【絶対キュン度】JKの告白を全力支援して最後まで見届けた

一度でいいから、やってみたかったことがある。

「誰かの告白を、影からそっと見守る」というやつだ。

決して無責任に茶化したいわけではない。しっかりと準備をして、完璧な体制で、真剣な眼差しで、勝負に挑む誰かのことを影から応援する役になってみたいのである。

これは、30歳を過ぎたおっさんが青春を取り戻すためのエゴだと思ってもらっても構わない。ただ、告白を全力で応援したいと思い、ある日SNSで「告白したいJK」を募ってみたところから、今回の壮大な青春劇は幕を開けたのである。

3月上旬。「告白したい相手がいる」と相談をくれたのは、都内の共学校に通う高校2年生・りほさん（写真右）だ。（左の売れない若手芸人みたいなのが筆者です）

りほさんは、この3月に卒業してしまった先輩に一年半近くの片思いをしているらしい。先日の卒業式では第2ボタンとネクタイまで貰い、このロケの二日後には二人で映画を観に行く約束まで取りつけたため、そこで告白したいという。まさに今回の企画にうってつけのJKである。

りほさん、お話は伺いました。ここまで来たら、どうにか二人が結ばれてほしいと思います。

ありがとうございます。

そこで今回は、強力なアドバイザーを呼んで、りほさんの告白をサポートすることにしました。

おお！ どなたですか……？

こちらの方です！！！

モテ・クリエイターの

ゆうこすさん！！！！！！！！！！！

菅本裕子

「ゆうこす」の愛称で10代～20代女子に圧倒的な人気を誇るカリスマ“モテ・クリエイター”。SNSやYoutubeの総フォロワー数は100万を超える。自著に「SNSで夢を叶える」（KADOKAWA）がある。

よろしくお願いします！

すごい！！ 大ファンです！！！！！！

全力なのが伝わったでしょう？ せっかくなのでいろいろアドバイスをもらってください！

よろしくお願いします！

ゆうこすに恋愛相談をしてみよう！

▲「女の子同士で恋愛の話とかホトンドしたことがなくて。結構男っぽくズバズバ言っちゃうんですけど、傷つかないでくださいね(笑)」と笑顔で言うゆうこすさん。超レアな恋愛アドバイスが、幕を開けた。

相手は同じ高校の先輩って聞いたんですけど、写真とか、ありますか？

写真……かっこよくないですよ？ 私はかっこいいと思うけど……。

だめだ、そのセリフだけでキュンキュンする。▲一番映りがいいものをセレクトしているのであろう。こういう時間も大好きだ。

あ。これとか。先輩の友達が送ってくれたやつです……。

見せて見せて？

「あ、サブカル系！！ 思ったよりいい！！！！！」

わ、本当ですか？

この人から、卒業式にネクタイまでもらったんですか？

そうです。最高でした……。

マジでうれしそう。

先輩のどういうところが好きで、付き合いたくなったの？

すごく静かな人で、何考えてるかわからないんですけど、そこがもっと知りたいなって。

ああー、いい！ 寡黙な人、モテそう！！

何かこれまで、アピールはしたんですか？

先輩の友達とかに、彼のことが好きだと伝えることはしていました。

まずは外堀を固めるんだよね！ 大事です！！

あとは、去年のバレンタインデーに、手紙と一緒に本命チョコを渡しました。

本命チョコ！ だめだ死んだ。最高すぎる。

手紙になんて書いたの？

「先輩の中で一番好きです」って……。

あまーーっ！！！！！！

その先輩の反応は……？

ホワイトデーに、ちゃんとほかの女の子とは違うものをくれました。

それ、めっちゃうれしいやつ！

そう、めっちゃうれしいやつでした！

ダメだ、恋するJKが可愛すぎる。

初デートのテクニック

これまで、彼と二人でデートはしたことあるの？

いえ、明後日が初デートです……。

うぉ～ほほほほ！ 最高か！！

キュンキュンしすぎて右手が痙攣してきた（笑）。どんなデートをする予定ですか？

映画に行こうって話しています。『シェイプ・オブ・ウォーター』か、『グレイテスト・ショーマン』で迷っていて。

待ち合わせは、何時？

まだ決めてないんです。場所は新宿で、終わってからご飯に行きたいことも伝えてはいます。

絶対一緒にご飯に行ったほうがいいですね。先輩が好きなご飯とか、リサーチできないかなあ。

なるほど、リサーチするのか。

たとえば先輩がラーメン好きだったら「おいしいラーメン屋さん知ってます！」とか、アピールできますからね。とにかく趣味とかの共通点を見つけるのがいいと思います。

なるほど～。

「初デートで大口を空けるのは恥ずかしいから、ハンバーガーとかはやめたほうがいい」って聞いたことがあるんですけど、何を食べるのがいいですかね？

新宿かあ。あの辺、おいしいすっぽん屋しか知らないなあ……。

大人すぎますよそれ（笑）。 JKが行くところじゃないです（笑）

本当だ（笑）。すっぽんとか、すごい口開けないといけない（笑）。意外と居酒屋みたいなところもいいかなとか思ったんですけど、未成年ですもんね。やっぱり、ラーメン屋さんとか、うどん屋さんかな？ 初デートって、何を食べても味がしないっていうし、あっさり終わるもののほうがいいかもしれないですね。

