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杏が沖縄訪問で見つけた「大人も読んでほしい絵本」

杏が沖縄訪問で見つけた「大人も読んでほしい絵本」
J-WAVEで放送中の番組『BOOK BAR』(ナビゲーター:大倉眞一郎・杏)。毎週ナビゲーターのふたりが「今読むべき本」としてオススメの本を持ち寄っています。5月19日(土)のオンエアでは、杏が『ぬちどぅたから 木の上でくらした二年間』(著:真鍋和子 イラスト:高村忠範/汐文社)、大倉が『ゴドーを待ちながら』(著:サミュエル・ベケット/白水社)をそれぞれ紹介しました。

■大人も読みたい絵本

先日、沖縄を訪れた杏が紹介した『ぬちどぅたから 木の上でくらした二年間』は、実話を絵本にした作品です。もとになったのは、「第2次世界大戦のときに、ふたりの人が隠れたまま、戦争が終わっても気づかなくて、しばらくそのまま潜伏していた」というお話です。

:今回、沖縄県の伊江島に行ってきました。本部町という美ら海水族館のある有名な町からフェリーで30分の、すごく近い島で、非常にのどかな島なんです。人もそんなに多くないし、観光もありますけど、すごく混んでるというわけでもない。そこで戦時中は「飛行場をつくれ」といわれて村人総出で、1年半かけてせっせと、ろくなものももらえないなか、「日本軍のため」と飛行場を作ったんです。「やっとできた」という翌日に「飛ばす飛行機もないし、空港が乗っ取られて飛行場として使われたらたまらないから、今すぐ壊せ」と。
大倉:日本軍がやってることは、めちゃくちゃですね。
:そんなこともあって、最終的には米軍も上陸してきて凄惨な戦場になってしまった場所でもあるんです。1周1時間くらいでまわれる小さな島で、その中に沖縄の有名な精霊・キジムナーが住んでいるというガジュマルの木があります。上から細い枝が垂れ下がっていて、木と木が集合しているガジュマルの木の上で、2年間生活していた2名の方がいらっしゃったんです。ずっと前にその話を聞いたことがあって「木の上に2年間!?」って。米軍が上陸してきたので、戦後は米軍の残飯を探しに行って、そこから必要なものを取って食べて、昼間はずっと木の上で隠れてるって生活をされていたらしいです。
大倉:2年間も……。
:ガジュマルの木の下に「ここに隠れていました」という説明書きのプレートがあって、その中でこの本が紹介されていました。小学校高学年くらいから読めるけれど、大人が読んでもきつい内容でした。木の上に潜伏していた方のうちのひとりにお話を伺って作った本なんですけど、2009年までご存命だったそうです。
大倉:今ざっと見てたんですけど、大変悲惨な描写もあって、ものすごく大きな字で、ほとんどの漢字にふりがながふってあって、おそらく小学生3〜4年生でも読めますね。そういうことを意図して作られた本ですよね。
:ごまかしてないですよね。大人が読んでもグサグサ刺さる、ツライ本でもあるんです。
大倉:これは今読まなきゃいけないですね。
:数としては、そんなに出版されている本じゃないかもしれないです。この本のあとがきにもあるんですけど、「本土決戦はなかった」みたいなことは、沖縄を除いて言われているだけであって、ここを除いて1945年8月にいきなり戦争が終わって晴れやかな平和がやってきた、ということじゃないんだよと。

■読んでいてもわからない本?

続いて大倉は、『ゴドーを待ちながら』を選んだ理由を以下のように語りました。

大倉:敢えてあげるなら、「不条理というものは道理が通っていない」ということですよね。道理が通っていないことが、堂々とまかり通っているのが、現在の日本であると思うわけです。たとえば、政治の世界で、どこの党とは言いませんけど、いろいろと党を移った方がいいます。「あなた、1年前はこうおっしゃってましたよね」と、テレビ録画が残ったりするわけですよ。それが「一言も言ってません」みたいな顔をして、一切振り返ってくださっていない。これが通るんだったら「この日本は不条理が通る国になってしまいますよ」ということ。

『ゴドーを待ちながら』は戯曲です。大倉は「読んでいてもわからないんですよ。“わからない”とはこういうことだなというくらい、わからない」と語ります。起承転結もなく、ただタイトルのまま「ゴドーはいつ来るんだ」と待ち続ける設定だそうです。

この難解な本を、大倉は大倉なりに、以下のように解釈しました。

大倉:でも、劇を観た人間は「わからなかったと言いたくない」と思うわけです。「ゴドーというのはさ……」という話題にけっこうなるんですよ。一番有力な説は、「『ゴッド』に愛称の接尾辞を付けて『ゴドー』ではないか」と言われていますけど、サミュエル・ベケットは何も答えてないんです。「意図は何ですか?」と訊かれて、本人は「知っていたら作品の中で書いただろう」と答えてるらしいんですよ。全部、観る側や読む側に投げちゃっている感じなんです。

この解説に杏も「その“わからないもの”を形にすればいいってもんじゃないところが、名作として演じ続けられているところなんでしょうね」とコメントしました。

今回紹介した2冊が気になる方は、ぜひ手に取ってみてください。

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【番組情報】
番組名:『BOOK BAR』
放送日時:土曜 22時−22時54分
オフィシャルサイト:http://www.j-wave.co.jp/original/bookbar/

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