アメコミヒーローをロボに乗せるのは日本の伝統!? 映画『ニンジャバットマン』ガジェット裏話も!中島かずき×水﨑淳平インタビュー

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水﨑:今は映画や作品を観て、SNSで意見を同時に交わしながら中継のように観るスタイルが世界的に標準化している中で、「いやいや、これは彼らがわざとやっている」と解説してくれる英語圏の人がいるだろうと見越してやってはいるので、おそらく情報が交換されていく内に、我々の真意も昔よりはある程度浮き彫りになる時代なんじゃないかなと思います。だから、あえて作品内でツッコミも入れず、お客さんにツッコんでもらって何回も観て、人の解説を聞いてまた観たくなって、というような、くり返し観ることを想定した部分はあります。

中島:やっぱり過剰に拡大解釈した方がアメコミなので楽しいし、その過剰さが我々の武器ではないか、と思いましたね。

水﨑:出たアイデアに対して否定的な意見をするのではなくて、みんなそれに乗っかっていく。誰も否定しないから、そろそろ乗っけすぎて崩れるからやめよう、みたいな(笑)。

――それをまとめるのは大変じゃなかったですか?

水﨑:僕らより、DCを説得しに行ったワーナーの担当者が一番大変だったんじゃないかな。

中島:「とにかく城が合体したり、サルが合体して戦うんですよ」というのを英語で担当者が言っていて、「何を言っているのかわからないと思うけど、そういうことなんです」と伝えるのが一番大変だったらしいです(笑)。

水﨑:でも、人間や動物のイラストが集まって1つの顔になっている作品が昔のアート表現であるから(寄せ絵)、「サルが合体して」と言われてもなんとなくピンと来るのは、そういった歴史的なものがあるからですよね。あ、あれか!みたいな。

――そう……ですかね(笑)。でも、言葉で聞くと理解が追いつかないですが、映像で観るとそんなに違和感はないですもんね。

中島:そう!? それは良かったです(笑)。

水﨑:あまり聞かない意見ですね、観ると納得するって(笑)。ちょっと負けた気がしますね。

中島:そうね、みんな観てもあんまりわかってない顔してるもんね。

――今回、アイデアを出し合っている中で一番盛り上がったものは?

中島:里見プロデューサーが、日本人はアメコミのヒーローをロボに乗せるって海外の人達は思っているはずだから、まずロボットを出しましょう!って言ったんですよね。

里見プロデューサー:(東映の日本実写版)『スパイダーマン』の伝統に乗っかろうと言ったんです。

中島:おっしゃる通りでございますね、という話で、じゃあロボやりましょうとなったら、水﨑さんが目をキラキラ輝かせながら、「じゃあ五城合体ですね」と言い出して。その五城合体のロボにバットマンがどうやって勝つんだと言ったら、僕が「サルが合体するんです」と話して出来ました。そのシーンが一番盛り上がりましたね。

あとは、「ガジェットを出すなら前半で一気に全部出しちゃおう」と、どんどんマトリョーシカ的に出てくるのをやろうという感じで、誰かが1つアイデアを出すと次々に「だったらこうやろう」の連続でした。バイクがあれば、それがアーマードスーツになるのは、それは日本の伝統だからって(笑)。だったら、もう本家にデザインしてもらいましょうということで、荒牧伸志さんにお願いしました。

水﨑:
荒牧さんとは我々は元から繋がりがあったので、「バットポッドをデザインして欲しい」とだけ説明してからお打ち合わせに行って、「実はこのバットポッドを着たいんですよ……、あとは察してください」と言ってお願いしました(笑)。

中島:そういう日本のアニメ伝統の叡智を結集しました。

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