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“擬人化たん”は現代の妖怪!? 『妖怪天国ニッポン』展を見てきた

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“萌えキャラ”や“ゆるキャラ”は現代の妖怪!? 妖怪の歴史をひもとき、その系譜をたどっていくと江戸時代から受け継がれてきた日本人の“キャラクター好き”文化が浮き上がってくる――そんなスリリングなアプローチの“妖怪展”が、この夏『京都国際マンガミュージアム』で行われます。その名も『妖怪天国ニッポン―絵巻からマンガまで』と題した特別展では、江戸時代の浮世絵や絵巻から現代の妖怪マンガ資料など、日本中の妖怪資料を数多く集めて展示。関連イベントには、『新耳袋』の著者であり“伝説の怪談師”の異名をとる木原浩勝氏の怪談ライブなども予定されています。

『京都国際マンガミュージアム』で開かれる妖怪展ということだけあり、単なる妖怪画の展示ではなく、江戸時代の妖怪画を日本のマンガ文化、キャラクター文化としてとらえて歴史的に系譜をたどり、妖怪とマンガの関係、さらには妖怪と日本人の関係に迫る展示構成になっています。

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妖怪たちが、今のように怖いと同時にコミカルな存在として人々に親しまれるようになったのは、江戸時代以降のことだそう。かつては荒ぶる自然の力の象徴であった妖怪は、江戸時代に入って「自然よりも人間の方が優位にある」という考え方が主流になったことにより、人間を楽しませる「キャラクター」として戯画やおもちゃの題材になっていきました。

今回の展示では、江戸時代に歌川国芳などが描いた妖怪の浮世絵や、明治時代に描かれた河鍋暁斎の妖怪画など、貴重な妖怪画資料を数多く展示。絵を見ていると当時の人々が妖怪の存在を怖がりながらも面白がっていたことが伝わってきます。

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水木しげる氏の『ゲゲゲの鬼太郎』で描かれている妖怪の原典は、実はこの江戸時代の妖怪画。日本の近代化とともに「古くさいもの」としていったん姿を隠し、紙芝居と貸本マンガの世界で息をひそめて生き残っていた妖怪たちですが、水木しげる氏の妖怪マンガによって“妖怪ブーム”を巻き起こすまでになりました。展示に沿って、江戸(近世)から現代までの人間と妖怪の関係の変遷を追いかけていると、人々の暮らしとともに妖怪のとらえ方が変化していくことがわかって興味深いです。

また、日本では古来から「あらゆるモノに神が宿る」という信仰があり、100年を経た古いモノは“付喪神(つくもがみ)”という妖怪になると考えられてきました。展示されている『百鬼夜行絵巻』には、鍋や釜、楽器などが妖怪になって現れた姿が描かれているのですが、もしかして100年後の22世紀にはパソコンやキーボードも妖怪になるということでしょうか?

「そうかもしれませんね(笑)。付喪神は、食べ物や新幹線を美少女キャラにしてしまう“擬人化たん”や、都道府県が制作する“ゆるキャラ”の先祖なんです」と学芸員の伊藤さん。たしかに、商品に“○○くん”や“○○たん”と名前をつけている例、たくさん思い浮かびますね。現代に生きる私たちの周りでも、新たな“妖怪”が生みだされているのかもしれません。妖怪をひもとくことで、日本人の“モノの見方”がわかってくるのも、この展示の見どころのひとつです。

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このほかにも、京極夏彦氏の妖怪小説の表紙を飾った荒井良氏の『妖怪張子』や、見世物小屋に登場していた『人魚のミイラ』、人間の顔を持ち牛の身体を持つ『件(くだん)』の実物など、ちょっと怖くてドッキリする立体展示も。読書コーナーでは、展示で紹介された妖怪マンガ作品を中心に怖いマンガ500点以上が用意されており、自由にマンガを読むこともできます。

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記者:

京都在住の編集・ライター。ガジェット通信では、GoogleとSNS、新製品などを担当していましたが、今は「書店・ブックカフェが選ぶ一冊」京都編を取材執筆中。

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