体験を伝える―『ガジェット通信』の考え方

面白いものを探しにいこう 本物を体験し体感しよう 会いたい人に会いに行こう 見たことのないものを見に行こう そしてそれをやわらかくみんなに伝えよう [→ガジェ通についてもっと詳しく] [→ガジェット通信フロアについて]

映画『孤狼の血』白石和彌監督インタビュー 「仁義を大切にしている昭和の男が消えていく哀愁を描く事に心を砕きました」

ーー『孤狼の血』は広島の呉市がモデルです。ロケ地はどのようにお探しになったのでしょうか。

白石:まず脚本をつくるうえでも「呉を見に行きたい」というのはプロデューサーにお願いして、(前作の)『日本で一番悪い奴ら』のキャンペーンをやっている最中に、広島キャンペーンがあって、その前日か前々日くらいに乗り込んで呉の街を見て回ったんですよね。柚月先生もおそらくご覧になったと思うんですけれど、僕の呉の印象が昭和63年で時間が止まっているように見えたんです。当時はもう少しスナックの数が今よりも多かったとか、当時の熱量から比べると小さくなっているというのはあるのかもしれないですけれど、そんなにロケ加工しなくてもいけるかなというのと感じました。もう一つ、『仁義なき戦い』シリーズは呉を舞台にしておきながら、京都撮影所とその周りの商店街で撮っています。実際に呉で撮っていないのであれば、あえて頑張ってやることで、何かまた違う色合いが出せるのでは、という希望や計算がありました。

ーー呉で映像の空気感がそのまま出来上がっていった、と。

白石:そうですね。呑み屋に行ったら、みんな呉弁をしゃべっているでしょうし、そういうことが、多分俳優も行って演じることがすごい糧になるだろうなと思いました。

korou_shiraishi_04

ーー劇中に何度か登場する養豚場のシーンが印象的でした。

白石:大変だったんですよ。豚を連れて来るのに、買い取ると一頭10万円だとか。買っていられないですからね。それでも、協力して貸してくれる方がいらっしゃったんです。やっぱり『孤狼の血』というタイトルで、狼に対するものは豚だろうな僕はと思ったんです。狼はなかなかいないからね、日本に。いれば狼という話になったかもしれませんけれど。とにかく、「ここは豚だ」とこだわりましたね。

ーー『club梨子』のセットも大掛かりなように感じました。どのように撮られたのでしょうか?

白石:クラブ梨子は呉にある有名な黄色いビルの上の階にあって、「今使ってないところなので使って下さい」と言って下さって。ピアノを運んだりして結構大変だったんですけれども。オールスターが集まるから演出家としては大変だなと思いながらやっていました。

ーー例えば警察の車のトヨタ・マークⅡや黒電話など、昭和63年という時代感を出すための、演出や小物のポイントを教えていただければと思います。

白石:そうですね。例えばガミさん(大上)がポケベルを持っているんですけれども、そこは実際に63年にあったか聞いたんですね。ほかにも、ヤクザの抗争的なことや、呉どうだったとか。しかし、これはあくまでもフィクションなので実録的な要素はほぼなかったんですけれども、だからこそそういう小物の部分はみんなで調べられる限りのことを一個一個調べて、やるしかないですよね。とはいえ、表で撮れば、現代の広告看板があったりもするので、そういうのはCGもあるし、どうしてもやらなければならないところは頑張ってやっていったということです。あと、美術の今村さんが僕のデビュー作からずっとやって下さっているんですけれども、ご自身がもう70歳台のベテランで、この時代のことも良くご存じだし、美術監督としての経験値も非常に豊富なので、むしろ今村さんがある程度、僕やこの作品を導いてくれたというところがありますよね。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

ーーこの映画はキャストの熱量が全面的に押し出されている作品だと思います。映像の迫力を出す空気作りを何か意識されたのでしょうか?

前のページ 1 2 3 4次のページ
ふじいりょうの記事一覧をみる

記者:

乙女男子。2004年よりブログ『Parsleyの「添え物は添え物らしく」』を運営し、社会・カルチャー・ネット情報など幅広いテーマを縦横無尽に執筆する傍ら、ライターとしても様々なメディアで活動中。好物はホットケーキと女性ファッション誌。

ウェブサイト: http://yaplog.jp/parsleymood/

TwitterID: parsleymood

  • 誤字を発見した方はこちらからご連絡ください。
  • ガジェット通信編集部への情報提供はこちらから
  • 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。