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「作品を書くために、常に学んでいないといけない」古川日出男インタビュー(3)

「作品を書くために、常に学んでいないといけない」古川日出男インタビュー(3)

 出版界の最重要人物にフォーカスする『ベストセラーズインタビュー』!
 第40回の今回は、新刊『ドッグマザー』(新潮社)を刊行した古川日出男さんです。
 前回、前々回は新刊についてお話をうかがってきましたが、最終回となる今回は執筆スタイルについて。古川さんの特徴的な文体や小説世界がどのように築き上げられていったのかに迫りました。

■「作品を書くために、常に学んでいないといけない」
―古川さんが小説を書こうと思ったきっかけは何だったのでしょうか? 創作活動のはじまりは小説でなく演劇だったということですが。

古川「そうですね。最初は戯曲を書いていたんですけど、戯曲だと逃げられるところが多いんですよ。というのは、自分のせいじゃないことが多くて、たとえば役者が稚拙とか、人数が足りないとか、制約が多かったし予算もかかりますしね。バイトして稼いだお金を注ぎ込んだり、公演中はバイト休まないといけないとか(笑)とにかく不自由が多かった。
そういうことが自分が書こうとしている物語や創造の制約になっているとしたら、それを外さないといつまでも逃げてしまうと思ったんです。戯曲やめて小説を書けば、制約がなく全部書けるんじゃないかと。
でも、結局デビュー作の『13』っていう小説は書きあげるのに4年かかって、分量も1100枚とかになっちゃって、制約がないと大変だなと思い知ったんですけど(笑)
今は書いた小説がひとつひとつ極められているから、これからは戯曲的なものも試みていくと思います」

―最初は書き方がわからなかったとおっしゃっていましたが、わかるようになってきたというか、何か掴んだという瞬間はありましたか?

古川「なかったなあ(笑)ただ、だんだん気持ち良くなってくる瞬間はありました。それは二作目を書いていて、急に一人称で書き始めた時で、すごく書きやすかったんです。
これは何だろうと思って、三作目で一人称を徹底して貫いたら、詩のような小説になってしまって、これは小説じゃないなと思ったり。そうやって実地で試しながらバランスを考えてやってきた感じですね」

―“小説を書くことは自分の深いところに降りていくこと”とおっしゃっていましたが、小説は一日では書き終えられないことがほとんどで、翌日途中から、ということになるかと思います。そういった時でも、すぐに自分の深いところへと入っていけるものですか?

古川「基本的にはいつも苦しいですよ。パッと入るための自分なりの条件は、とにかく朝書くこと。新聞を読む前に書くとか、脳みそをまっさらにするためにバロック音楽を聴いいておくとか、いろんなルールがあります。そうやって気分を執筆に合わせておかないと、昨日まで書いていたものの続きを書くのは難しいです。
そういうことをしないでも書ける人もいると思うんですけど、僕は小説の中に体当たりでダイブするところがあるので、気をつけておかないとプールに水が入っていないのにダイブするような状態になってしまいます」

―古川さんが人生で影響を受けた本がありましたら3冊ほどご紹介いただけますか。

古川「ボルヘスの『エル・アレフ』とマルケスの『百年の孤独』です。あとは村上春樹の『ねじまき鳥クロニクル』かなあ…。3冊ってきついですね(笑)」

―南米文学がお好きなんですね。

古川「物語と言葉がどちらも豊饒っていうのが日本の小説にはあまりないんですよね。物語だけを追うとエンターテイメントになって文章は読みやすくなり、文章を重視すると物語性は薄くなって純文学になる。純文学とエンターテイメント小説の違いって文章と物語とのバランスってことだと思うんですけど、僕は単純に両方あったほうがいいと思います。南米小説にはそれがあって、しかも色ものではなくアカデミックに評価されていた。それはびっくりしましたね。個人的にはあまりアカデミックなものに興味がないのですが」

―執筆は朝するということですが、午後はどのように過ごしていますか?

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