杉田かおる「自殺願望あった時期もあった」

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その毒舌と、ヒステリックともとれる言動で「魔王」の異名をとる女優・タレントの杉田かおるさん。

しかし、彼女の著書『この私が変われた理由』(アスコム/刊)からは、あるきっかけによって、良くも悪くも彼女の“激しい”一面はすっかり影をひそめ、穏やかな気性に変わってしまったことが読み取れます。彼女を変えたものとは一体なんだったのでしょうか?また、自分が変わったことで、彼女の生き方はどう変わったのでしょうか。杉田さんにお話を伺ってきました。

今回は後編をお送りします。 

―次に、本書に書かれているような、杉田さんが変わった後のことをお聞きしたいと思いますが、オーガニック野菜に出会ったことが変わるきっかけだったと。

杉田「2009年に、毒出しダイエットというのをやっていたんですよ。ちょうどその時にオバマさんが大統領になって、チェンジという言葉がよく使われていたから、自分もそれに乗っかって“痩せて変わる”っていうことでダイエットをしたんですけど、その時に本当に変われたかというと、変われてないんですよね。

番組の企画で痩せたからって、すぐにリバウンドもするわけだし、急激に変わったり表面的に変わるということが、すごく危険なことだなと思ったんです。

その後、オーガニック野菜にであったことをきっかけに食生活から変えてみたら、自分がどんどん元気になって若返ってきたりということが感じられました。

それは表面的な変化じゃなくて本質的な変化じゃないですか。食生活を変えるということは細胞の一つ一つが変わるということなので。細胞が生まれ変わるということを意識しはじめたら、考え方も変わったような気がしましたね」

―この本で、杉田さんが一番に伝えたかったことはどんなことですか。

杉田「インターネットが普及しはじめた時に、ホームページとかブログとか、本来の自分を表現できるツールができたと思って嬉しかったんですよ。自分の本音がもっと伝えられたら、メディアのイメージとのギャップを埋められると思って。でも、結局ホームページやブログで表現した自分も一つの仮面なんですよね。なかなか本当の自分を表現できなかったんです。

そういう意味で、今回の本は自分が本当に考えていることを書きました。

自分が考えていることをこうやって本にできたことによって、またこれから10年間こうやって考えて生きていこうと自分の中で確認できたところもあります」

―メディア報道から受ける杉田さんと素の杉田さんのギャップ、というお話が出ましたが、テレビから受けるイメージのように、普段の杉田さんも“毒舌”なのでしょうか?

杉田「本音でしゃべる方ではあるので、失礼なことを言っていることは多いと思いますよ(笑) 組織の中で生きてきていないので、気配りというか、本音と建前を使い分けみたいなのは全然できないんです。

だから、人が言わないようなことをズバッと言っちゃったりすることはあります」

― 子役からスタートした杉田さんとしては、今活躍されている子役の方を見て思うところはありますか?

杉田「今の子役というよりは、自分の子役仲間だった人達が今俳優さんになっていたり、俳優でなくても社会で成功しているんですけど、子役だったことを言いたがらない人が多くてですね、嫌な思い出なのかなと思うことがあって。そっちの方が気になってしまいますね。

売れたら売れたで大変なことはあると思いますけど、評価されないことがトラウマになったまま大人になった同世代の人達にとっては、子役時代はあまりいい思い出ではないのかなと思います」

―本書をどのような人に読んでほしいとお考えですか?

杉田「20代、30代の働いている方々ですね。お仕事をしている人に読んでもらいたいです。私はあまり家族とか家庭に費やす時間がなくて、この40年間仕事ばかりやってきたので、子育ての苦労とか、そういうのはわからないんですけど、社会を生き抜く苦労みたいなことは味わってきたつもりです。

ストレス解消法というわけじゃないですけど、この本では気持ちを楽にして生きていくための自分なりの方法を書いているので、これからがんばる人とか、今がんばっている20代、30代の方々で、社会や人に対してどういうふうに向き合うかということを悩んでいる方にぜひ読んでほしいですね」

―気持ちを楽にして生きるとおっしゃってましたが、その方法に気付いてから、悩みなどはなくなりましたか。

杉田「私くらいの世代もそうですけど、バブルを経験している人達って、みんなが“どうやって楽して儲けようか”“どうやって楽して幸せになろうか”という発想がある気がします。でも、そこにはリスクもあって、楽をしようとして逆に苦しんでしまっている人も多いです。

“楽をする”じゃなくて、“楽に生きる”ことが大事だったんじゃないなと思いますね。同じ悩みであっても受け取り方とか見方を変えたりとかすることで気持ちが軽くなったりすることがあります。そういう発想の転換をすることで長生きできるんじゃないかな」

―長生きするのが目標なんでしょうか?

杉田「若い頃は死に対する憧れや、極端なお話自殺願望があったりもしたんですけど、生きていることがどれだけすごいことか、すばらしいことかっていうのを、歳を取ることで実感できています。命を大事にするという意味で、長生きしたいと思いますね。それは寿命もそうですし、仕事もそうです」

―最後に、読者の方々にメッセージをお願いします。

杉田「私は大したことをやってきたわけではありませんが、40年芸能界で仕事を続けてきたからこそ見えてきたこともあります。

私は10代の頃、誰よりも我慢が足りないといわれていたんです。本当に私の人生には忍耐という文字がないんですね。でも、我慢をしないで、何も考えずに生きていると不幸なことも起きるんですよ。

私は自分の向き不向きを知って、芸能界でのポジションを探すのに30年くらいかかりました。そのなかで思ったのは、もがいたり、苦しんだりというのは、若くてエネルギーがあるからできるんだということ。

だから、今悩んでいる方や、いろいろなことが嫌になってしまっている方は、たとえば転職を繰り返してしまっている方なら、転職ばかりする自分はダメだと思ってしまうところに問題があって、自分は本当は何が好きなのか、何がやりたいのか、何に向いているのかを見つめるいいチャンスだと前向きに捉えたほうがいいんじゃないかと思います。

この本がそういう方々にとって元気が出たり、勇気が出る本になっていれば嬉しいですね」
(取材・記事/山田洋介)



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