たしかに。フルコースで沈黙多かったら、地獄でしかない。

あと、私がリードするしかないんですよね？ 私が誘っているから、それが普通、ですか……？

彼はこれまで、彼女がいたことがない人でしたっけ？

そうです。

そしたら、エスコートの「エ」の字も知らないと思うし、しょうがないかも。でも、全部エスコートされたら「男としてどうなんだ？」って思うだろうから、今回は「エスコートさせている雰囲気の、エスコートをする」が大事かもしれないです。

めっちゃムズい。

デートに誘ったのも自分だし、映画に誘ったのも自分だけど、最終的に何を観るかは先輩に任せるとか、夕飯のお店は指定するけれど、どれを頼むかは先輩にお任せするんです。「最終的な判断をしているのはあなたです」って形にすれば、エスコート感は出ると思います！

さすがすぎます。

あと、話題に困ったときは、彼が好きなものの話をする！ たとえば音楽なら「最近なに聴いてるんですか？」とか「おすすめ教えて下さい！」って話を振って、その場で音源探して聴いちゃってもいいし、「かっこいい！」とか褒めればいいかも。

男の人は教えたがりが多いし、自分の好きなものは語りたくなるので。それを聞いて好意的なリアクションを見せたら、きっと彼も悪い気しないと思います！

すごいテクニックだ。女性が怖くなってきた……。

ゆうこす流、シャイな相手への告白の仕方

話を聞いていると、彼はとてもシャイだなあと思ったんですが、どういう風に告白するのがいいですかね？

私だったら、歌舞伎町から駅まで戻る、賑わっている通り。思いきり静かなところで告白するよりかは、ザワザワしたところのほうが緊張しないで済みそうだから！

なるほど！ あえてノイズがあるところがいいんですね。

たぶんシャイな人って、面と向かって告白されるとすごく緊張しちゃうんじゃないかと思うんです。だったらいっそ、歩きながら言っちゃう方がいいのかなって思いました。

たしかに、面と向かって言うと、その後どうしていいかわかんなくなるときありますもんね。

告白するときの言葉は、シンプルに「好きです」が一番いいですか？

回りくどく言うよりは、ストレートにパッと言った方がいいと思います！ 前置きが長い告白って、話している間に向こうが身構えちゃう気がするので。相手がシャイであればあるほど、伝える言葉はシンプルでいいと思います！

超絶勉強になる。

あとは、とにかく「この子と一緒にいる時間は、楽しいんだ」って思ってもらうことが、告白 OK の一番の近道だと思います。

たしかに。「一緒にいて楽しいかどうか」ってすごく大事ですね。

付き合うか、付き合わないかは、顔じゃないです。居心地がいいか悪いかのほうが大事です。

ああ、それは本当にそうだなあ……。

だから、最初は若干媚びてもいいと思います。とくに彼がシャイなら、たぶんこっちが思っていることの2倍は伝えなきゃ、伝わらない気がするんです。「この子といる時間は楽しい」と思ってもらえるように、たくさん伝えてください！

はい、ありがとうございました……！

 

こうしてゆうこすさんからのアドバイスタイムは、異常な熱量で終了した。

「緊張すると思うけど、あまりガチガチにならず、なるべく自然体で。彼に『居心地いいな』って思ってもらえるように笑顔でいてください。恋が実るように祈っています！」

と、最後まで女神すぎるアドバイスをくれたゆうこすさん。モテクリエイターは伊達じゃないと思った。

 

 

 

 

そして迎えた、告白当日。

ゆうこすさんの相談会から2日後の新宿。

りほさんからの連絡によると、二人はこの日、16時15分から映画を観ることになったらしい。一昨日のアドバイス通りに動くなら、その後どこかで夕飯を食べるはずだ。我々はその様子を影から応援すべく、尾行して着いていくことにした。

撮影班（といっても僕とカメラマンの二人だけ）は、映画の終了時間に合わせて、映画館内で二人が出てくるのを待つ。

※ちなみにゆうこすさんは、お仕事の都合＆新宿で尾行とか思いきり顔バレする恐れがあるので欠席となりました。

上映終了時刻が過ぎ、二人を待つこと20分。

二人が出て来た！！！

間違いなく、りほさんと先輩である。満を持して、尾行開始だ。

2人に気付かれないように一定の距離を保ちつつ、跡をつける。周りから見たら完全に変質者だが、「よくテレビで見たやつ」を自分がやっていることに興奮し、無駄にテンションが上がった。

