通らないと岩手に行けませんので。
宮城の方も忘れたわけではないという。
僕も一年たちまして、うちの実家も結構いろいろ大変だったんですけど、結構、まあちょっと前に、朝の連続書くらしいという話を聞いたんでしょうか、すごく喜んでましたんで。
東北を元気づける前にうちの母を元気づけられましたので、この勢いでみなさまも元気になっていただければなと。東北の人って、あんまり言い方良くないですけど、ストレートにやると、いいですいいですっていう、人が多いんで、間接的にやっていこうかなと思ってますけど。
でもこのドラマでは一応舞台は震災より前の設定で、そこから物語が始まって、震災まで行くか行かないかはじつは未定なんですよね。
なので震災を描くっていうのではないと思います。
ひとつよろしくお願いします。

【ヒロインは「ほどほどに」元気な人を】

―ヒロインはイメージしているキャラクターはいますか?

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ヒロインは一応もともと東京でわりと地味なぱっとしない女子高生をしていたんですけど、あることがきっかけで田舎に行って母親の実家なんですけど地元に行って、おばあちゃんが海女さんなんですけど、おばあちゃんが潜っているのを見て、なんかかっこいいなって思って、私もやってみようかというところから物語が変化していく。
彼女自身が変化していく、なにかこう、だから朝ですから元気があるにこしたことはないんですけど、元気って、行き過ぎるとちょっと、毎朝元気か、みたいな(笑)
あの、ちょっとそんな俺元気じゃないのに毎朝元気でもというのもありますから。
元気と元気じゃない部分を使い分けられるヒロインっていうか、みんながみんな朝から元気な訳じゃないから、ほどほどに元気な。
だけどまわりをなんか元気に、だから笑顔が素敵な子がいいですよね。
笑顔が素敵だとやっぱりこっちも元気が出ますけど、あなた元気かもしれないけど、っていうのはちょっとつらいものがありますから、ちょっとこれからでも、やっぱりそういう子が、自分は今まで経験したことがない海に潜ることになんか目覚めて、潜っていたらなんか嫌なこと考えなくて済むから毎日毎日潜っている、それだけのことなんだけど、それを見ている人からすると、すごくそんな彼女を見ていたらなんかちょっと元気が出る、がんばろうな、て思うみたいな感じをイメージしています。
本人は全然そういうみんなのアイドルになるというつもりは毛頭無いんですけど、やっているうちになんか周りが、こういいじゃないかと盛り上がっていくみたいな、そんな話になる、彼女は自分で勝手にやっていたわけですから、別にみんなのためにやっているわけじゃないから急にある日やめるって言い出したらみんなが、いやまずいまずいそりゃまずいみたいな、そういう1人の女の子に振り回される大人たちみたいな、そんな物語になると面白いと思います。
深く物事を考えない女子がいいんじゃないですかね。

―脚本はすでに書かれているんでしょうか。ヒロインはオーディションでしょうか。

(プロデューサー)ヒロインはオーディションで選ぼうと思っています。今、オーディションやっている最中です。脚本は2週ちょっとはじまっていまして・・とても面白いです。手応え十分です。

【もうなんかすでにドラマ始まってる!みたいな】

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―アイドルだったら何でも考えられますが、なぜ海女さんなのでしょうか

海女さんは、絵になるなぁっていうのが一番なんですけど、できればどこか架空の名前が変わっちゃうかわかんないですけど、ここだっていう自分の中でイメージできる町があるといいなって思ったときに、海女さんがいて、電車が、三陸鉄道という電車には、アリス?「久慈ありす」っていう架空のアイドルがいるんですよ(笑)
それをみんなで盛り上げて、電車を借り切って久慈ありすのイベントをやっていたりとか、そこにこう、いろんな人が全国から集まっていたりとか、もうなんかすでにドラマ始まっているかっていう、僕の感覚からいうと
しかも観光課の人は何とかしたいとおっしゃってるんですけど、海女と三陸鉄道、もう一つがないと。
まあ・・もう一つないんですよね(笑)
それがすごくいいなと。で一生懸命みんなあれがどうだこれがどうだといっている感じが、僕の田舎もそうなんですけど、観光資源はあるんですけど、どう生かしたらいいかっていうか、自分の町のものになんか誇りを持てないですよね。
僕が住んでいた町にも名物がありましたけど、意外と価値があるもんだなと、離れてみて再確認する。
田舎っていうのはどこにでも、ほんとに東北じゃなくて、若い女の子が一人でがんばれるようなものがあるところがあればどこでもいいんでって取材をしてもらった中で、たまたま、その久慈の条件がよくて、そこにおさまりました。良い出会いです。
訓覇さん(プロデューサー)からは行くとなると遠いので、行ってだめだったらごめんなさいって最初言われましたが、言ってみていいなって思いました。
そういう意味では架空の町にも意味があるんですけど、どこの町でも起こりうることっていうことにしたいなって。
海女さんはやっぱり、冷たい海に2か月か3か月しか潜れないらしいんですけど、夏でも水温が15度とか16度とか本当に冷たいところでやってるらしいんですね。
当然観光客に来てもらうためにやっていて、後継者不足に悩んでいてらっしゃって、女子高生の海女クラブがあって、そこの子たちが夏の間だけ手伝っているけどやっぱり潜るところまではいかないとかいろいろ問題が抱えてまして、そういうのもなんか思っていたイメージに近いなって思って。
それで決定をしました。ネタがいっぱいあったってことですかね。

執筆: この記事はNHK科学文化部のブログ『NHK「かぶん」ブログ』から転載させていただきました。

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