「天職」とは「好きだけど○○ができるもの」?

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「天職」とは「好きだけど○○ができるもの」?

 自分を愛するということは、自分を丁寧に見つめるということではないでしょうか。本書『自分を愛すると夢は叶う』では仕事やお金、愛など複数のテーマを掲げ、吉本ばななさんと奥平亜美衣さんが考えをぶつけ合っています。仕事では天職に就くこと、恋愛では穏やかな結婚生活を送ること。それぞれのテーマに沿った夢に近づく方法を教えてくれます。

 自分が心の底から好きだと思うことを発見し、それを諦めずにいることで願いが叶う。そのためには「どんな仕事をしたいか」のような大きなことを考えるのではなく、「平凡な生活の中で何を幸せに思うか」というような小さなことから考える必要があると本書は言います。そういう部分にこそ自分のルーツが表れるからです。

 そうやって見つけた夢を潜在意識へと落とし込んでいくことで実現することができるそう。まさに「引き寄せの法則」と同じこと。「本当の望みは、タマネギの薄皮をむくようにして出てくる」(本書より)と奥平さんは語っています。嫌なことを選択しないように心がけ、小さな「好き」を見つけていく作業によって成功する。自分の核となる夢をしっかりと持ち、そのうえで自然に生活していくことが重要だということでしょう。

 吉本さんの発言からは、自分にはできないことや持っていないものを潔く諦める姿勢が印象に残ります。恋愛でも、パートナーや自分が大した人間じゃないと自覚することで、失望する可能性を避けるのです。現状を穏やかに受け入れようとすることで余裕が生まれ、それによって自分の願いや夢を見つめられるようになると言います。

 恋愛のパートでは、異性との出会いを引き寄せる「ときめきメモ」が紹介されています。ときめいたことは異性に対してだけではなく、犬が可愛かったこと、素敵なアクセサリーに出会ったことなども数えます。それを寝る前にメモし、メモしたもので生活を満たしていく。それによって異性とのときめきも引き寄せることができるようになるのだとか。ここでも「夢」に近いものに身を浸して生活を送ることが重要になっています。

 夢を叶えること、ひいては生きていくことで重要なのは、やはり体の健康です。自分らしく生きることができていないと体に不調が出ることも増えます。もし病気になったときは、自分が無理をしてストレスを溜めていないか、生活を見直すタイミングと考えてもいいでしょう。自分の望みとは違う生き方をしていて無理が体に出てしまっているのなら、人生を変える転機なのかも。私たちが思っているより体は正直なものです。

 お二人は仕事に関しても、自分の持っているものや、自然と興味が向かっているものが天職、という考え方を持っています。無理に探しに行くのではなく、自然と身の回りに集まってくるものが天職に繋がる、という考え方です。天職を見つけたかったら、好きなものをどんどんやってみる。そうして見つけた仕事の中で、「好きだけど、さじ加減ができるもの」(本書より)が天職だそう。好きだからといって時間外労働を我慢したり、上司の命令には絶対に従うようにしたりしてしまっていたら、それこそストレスが溜まって健康を維持できなくなってしまいます。

 どのテーマでもお二人は、無理に現状を大きく変えようとはしていません。そこが夢を叶えるキーになっています。どっしりと構えて生活していくことで生まれる余裕がいかに大事か、本書を通して絶えず語られています。自分を愛することで自分が見えてくるし、夢も見つかる。夢というのは生きていくうえでの芯になります。強い芯を持っているからこそ流れに身を任せることができる。だからこそお二人は、自然体で幸せに向かっているのでしょう。

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