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『Testing』エイサップ・ロッキー(Album Review)

『Testing』エイサップ・ロッキー(Album Review)

 前作『アット・ロング・ラスト・エイサップ』からおよそ3年振り、通算3作目のスタジオ・アルバムとなる『Testing(テスティング)』をリリースしたエイサップ・ロッキー。オリジナル・アルバムの発売は久々だが、エイサップ・ファーグのミックステープ『Still Striving』や、G・イージーの大ヒット曲「ノー・リミット」にゲストとして参加するなど、昨年は他アーティストの作品に起用され、大活躍した。また、年始にはアンダーアーマー(UNDER ARMOUR)とのコラボシューズを発表するなど、活躍のフィールドをファッション業界でも着実に広げている。

 新作 『Testing』 は、米ニューヨークのスタジオではなく、ロンドンやベルリンなどヨーロッパ方面で制作されたという。プロデューサーは、LAのヒップホップ・プロデューサー=DJカリルや、上述の「ノー・リミット」を手掛けたボーイ・ワンダ、アレックス・リダによるエレクトロ・ユニットのボーイズ・ノイズ、 ラナ・デル・レイやスヌープ・ドッグを手掛けるヘクター・デルガードなど。その他、フィーチャリング・ゲストとして参加しているアーティストたちも、それぞれの楽曲にソングライターとしてクレジットされた。

 そのゲストには、 コダック・ブラック、 フランク・オーシャン、ジューシー・J、フレンチ・モンタナ、 スケプタ、 FKAツイッグス 、デヴ・ハインズ、 キッド・カディなど、現在のヒップホップ・シーンを語る上では欠かせないメンツが揃って参加。中でも、 先行シングル「ASAP Forever」にフィーチャーされたモービーは意外だった。この曲は、モービーが2000年にリリースした「Porcelain」という曲をサンプリングしたもので、前半は エイサップ・ロッキーらしいイースト・コースト・サウンド、後半はガラっと雰囲気が変わり、その「Porcelain」の音世界に誘われる構成になっている。画面が反転したり、シーンが目まぐるしく変化していくミュージック・ビデオも完成度高い。なお、アルバムにはT.I.とキッド・カディが加わったリミックス・バージョンが収録されている。

 ローリン・ヒルが アンプラグドで披露した「I Gotta Find Peace Of Mind」のアコースティック・ギターとボーカル・パートをフィーチャーしたメロウ・チューン「Purity」や、弟のジューシー・Jがゲストを務めたプロジェクト・パット「Still Ridin Clean」使いの「Gunz n Butter」、故・ロジャー・ウェッブの「Man Inside」のサックス・パートを絶妙なタイミングで流すジャジーな 「Tony Tone」、クリス・ブラウンとのコラボが話題となった、ジョイナー・ルーカスの「FYM」をネタ使いした「Fukk Sleep」など、サンプリング・センスもすばらしい。 故2パックにより結成されたサグ・ライフの「Cradle to the Grave」がノスタルジックに響く「Hun43rd」も、往年のヒップホップ・ファンはニヤリとしたのでは?

 その他、クラクションやリントーンが使われた新型のトラップ「OG Beeper」や、オーディオが故障したような“耳障り”なサウンドの「Distorted Records」、スケプタがプロデュースした南国風の「Praise the Lord」など、新感覚のサウンドが詰まった密度の濃い内容になっている。 冒険することを怖がる保守的なアーティスト多い中で、実験的な内容を含んだこういった作品をリリースしたことに感服。これは、アーティストとリスナーが一緒に成長できるアルバムだ。

 エイサップ・ロッキー は、2013年の1stアルバム『ロング・リヴ・エイサップ』、2015年リリースの2ndアルバム『アット・ロング・ラスト・エイサップ』が2作連続で米ビルボード・アルバム・チャート(Billboard200)で1位を記録している。本作で、3作連続の快挙を達成する可能性は高い。なお、ドレイクをフィーチャーした「Look Alive」が大ヒット中のブロックボーイ・JBが参加したシングル「Bad Company」の収録は見送られた。

Text: 本家 一成

◎リリース情報
アルバム『Testing』
エイサップ・ロッキー
2018/5/25 RELEASE

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