夜の新宿をブラブラと歩く二人。

人生で初めて「初デート」を後ろから眺めているが

なんと初々しい距離感だろうか。

青春とはすなわち、この距離感のことを指すのではないかとさえ思えた。脳内の胸キュン組織が大乱闘ス○ッシュブラザーズしている。

そして「ちょっと歩きすぎじゃない？」と思ったころ、２人はファッションビル内のラーメン店に入っていった。ちゃんと！ 作戦通りのラーメン！

口数は少なそうだが、たまに笑顔も見せつつ、ラーメンを頬張る二人。

それを怪しげに見守る僕。

順風満帆に思えたデートと尾行だったが、事件が起きたのは、この直後だった。何事も、一筋縄ではいかない。マンガやアニメみたく簡単には事が進まないのである。

待ち受けていた結末

無事に食事を終えて、店の外に出てきた二人。

これからどこに行くのかと思ったら……

いきなりエレベーターで下へ！

何が事件かというと、我々撮影班、尾行に慣れてなさすぎて、エレベーターに乗られたとき、どうやって追いかけるかを全く考えていなかったのである。

降りる可能性が高いのは、駅と直結のB1階か、地上出口に出る１階。しかし「ちょっと買い物付き合って？」などと発展してしまったら、どのフロアに出るかさっぱりわからない。

カメラマンに２人が乗ったエレベーターの行き先を見てもらって、僕はエスカレーターで、２人が降りる可能性がとくに高そうな１階へ。ここで逃してしまったら、貴重な告白シーンも見られなくなってしまうのだ。それはつまり、企画がヤバいことを指す。▲ドキドキしながら１階へ降りたものの、エレベーターは既に、二人が降りた後だった。

周囲を見回したが、ここは夜の新宿。たった二人を見つけるなど、容易にできることではない。つまり……

完全に見失ったーーー！！！

 

 

やべー！ 企画失敗―！？

エレベーターの逃走パターン、完全に勉強してなかったですね……。

まっずいわ、結果がわからない……！

どうします？ 闇雲に探すにも、新宿広すぎですよね？

ですよね……って、待って？

はい？

……りほさんからDM来てる！！

やった！ これで合流できる！ 神様！！

タイミングが良すぎるメッセージ。文明の利器に大感謝しながらDMを見てみると……

 

「駅にいてもう２人解散しました…振られました…」

 

ええーーー

！！！！！！！！！！！！？

まさかの失態。しかも告白の結果まで、最悪の方向に。

なんで……？

第２ボタンとネクタイまで貰ったのに？

一緒に映画まで見たのに？

楽しそうにラーメン食べてたのに？

ショックのあまり、さまざまな疑問が沸きだす。

とりあえず話を聞くため、我々はりほさんの元に急行することにした。▲新宿駅西口の片隅で、ひとり立ちすくんでいたりほさんに声をかける。

大丈夫ですか……？

ダメでした……。

まじか……まじかぁ……。なんて、言われたの？

「今は彼女とか、作る気がしなくて、、ごめん」って……。

ええええええーーそうかあああああーー……。

ラーメン食べた後、そのまま帰られそうになって、慌てて引き留めて、告白したんです。

りほさんは、なんて伝えたの？

「好きです。ずっと」って。

ううーー！！

せつないーーーーッ！！！！

本当にやるせない……なんでダメなんだろう、頑張ったのにね……。

頑張りました……。

偉かったよ本当に……。

でも、先輩、すごく優しかったです。ご飯も、どこに行くか調べてくれたり、奢ってくれたり……。

そうかあ、そうかあ～～～～～！！！

結果はダメだったんですけど、デートできて幸せでした……。

だめだ俺も泣きそう。

でも、これは想像でしかないけど、きっと先輩も、うれしかったと思う。告白されて嫌な想いをする人なんてなかなかいないし、みんなそうなんじゃないかな。

はい……。

せつないし、簡単には諦められないと思うけどね。

本当にそうです……。やさしくて、かっこよかったです。

そうだよね、そうだよねえ……。少しずつ消化していくしかないからね……。今日は、ゆっくり休んでね……。

はい、あの、ありがとうございました。ゆうこすさんにも、よろしくお伝えください……！ 結果は残念でしたけど、うれしかったです……！！

こちらこそだよ！ 応援してます。頑張ってください！！

おわりに

こうして、りほさんの告白は終わりを迎えた。

結果こそ残念ではあったけれど、デート中の二人の様子や、それまで築いてきた時間を紐解いてみると、なんと美しいものだったろうか。キュンキュンしたのは僕だけではないと信じたい。

恋愛はタイミングにも左右されるし、両想いなんてちょっとした奇跡のようなものだ。だからこそ手にしてみたいし、できればずっと続けばいいなと思う。

でも、もしもその恋が叶わなくたって、好きでいたその時間は、紛れもなく世界をカラフルに見せるし、人生を楽しくしていたはずだから、きっとすぐに切り替える必要なんてない。

飽きるまで好きでいて、その人に費やした青春時代を、いつか素敵な思い出だったと胸を張って言えるようになるまで、大事に大事に保存しておけばいいのではないかと思う。

これから青春する人。まさに今、青春まっしぐらの人。

全ての人に、りほさんのような甘く熱くやさしい想いが届きますように。

ありがとうございました。

 

ライター：カツセマサヒコ

カメラマン：yansuKIM，Shinsuke Yasui

恋愛相談役：菅本裕子（ゆうこす）

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