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あのとき僕は、男でも女でもなかった。そもそも人間でもなかった

あのとき僕は、男でも女でもなかった。そもそも人間でもなかった

全身に広がる壮絶な気持ち悪さに耐え、アヤワスカを吐き出した。

その効き目は倍増していった。身体も麻痺し、動かない。心臓の鼓動はあまりにも静かだった。記憶も曖昧になり、自分がどこにいて、何をしていて、誰であるのかすら分からなくなった。「私」という個の認識が徐々に崩れていった。

生まれてから記憶によりこれまで作り上げてきた「自分」というアイデンティティが、木っ端微塵に吹き飛んでいた。僕は男でも女でもなく、弟でも旅人でもなかった。そもそも人間でもなかった。このときの感覚は言葉で表現できる世界を超えていた。

全ての仮面が剥がされた。何者でもなく、ただただ、今という瞬間に「存在」していた。僕は死ぬんだ。というかもう死んでいるんじゃないか?そう思った。

自分という認識が崩れ去ることはとても怖かった。いつしか「私」という個は完全に消え、全てと一つになった。その瞬間、僕は自然、宇宙、あらゆるものと繋がっていた。とてつもない安心感で満たされた。

もうこのときは死んでいようがいまいが、どちらでもよかった。考えるのはやめた。この至福を感じていたかったから。自分が消えていく喜びの世界だった。

すると自分が意識するものに自分はなれると分かった。着ている服、寝ているベッドはもはや自分になっていた。その感覚が面白くてふと横に置いてあったマッチを触ってみた。瞬間、意識がマッチと一体化した。僕はマッチだった。

そしてもっと大きく自分を広げようと意識した。すると体は寝ている床に溶けていく。どんどんその範囲は広がり、ジャングルを覆う草花と森の木々と、この地球と、宇宙と繋がった。

僕は全てだった。全てが繋がっていた。自分と誰かを分け隔てているものはなかった。

僕は今まで他者とのつながり、自然とのつながりに気づかないままに生きていた。人間も動物も草花や木々も宇宙のエネルギーが形を変えたに過ぎない。みんな繋がっている。海という大きなエネルギーがあり、僕はその海のひとすくいだった。

エネルギーは変化し、形を変える。水は氷にもなるし霧にもなる。形は変わるけれど同じエネルギーには変わりない。

全てとの繋がりを感じた時、僕は人に、自然に優しくなろうと思った。全部自分だと感じ、理解したから。

僕は生かされている。この自然に、宇宙に、全ての存在に。

「ありがとうございます」

心から感謝の念が溢れ出した。Top Photo by X

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