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『夫のちんぽが入らない』衝撃デビューのこだまさんに聞いた、「文章を書くこと」の意味

『夫のちんぽが入らない』衝撃デビューのこだまさんに聞いた、「文章を書くこと」の意味

『夫のちんぽが入らない』(扶桑社刊)で衝撃的なデビューを飾ったこだまさん。その最新作となる2冊目の本『ここは、おしまいの地』(太田出版刊)が話題を呼んでいる。

前作は私小説だったのに対し、本作はエッセイ集。

カルチャー誌『Quick Japan』に掲載された文章を一冊にまとめているのだが、そのエピソードの可笑しさは、なにか突き抜けたものを感じる。

自身の体験のほかに、家族や同じ集落の人々、入院中に出会った人々などの身近な題材を、不遇な話も、下品な話も、すべてユーモア溢れる話に仕立て上げてしまうこだまさん。

インタビュー前編では、そんなこだまさんに、「文章を書くこと」についてお話をうかがった。

取材・文:金井元貴(新刊JP編集部)

■地元を出て初めて分かった、自分の地元の「おかしさ」

――デビュー2作目となるエッセイ『ここは、おしまいの地』はSNSでもいろいろな感想があがっていますが、ここまでのご反響についてはいかがですか?

こだま:前作はタイトルも内容もインパクトのあるものだったので、今回は地味に映るかなと心配していたのですが、読者の方々から「ずっと読んでいたいお話でした」と言っていただいたり、ゆっくり読んでくださっている方も多くて、嬉しく受け取っています。

――ツイッターで、前作のときは感想に対してノイローゼになっていたと書かれていましたが、今回はそうではなく…?

こだま:前作はタイトルに拒否反応を示す方が多くて、読まずに批判してくる方もいました。でもさすがに今回はそういう声もなく(笑)、試し読みとして2本先行でエッセイを公開したんですね。そうしたら「面白い話だ」という感想がSNS上で広がり、本当にありがたかったです。

――こだまさんと周囲の方々のエピソードを中心に、病気のことですとか、死に関わることも含めて、全体的に緊迫感があるはずなのに、毎回すごくユーモラスな印象を抱くエッセイでした。連載中のエピソード作りはどのようにしていったのですか?

こだま:最初に『Quick Japan』編集部さんから頼まれて原稿を書いたときはこれまでの蓄積があったので良かったのですが、書いていくうちにどんどんネタがなくなっていきまして…(笑)。でも、必死に考えれば身のまわりの些細なエピソードはまだ出てくるので、こう、絞り出しながら。

――かなりユニークなご家族でいらっしゃいますよね。交通事故に2度あったおじいさん、かなり天然なお父さん、変な男を引っ掛けてくる妹さん…。こだまさんは実際にこうしたことが起きているとき、どんな想いでご家族を見ていたのですか?

こだま:私は思ったことを口に出して言えない性格なんです。だから、変だなあとは思っていても、何も言えないまま巻き込まれていくという感じでした。普通の人なら、「これは変じゃないか」と声をあげると思うのですが、私はあれよあれよという間に…(苦笑)。

あとは、実家のある集落は本当に隔離されたようなところで、人間関係や習慣も全てその集落の中で出来上がっているんですね。だから、多少おかしなことが起きてもそのままやり過ごしてしまうことが多かったかもしれません。

――実家を出て初めて自分がいた環境が「変」に溢れていたことが分かった。

こだま:そうです。よその町に行って、実家に戻ってきたときに「あ、私の家族は変なんだな」と気付くと言うか。面白さは一度地元を出てからよく見えるようになりました。

■こだまさんはなぜ「書く」のか?

――こだまさんが文章を書きはじめたきっかけはなんだったのですか?

こだま:小学校の頃からずっと日記を書いていたんです。でも、その日記は起こったことをただ書くのではなく、自分が別人格になりきって、すごく明るい人間として書いていたんですね。

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