体験を伝える―『ガジェット通信』の考え方

面白いものを探しにいこう 本物を体験し体感しよう 会いたい人に会いに行こう 見たことのないものを見に行こう そしてそれをやわらかくみんなに伝えよう [→ガジェ通についてもっと詳しく] [→ガジェット通信フロアについて]

なぜ、デキない人ほど「時間がない」と嘆くのか?ーーマンガ家三田紀房インタビュー《後編》

確かに、マンガにとっては絵も重要な要素の1つであり、凝った絵を描いて読者を惹きつけているマンガ家もたくさんいます。それも立派な戦略の1つですが、私が彼らと同じ戦略を採ったとしても、競争に勝つことはできないでしょう。そうではなくて、私の勝てる領域、つまり「ストーリーで勝負する」というのが私の戦略です。その戦略に基づいて、絵を外注し、自分はさらにストーリーとネームに特化していくことにしたワケです。

f:id:fujimine:20180116165730j:plain

【プロフィール】

俣野成敏(またの・なるとし)

ビジネスオーナーや投資家としての活動の傍ら、私塾『プロ研』を創設。マネースクール等を主宰する。著作累計は39万部超。『トップ1%の人だけが知っている「仮想通貨の真実」』(日本経済新聞出版社)など。

それは「誰のためのこだわり」なのか?

俣野:もともと、日本人はクオリティ思考が高く、それがこれまで「ものづくり日本」を支えてきた基盤でもあります。けれど、マンガという商品が複合的な要素を持つ以上、「読者が本当に求めていることは何なのか?」ということも考えていかなければなりません。

三田:おっしゃる通りです。「日本人のこだわり」で言うと、たとえばコンビニに入ってみても、まるでメジャーで計ったように商品がきっちりと並んでいます。すごいとは思うのですが、時々「ここまでする必要があるのだろうか?」と感じることがあります。アメリカのスーパーなどでは、よく商品がぐちゃぐちゃに置いてあったりしますよね?でも、それで誰も何の不自由も感じずに買い物をしている。実はそういうルーズさも、人生には必要なのではないでしょうか。

大事なのは、「読者が納得するレベルに作品が仕上がっているかどうか」です。もともと、「凝り出すと際限がない」のがマンガです。ゴールもないし、正解もない。だから「100%を目指すことが大切だ」と言ったところで、何が100%なのかは、誰にもわからないのです。

世間では、「こだわりの○○」というのがもてはやされる傾向があります。売り手が、それをマーケティングの一環としてやっているのであればいいでしょう。しかしそうではなくて、顧客が目の前で待っているのに、「オレは絶対にパーフェクトのものしか出さない」とやっているのだとしたら、果たしてそれが誰にとっての利益になるのでしょうか?本当は、ただ単に自分を納得させたいだけなのではないでしょうか?

現在、私のマンガに直接、関わっているスタッフは15人くらいで、それ以外に、エージェンシーであるコルクや講談社といった取引先がいます。そこでも多くの人が働いていて、彼らにも家族がいます。関わっている人たちの重さに比べたら、自分1人のこだわりなど、どれほどの価値があるのでしょうか。

ましてや、『ドラゴン桜2』には「2020年には教育改革が本格始動する」という期限があります。受験業界や教育関係者は、情報を求めて誰もが切羽詰まっていることでしょう。確かに、ファンの中には「三田紀房が直接描いた絵が見たい」とおっしゃってくれる人がいるかもしれませんし、それはとてもありがたいことです。けれど、私は「マンガを通して、待っている人に一刻も早く情報を提供することこそが自分の使命だ」と考えているのです。

俣野:貴重なお話をありがとうございました。

f:id:fujimine:20180116165935j:plain

「時間がない」真の要因とは

前のページ 1 2 3次のページ
リクナビNEXTジャーナルの記事一覧をみる
  • 誤字を発見した方はこちらからご連絡ください。
  • ガジェット通信編集部への情報提供はこちらから
  • 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。