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「仕事は3年続けないと何も見えてこない」田中雅子さんインタビュー(2)

田中雅子さんの著書『20代で知っておきたい「仕事の基本」』

 せっかく社会人になったのに雑用ばかり。そんな毎日に飽き飽きしている若手社員もいるのではないでしょうか。
 しかし、どんな仕事でも100%の力を出し切ることが、30代、40代の仕事につながっていくと語るのは、ユニクロ(株式会社ファーストリテイリング)在社時代に「巻き込み仕事術」を実践して同社のV字回復の一翼を担い、現在は経営コンサルタントとして多方面で活躍をしている田中雅子さんです。
 田中さんの新刊『20代で知っておきたい「仕事の基本」』(学研パブリッシング/刊)は、そうした20代の仕事の基本を熱く語った一冊。今回は田中さんにインタビューを行い、仕事とは何か、自身の20代の頃の話などについて熱く語ってもらいました。3回に分けてお送りするインタビュー、今回は中編です。
(聞き手/金井元貴)

■仕事は3年続けないと何も見えてこない

―田中さんが若い頃に出会って、最も影響を受けた方について教えていただけますか?

「ある上場企業のオーナーの方です。今はもう80代になられましたが、戦争から帰ってきて、一代で業界トップの上場企業をつくり上げた方なんですね。その方に初めてお会いしたのは10代の頃で、父の仕事の関係でお会いしたのが最初でしたが、それ以来ずっと影響を受けていますね。
私の実家は元々商売をやっていて、祖父がいた頃は、祖父と碁を打ちに多くの経営者が来たりしていました。そういった方々の振る舞いを見ていると、細かいところまで非常に気を配るんです。会社で一番偉い人なんだし、偉そうな態度を取っていてもおかしくないけれど、そういったことは一切しない。私の家族や従業員にも必ず手土産を持ってきて『みんなで食べなさい』などと言ってくれたりもしました。
昔の経営者って、経営は組織全体でやっていくもので、若い人もベテランも、全員欠けることなく必要だと分かっていたんですね。商売は厳しいから、若い人たちが一人前の商売人になるまでは、年配者が支援しなければいけない、と。
そういった商売の基本を、いろいろな人が教えてくれる環境だったんです。だから、今の経営の現場を見ると、どうしてもドライに感じてしまうんですよね。即戦力といって採用して、成果主義で、結果出せない人はバサバサ切って。評価にしてみても、単純に“出来たか出来ないか”だけですよね。それでは本当の企業人材は育たない。成果さえ出しておけばいいんでしょっていう、思い入れのない醒めた仕事のやり方になってしまう。
私が一番影響を受けた方も、気配りがすごくできていて、部下を叱るときでも「お客様のために叱っている」ということが伝わってくるんですよ。商売とは、厳しさと温かさの両輪があって、はじめて稼がせてもらえるのだということを学ばせてもらいました。
私が色々な理由から、ボロボロの経営状態だった実家の会社を継いだときも、その方は応援してくださいました。そうなるまでは『お願いします!』って擦り寄ってきた人たちが、金の切れ目は縁の切れ目といわんばかりに消えてなくなってしまうような状況の中でもです」

―会社が危機になったときも応援してくれるってすごいことですよね。

「その方が言うには、私の祖父の頃からずっとお世話になってきた。それに、私が頑張っている姿が見えるから応援するんだ、と。だから、厳しいお叱りも受けたし、その一方でビジネスマナーや振る舞い方も教えてもらいました。とにかく、大、大、大恩師ですね。
頑張っている人や、必死にやっている人を応援したくなるのって、人間の自然な心情だと思うんですよ。ユニクロの柳井社長も例外ではありません。私が前著を出版したときにも、日本一多忙を極める大経営者がわざわざ私を呼んで面談の時間を取ってくださったんです。」

―では、田中さんにとってユニクロの柳井社長とはどのような存在ですか?

「神様的な大経営者ですね。すごすぎます。だからこそ学びがあるわけで、柳井さんを見ていると私自身の足りないところが見えてくる。柳井社長のすごいところは、毎日のコツコツした不断の努力の積み上げの人なんです。ドがつくほど真面目。あれほど努力している人は見たことがありません。その努力の中から導かれた誰も考えつかない事を、スピードをもって必ず実行する。すごいです。だから、自分たちも頑張ろうと思うし、自分のやっていることはまだまだだなと思うんです」

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