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運命を分けるのは何秒? 自転車の「ながらスマホ」の恐怖を体験してみた

「ながらスマホ」走行の危険性を検証する実証実験

道を歩けば、いわゆる「ながらスマホ」をしている人がまだまだ多い。歩きながらだけでなく、自転車に乗りながらでもスマホの画面に夢中で、近づいていくこちらに気づいていない様子。

そのままだとぶつかりそうになるから、こちらから避けるしかない。スマホのコンテンツが面白いことは僕も知っていますよ。でも、危ないからダメ。ゼッタイ。

近年、「ながらスマホ」は社会問題になっている。KDDI独自の調査では、運転中にスマートフォンを操作したことがあるとの回答が6割あり、その約半数が片手運転をしていると回答。

また東京消防庁の発表では、自転車および歩行時の「ながらスマホ」によって起きた事故で救急搬送された人は2012年が34人。2016年には58人に増えている。救急車が呼ばれない事故も含めれば、その数はもっと増えるだろう。

「ながらスマホ」で5割も増加することとは?

こうした状況を受けて2018年2月、KDDIとau損保は愛知工科大学の小塚一宏名誉・特任教授による監修のもと、京都府の協力を得て「ながらスマホ」をしながら自転車走行した場合の危険性を検証する実証実験を行った。

被験者は京都府を含む関西在住の大学生11名。スマホのメッセージ画面を操作しながら自転車を走行させた場合、適切な運転時と比べて視野がいかに狭くなるかを検証するというものだ。

場所は京都府庁の敷地内。幅7メートル、全長50メートルのコースを作り、被験者はゴーグル型視線計測装置を装着して自転車で走る。彼らの視線の軌跡を動画専用ソフトで分析してみると……。

「最終的には9人から有効なデータが取れました。歩行者の見落とし回数は適切な運転時が1.3回だったのに対し、『ながらスマホ』時は2.0回。5割も増加することがわかりました」(小塚教授)

歩行者を注視する時間は適切な運転時と比べて「ながらスマホ」時は23%、「ながらスマホ使用+イヤホン装着」時は22%と大きく減少した。あれ? でも小塚先生、イヤホンを装着したら歩行者を注視する時間はもっと少なくなるのでは?

「実は私たちもそう予想していたんですが、学生たちに聞くと『外の音が聞こえないのが怖くて、上目遣いで必死に歩行者をチェックしました』と言うんです」(小塚教授)

京都府庁の敷地内で行われたながらスマホ実証実験の様子
左が「ながらスマホ」走行時、右が通常走行時。赤く囲っている部分が視線移動範囲を表している

「さらに、着信の確認やSNSへの返信などスマホ操作をしていると、歩行者を認識するまでの時間は適切な運転の場合1.0秒に対して1.7秒となり、0.7秒遅れました。一般的なスピードなら止まるまでに約2.5m先まで進んでしまいます

そのあいだに歩行者が飛び出してくればアウト。大怪我を負わせたり、命にかかわる事故につながることもある「恐怖の0.7秒」だ。

KDDIでは自転車ながらスマホの危険性を疑似体験できる「STOP!自転車ながらスマホ体験VR」も制作。ぜひ一度体感してみて欲しい。

「STOP!自転車ながらスマホ体験VR」のシミュレーション動画

S字クランクでの「ながらスマホ」は不安定すぎる

さて、「ながらスマホ」は一体どれだけの「恐怖」なのか。自動車教習所のコースをお借りして実際に体験してみた。

訪れたのは武蔵境自動車教習所(東京都武蔵野市)。

ここには、都内の高校を中心に多数の出張自転車講習を行っている女性スタッフ・横山優さんがいる。

武藏境自動車教習所内でながらスマホの実験開始
よろしくお願いします!

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