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映画『孤狼の血』白石和彌監督インタビュー 「仁義を大切にしている昭和の男が消えていく哀愁を描く事に心を砕きました」

ーーガミさんの「綱渡りの綱に乗ったら、もう落ちないように前に進むしかない」といったセリフがありましたが、それを手がかりに松坂さんがライターを見つけるシーンがあって、その精神の継承といった側面も描かれていたと思います。

白石:いやもう、既にこの映画の中で綱に乗っちゃってますよね。ここからは綱を渡っていくしかない人生なんだけど、もう綱に先はないんですよ。昭和という時代が終わって、暴力団対策法も僕らが知っているような法律ができて、今のヤクザはご存知の通りの状況になっているじゃないですか。分裂してケンカもできないわけですよね、今のヤクザというのは。そういう時代が良かったのかという話にもなるから。だから日岡は、残された最後の昭和の人みたいなイメージになっていくのかな。

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ーー尾谷組や加古村組の組員など、警察以外のキャストも個性的です。

白石:『彼女がその名を知らない鳥たち』の時に、野崎役の竹野内(豊)さんが「刑事もヤクザもやったことがない」と言っていて、「もし、機会があればやります?」と聞いた時に「チャンスがあったらやってみたい」と話していたので、その段階で野崎でオファーしようと思っていました。(新聞記者役の)中村獅童さんもスケジュールがそんなになかったんですが、ポイントで出てもらいました。けれど「本当はヤクザやりたかった」と怒られたりして(笑)。撮影が終わってからも、いろんな役者さんに会うたびに「なんで呼んでくれなかったんですか」「ヤクザやりたいっす」と言われました(笑)。今なかなかできないですからね。振り切った芝居がやりやすいんだと思いますよ。

ーー原作にはない阿部純子さんが演じた薬剤師・桃子も、最後にどんでん返しがあります。

白石:オーディションにはずっと来てもらっていたのですけれど、すごい、いい娘で何だろうな……。若いのに「お前、なんでそんなにいろいろなこと経験してそうな顔してるの」という(笑)。「お前頑張れ」みたいな感じがあるんですよね。ずっとお仕事したいなという想いはあって、ただ僕の手がける作品の女性キャストは、大体がビッチばっかりで。今回の役どころも一筋縄ではいかないんですけれども(笑)。久々に会って「あっ、これはもしかしたら合うかも」と感じて、「頑張れる?」って聞いて「はい頑張ります」と。

ーー映画のパンフレットには東映の50~70年代の警察・実録やくざ映画の系譜が載っています。2018年にこのような作品を世に出す意義について、最後にお聞きできればと思います。

白石:他の映画会社が、キラキラ漫画を原作にした映画で全盛時代を迎えていて、東映さんもそういう映画を撮っていると思いますけれども、そんな東映さんの映画を僕が言うのもなんですけど「観たいかな」という(笑)。本当に原点に返ってこういう映画を作るって思いが、まだまだ残っていて。地方に行くと劇場さんから「こういう東映さんの映画が観たかったんです」と言われるんですよね。僕にこれだけ言っているんだから、多分東映さんの営業の方とかみんな聞いているはずで、この映画が本当にヒットしたら絶対にまた面白いことになるぞと。多様性とか含めて韓国にこういうことやられっぱなしだから。それとは別に「日本でも撮っていいんじゃない」という想いはずっとあったんで、嬉しいですよね。

ーーありがとうございました!

映画『孤狼の血』公式サイト
http://www.korou.jp/ [リンク]

(c)2018「孤狼の血」製作委員会

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記者:

乙女男子。2004年よりブログ『Parsleyの「添え物は添え物らしく」』を運営し、社会・カルチャー・ネット情報など幅広いテーマを縦横無尽に執筆する傍ら、ライターとしても様々なメディアで活動中。好物はホットケーキと女性ファッション誌。

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