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<ライブレポート>ジル・エグロ、色褪せることのないエディット・ピアフの名曲に新たな息吹を注ぎ込む

<ライブレポート>ジル・エグロ、色褪せることのないエディット・ピアフの名曲に新たな息吹を注ぎ込む

 2007年、公開された映画作品『エディット・ピアフ~愛の賛歌~』。戦後、激動の時代を生き抜き、1963年に亡くなったフランスの国民的象徴でもあるシャンソン歌手「エディット・ピアフ」の生涯を描いた作品で、その年のアカデミー賞、ゴールデングローブ賞、セザール賞など数々の映画賞で主演女優賞を獲得したことは記憶に新しい。その作品でピアフの歌声を担当したシンガー、ジル・エグロが来日中だ。

ジル・エグロ ライブ写真(全10枚)

 彼女の来日公演は2013年11月、東京・渋谷のBunkamuraオーチャードホールで開催された没後50周年を記念するコンサート以来、ビルボードライブ大阪では初となる。今回の公演は、フランスで作曲家としても活躍するピアニスト「ギノ・サミン」、そしてフランスでアコーディオンを学んだ経験も持つ実力派のアコーディオン奏者「かとうかなこ」とのアコースティック編成でのライブ。ピアフの55年忌にあたる今年、今もなお愛され、色褪せることのないエディット・ピアフの名曲の数々に、ジル・エグロが新たな息吹を注ぎ込んだ模様をレポートする。

 フロアの照明が暗くなり、観衆の密やかなざわめきが会場を満たす中、ステージの上手から歌声が響く。ノンマイク、アカペラで歌いながらフロアからステージに立つジル・エグロ。生前のピアフはステージに立つときも黒い衣装を選んで着ていたという。シンプルな黒いワンピースに身を包んだその姿は、「エディット・ピアフ」その人の姿を彷彿させるかのようだ。

 「ピアフ(雀)」のように軽やかで、伸びやかな歌声で会場を魅了するジルの歌声。ピアノとアコーディオンというシンプルな構成が、より歌の輪郭を際立させ、ピアフが紡いだ美しい名曲の世界を、情感豊かに描き上げていく。「ボンジュール、ボンソワール」そんな挨拶のあと、今回の来日にあたっての喜びを話すジル。言葉は少ないながらもその言葉には、没後55年を経ても愛されるエディット・ピアフへの深い敬意が込められていたように思う。

 まるでピアフが生きたパリの風景を歩くように、まるで映画のワンシーンを描くように、全身でピアフの楽曲たちを歌いあげるジルの姿は、時に小粋で愛らしいパリジェンヌのようであり、恋の炎に身を焦がしたピアフの生き様を描くかのようでもあった。ジルがステージを一旦降り、ピアノとアコーディオンの演奏が始まる。喧騒から離れた少し物憂げな景色を思わせる静かな旋律がリズムにのってステージを駈け廻り、やがて次の物語を予感させる「動」のメロディへと発展した時、再びジルがステージに登場する。

 公演タイトルにもなっている「バラ色の人生」では、マイクを手に歌いながら、フロアに降り立つシーンも。一人一人と視線を合わせながら、ピアフの描いた美しい世界を丁寧に歌い上げるその姿は圧倒的。それでいてチャーミングに微笑みながら遠く離れた観客にも手を振る姿はとても愛らしく、ジル・エグロという歌手に観衆が魅了されていくのが分かった。

 アンコールでは、ジルのプロデューサーでもある男性歌手ニルダ・フェルデナンスが登場し、彼とのデュエットも披露。大きな拍手と歓声の中、公演は幕を閉じた。この後、公演は広島・長崎へと続く。エディット・ピアフへの深い敬意を表した歌唱力、愛らしい人柄で、きっと日本のファンを魅了していくことだろう。

Photo by Kenju Uyama
Text by 杉本ゆかり

◎公演情報
【ジル・エグロ
エディット・ピアフ没後55周年トリビュートコンサート
ジル・エグロ ~バラ色の人生~】

大阪・ビルボードライブ大阪
2018年5月24日(木)※終了

広島・広島西区民文化センター
2018年5月25日(金)

長崎・アルカスSASEBO 中ホール
2018年5月26日(土)

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