体験を伝える―『ガジェット通信』の考え方

面白いものを探しにいこう 本物を体験し体感しよう 会いたい人に会いに行こう 見たことのないものを見に行こう そしてそれをやわらかくみんなに伝えよう [→ガジェ通についてもっと詳しく] [→ガジェット通信フロアについて]

『44/876』スティング&シャギー(Album Review)

『44/876』スティング&シャギー(Album Review)

 2018年1月25日にリリースされた先行シングル「ドント・メイク・ミー・ウェイト」が話題となった、スティングとシャギーのコラボレーション・アルバム『44/876』は、当初アルバムとして発売する予定はなかったそう。2人はスティングのマネージャーによって引接され、ルーツであるレゲエに取り組みたいという意欲から、アルバムの制作に至ったとスティングがインタビューに答えている。昨年あたりから、レゲエ~ダンスホールが再燃していることもあり、タイミング的にもベスト。

 シャギーの全米No.1ヒット「イット・ワズント・ミー」(2000年)などを担当したプロデューサー=スティング・インターナショナルや、スティングの作品ではおなじみとなったドミニク・ミラー、レゲエ界の重鎮=ロビー・シェイクスピア(スライ&ロビー)、前作『ニューヨーク9番街57丁目』(2016年)のプロデューサーであるマーティン・キーゼンバウムなど、ジャマイカ~ニューヨークのミュージシャンたちが参加した本作。伝統的なレゲエのスタイルとUKロックが融合した作品であることは、言うまでもない。

 タイトルの『44/876』も、スティングの出身地イギリスと、シャギーの故郷ジャマイカの国際電話の国番号をコラボさせたもの。そのタイトル曲は、エレクトロ・サウンドを起用した近代的なダンスホールで、曲間では番号をコールするダイヤル音が楽器のように飛び交う。この曲には、【グラミー賞】の<ベスト・レゲエ・アルバム>を受賞したモーガン・ヘリテイジと、キングストン出身のレゲエ・アーティスト=アイドニアがフィーチャーされていて、4者それぞれのレゲエ・スタイルが楽しめる。

 アップでは、 シャギーっぽさが出たリズミカルな「ドント・メイク・ミー・ウェイト」や、ポップにクロスオーバーした「ドリーミング・イン・ザ・USA」、ピアノやホーンの生音を生かした、スリリングなマイナー調の「ウェイティング・フォー・ザ・ブレイク・オブ・デイ」がいい。

 一方、 ボブ・マーリーを意識したような「サッド・トロンボーン」 や、 どこか懐かしいメロディラインが聴き心地良い「22ndストリート」、お経みたいなシャギーの歌いまわしがユニークな「クルーキッド・トゥリー」など、 ユルめのレゲエ・ソングも完璧で、それを歌いこなすスティングの才能には感服する。特に、ラヴァーズ・スタイルに合わせソフトに歌う 「トゥ・ラヴ・アンド・ビー・ラヴ」は最高の一言。 アルバムのコンセプトであるロックとレゲエが融合した「ガッタ・ゲット・バック・マイ・ベイビー」や「ジャスト・ワン・ライフタイム」~「ナイト・シフト」もすばらしい。

 現在の荒んだアメリカの情勢を嘆くのではなく、改めて偉大な国だということ、理想の国に向けて進んでいこうという意思を、本作で示したというスティング。シャギーとのコラボについても、国やジャンルは違えど、音楽でひとつに繋がれるという“PEACE”な意味合いが込められているような気がする。

 予断だが、49歳になったシャギーが大ブレイクした2000年当初よりも若々しくなった気がするが、それはもともと老けていたせいだろうか……(?)。

Text: 本家 一成

◎リリース情報
『44/876』
スティング&シャギー
2018/4/23 RELEASE
2,808円(tax incl.)

関連記事リンク(外部サイト)

スティング、6年ぶりの来日公演で最新曲からポリス曲までを披露
スティングがバタクラン再開ライブでテロ犠牲者、ボウイ、プリンスを追悼「彼らのことは忘れない」
スティング 新曲はデヴィッド・ボウイやプリンスにインスパイアされた曲

Billboard JAPANの記事一覧をみる
  • 誤字を発見した方はこちらからご連絡ください。
  • ガジェット通信編集部への情報提供はこちらから
  • 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。