絶滅危惧車のクーペフィアットは、見た目にも走りにも強烈な個性を与えられた車だった!

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絶滅危惧車のクーペフィアットは、見た目にも走りにも強烈な個性を与えられた車だった! ▲極めて個性的なデザインで1995年に登場したクーペフィアット。当時、通商産業省(現・経済産業省)が選定するグッドデザイン部門賞を受賞した経緯がある

▲極めて個性的なデザインで1995年に登場したクーペフィアット。当時、通商産業省(現・経済産業省)が選定するグッドデザイン部門賞を受賞した経緯がある

世間に迎合しなかった市販車

クーペフィアットは、フィアットグループにおけるプラットフォームシェアリングのたまものながら、強烈な個性を与えられた車だった。

エクステリアもインテリアも超個性的だし、走りにおける“じゃじゃ馬”っぷりは今ではノスタルジックですらある。

最近ではターボラグの存在を感じさせない車が多いが、クーペフィアットのターボは急激に威力を発揮する、いわゆる“どっかんターボ”と呼ばれる部類のモノ。

▲20Vターボプラスに搭載されたエンジンは、直列5気筒DOHCターボ。220ps/5750rpm、31.0kgm/2500rpmと、小柄なボディには十分すぎるスペックだった

▲20Vターボプラスに搭載されたエンジンは、直列5気筒DOHCターボ。220ps/5750rpm、31.0kgm/2500rpmと、小柄なボディには十分すぎるスペックだった

0→100km/h加速は最終モデルの20Vターボプラスで6.3秒。昨今のFF車(前輪駆動)では“ふーん”という感じかもしれないが、当時は市販FF最速だった。

そして、どっかんターボのおかげで加速していく様がドラマチックで、数値よりも速く感じたものだ。

アクセルを踏み込みすぎると、選択ギアによってはタイヤを空転させることも多々あった。いわゆる“直ドリ”(直線ドリフト)をキメやすい市販車なんて……そうそうない。

全長は4250mmしかないのに、まるでストレッチリムジンのように小回りが利かない。ブレーキの利きも個人的には好きではなかったが、グッと踏み込めばいいだけのこと!

ささいなことを気にしては乗っていられない車なのだ。言ってみれば市販車なのに、世間に迎合していない(笑)。

▲ストンと切り落とされたようなテールエンドが特徴的だ。イタリアン・デザイン特有の洗練された美しさを追求した結果だという

▲ストンと切り落とされたようなテールエンドが特徴的だ。イタリアン・デザイン特有の洗練された美しさを追求した結果だという

▲前後のフェンダー上部に刻まれたスラッシュラインが、斬新さを醸し出している

▲前後のフェンダー上部に刻まれたスラッシュラインが、斬新さを醸し出している

ボディデザインはフィアット内製で、BMWで名を馳せたクリス・バングルが手がけたものが採用された。

ボディ下には「ピニンファリーナ」のバッジを持つものの、実際にピニンファリーナが手がけたのはインテリアだけだった。

ちなみにピニンファリーナが提案したクーペフィアットのエクステリアデザインは採用されず、後にプジョーが406クーペとしてデザインを購入したそうだ。

バンパー部分からホイールアーチに斜め上に入る、いわゆるキャラクターラインは大胆で、よく上層部がOKを出したものだと感心してしまう。

ボディカラーと同色に塗られたインテリアのダッシュボードパネルやドアパネルは、ちょっとした工夫にすぎないのにオシャレ。

▲ボディ同色のパネルが用いられたインテリア。センターコンソールの真上には、インテリアをデザインした「ピニンファリーナ」のロゴが添えられている

▲ボディ同色のパネルが用いられたインテリア。センターコンソールの真上には、インテリアをデザインした「ピニンファリーナ」のロゴが添えられている

1994年から生産され、エンジンやトランスミッションを進化させながら2001年で生産終了となったクーペフィアット。生産終了からの時間が経っていることもあり、中古車流通台数はさほど多くないようだ。

新車時価格を鑑み、だんだんとお金をかけて維持していくオーナーが減ってきたのだろう。そういう意味では、残っているだけでもありがたい存在かもしれない。

少しでも興味を持たれた方は、中古車物件をチェックしてみてほしい。

▲2018年4月11日現在、掲載台数は5台以下。少しでも気になったらチェックすることをオススメする

▲2018年4月11日現在、掲載台数は5台以下。少しでも気になったらチェックすることをオススメするtext/古賀貴司(自動車王国)

photo/FCA絶滅危惧車のフィアット クーペフィアットを探してみる▼検索条件フィアット クーペフィアット

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